転職先の残業が聞いていたより多い…まず数字にする。確かめる順番と上司への聞き方
残業が聞いていた話と違うときは、まず「何が違うのか」を数字にしてください。
繁忙期だから多いのか、いつもこの状態なのかで、やることがまったく変わります。
調べる順番は、①労働条件通知書を読み直す ②実際の時間を記録する ③上司に確認する。
残業代が出ていない場合は、記録を残したうえで公的な窓口に相談できます。
面接では「残業は月10時間くらい」と聞いていた。
それなら続けられると思って、決めた。
ところが入ってみると、毎日2時間は当たり前。
周りは誰も気にしていない様子で、自分だけがおかしいのかと思えてくる。
聞いていた話と違うのに、入ったばかりで言い出せない。
この記事は、確かめる順番と、言い方を書きます。
まず、労働条件通知書を読み直す
いちばん先にやることは、書面を確認することです。
入社時に、労働条件通知書や雇用契約書を受け取っているはずです。
労働基準法では、労働時間や休日などの労働条件を、書面などで明示することが会社に求められています。
・所定労働時間(始業・終業の時刻)
・時間外労働の有無
・固定残業代(みなし残業)があるか、ある場合は何時間分か
・休憩時間
・休日
とくに3つ目を見てください。
固定残業代が「月30時間分」と書いてあれば、月30時間までの残業は想定されている、ということになります。
面接で「10時間くらい」と聞いていても、書面が30時間なら、書面のほうが条件です。
ここを知らないまま話をすると、話が噛み合いません。
次に、実際の時間を記録する
「多い気がする」のままだと、話が前に進みません。
数字にしてください。
| 記録すること | 書き方 |
|---|---|
| 出社した時刻 | 実際に仕事を始めた時刻(着席した時刻) |
| 退社した時刻 | 実際に仕事を終えた時刻 |
| 休憩が取れたか | 取れなかった日は、その旨も書く |
| 持ち帰りの有無 | 家でやった作業と、その時間 |
2週間も記録すれば、平均が見えてきます。
記録は、手帳やスマートフォンのメモで構いません。
出退勤の打刻が残るなら、それも証拠になります。
「定時で打刻してから続きをやる」といったことが行われている職場もあります。その場合は、自分の記録を別に残しておいてください。手帳への手書きや、家族へのメッセージの送信時刻なども、あとから見て時間が分かる材料になります。
慣れていない時期は、残業が増えて当たり前です
入ったばかりの残業には、慣れていないことによる上乗せが必ず含まれます。
同じ作業でも、初めてやるときは何倍も時間がかかります。
| 時間がかかる理由 | いつ解消するか |
|---|---|
| 手順を思い出しながらやっている | 数回やれば、考えずに動けます |
| 確認のために人を待っている | 判断を任される範囲が広がると減ります |
| どこに何があるか探している | 1か月ほどで、探す時間はほぼ消えます |
| やり直しが発生している | 基準が分かると、一度で通るようになります |
つまり、いまの残業時間は、この先の平均ではありません。
ここを混同すると、続けられない職場だと早く判断してしまいます。
減らせる部分を、先に減らす
慣れを待つあいだにも、できることはあります。
・確認をまとめる(聞くたびに待つ時間が消えます)
・やり直しを減らす(着手前に「この方向で合っていますか」と一度確認する)
・手順をメモにする(思い出す時間がゼロになります)
・その日やることを、朝に3つ決める(迷う時間が減ります)
2つ目が、いちばん時間を生みます。
終わってから直すより、始める前に確かめるほうが、結果として何時間も短くなります。
メモの取り方は、メモを取っても覚えられないときも参考にしてください。
繁忙期なのか、いつもなのかを見分ける
同じ「残業が多い」でも、中身が違います。
| 状況 | 見分け方 | どうするか |
|---|---|---|
| 繁忙期 | 周りが「今の時期だけ」と言う。年間の山が決まっている | 時期が過ぎるまで様子を見る |
| 慣れていないから | 同じ作業に、周りの2倍かかっている | 数か月で自然に減ります |
| 人が足りていない | 全員が残っている。退職者が続いている | 個人の努力では変わりません |
| そういう文化 | 帰りにくい空気がある。定時で帰る人がいない | 変わりにくい。長く続けるかの判断が必要です |
入って数週間なら、2つ目の可能性が高いです。
作業に慣れていないので、単純に時間がかかっています。
この場合、3か月後には景色が変わります。
確かめ方は簡単です。
周りの人が何時に帰っているかを見てください。
自分だけが遅いなら慣れの問題、全員が遅いなら職場の問題です。
上司に確認するときの、言い方
入ったばかりで切り出しにくいものですが、聞くこと自体は問題ありません。
ただし、抗議ではなく確認の形にしてください。
「いま、だいたい1日2時間ほど残っています。
この時期はこのくらいが普通でしょうか。
それとも、私の作業が遅いせいでしょうか。」
ポイントは、自分の側の可能性も並べることです。
こう聞くと、相手は実態を説明する形で答えてくれます。
「聞いていた話と違います」と切り出すと、その場で言い分を競うことになり、実態が聞けません。
まずは、情報を取ることを優先してください。
残業代のことを聞いてもいいのか
聞いて構いません。
ただ、聞き方で印象が変わります。
| 印象が良くない聞き方 | 自然な聞き方 |
|---|---|
| 「残業代は出るんですか」 | 「勤怠の入力について、確認させてください。残業した分は、どのように申請すればいいですか」 |
手続きの質問として聞けば、まったく不自然ではありません。
入ったばかりの人が勤怠の入力方法を聞くのは、当たり前のことです。
この聞き方なら、答えの中に実態が出てきます。
残業代が出ていない場合
確認した結果、残業した分が支払われていないと分かることがあります。
労働基準法では、法定の労働時間を超えて働かせた場合、会社は割増賃金を支払わなければならないとされています。
固定残業代がある場合でも、その時間を超えた分は別に支払われるのが原則です。
・実際の出退勤の時刻(自分のメモでも構いません)
・打刻の記録(残っていれば)
・給与明細(何時間分が支払われているか)
・労働条件通知書
この4つが揃っていると、相談したときに話が早く進みます。
相談先は、各労働局の総合労働相談コーナーや、勤務先を管轄する労働基準監督署です。
どちらも無料で相談できます。
いきなり相談するのが不安なら、記録を取りながら様子を見るだけでも構いません。
記録は、あとから作れません。先に残しておいてください。
体に出ていないか、先に確かめてください
残業の話は、つい条件が違うかどうかに集中しがちです。
ですが、先に見るべきものがあります。
・夜、眠れない/朝、起きられない
・食欲がない状態が続いている
・休みの日も、起き上がれない
・通勤の途中で、涙が出る
こうした状態は、我慢して慣れるものではありません。
早めに医療機関に相談してください。
そのうえで、勤務時間を減らせないか、上司や人事に相談してください。
相談するとき、体調のことは理由として十分です。
「甘えだと思われないか」と迷う人が多いのですが、働けなくなるほうが、会社にとっても損です。
「最近、睡眠が取れていない状態が続いています。
業務量を調整していただくことはできますか。
優先順位をつけていただければ、その順で進めます。」
最後の一文があると、投げ出しているのではないと伝わります。
転職して疲れが抜けないときは、転職して1週間、土日に寝込むときも読んでみてください。
タイプ別|いま、どれに当てはまるか
□ 周りは定時で帰っている
□ 自分の作業に時間がかかっている自覚がある
□ 残業代は、きちんと支払われている
このタイプは、慣れれば減ります。3か月を目安に見てください。
□ 全員が遅くまで残っている
□ 書面に書かれた条件と、実態が違う
□ 繁忙期かどうかが分からない
このタイプは、上司に確認してください。抗議ではなく、確認の形で。
□ 残業した分が支払われていない
□ 定時で打刻してから働くよう言われている
□ 体調に影響が出ている
このタイプは、記録を残してください。そのうえで窓口に相談できます。
体に出ているなら、医療機関にも相談してください。
よくある質問
Q. 面接で聞いた話と違うのは、嘘をつかれたことになりますか
会社側が繁忙期を除いた平均を答えていた、部署によって差がある、といったこともあります。まずは書面と実態を照らして、何がどう違うのかを確かめてください。意図的な説明と食い違う場合は、相談の材料になります。
Q. 入って1か月ですが、辞めてもいいですか
慣れの問題である可能性がまだ残っています。3か月は様子を見てから判断しても遅くありません。ただ、残業代が支払われていない、体に不調が出ているなら、その限りではありません。
Q. みなし残業の時間を超えているか、どう確かめますか
給与明細に「固定残業代◯時間分」と書かれているはずです。自分の記録した残業時間と比べてください。超えている分が支払われていなければ、会社に確認する理由になります。
Q. 残業を断ることはできますか
会社が時間外労働をさせるには、労使協定(いわゆる36協定)の締結・届出などの手続きが必要とされています。そのうえで、体調や家庭の事情がある場合は、上司に相談してください。事情を伝えずに断り続けるより、先に共有しておくほうが通りやすくなります。
Q. 周りは平気そうなので、言い出しにくいです
慣れている人と、入ったばかりの人では負担が違います。また、平気そうに見えて我慢している人もいます。あなたが感じている負担は、あなたのものです。
Q. 持ち帰りの仕事は、残業になりますか
会社の指示で行った業務であれば、労働時間として扱われるべきものです。ただし実態によって判断が分かれるため、まず記録を残したうえで、窓口に相談してください。
Q. 転職して数か月で、また転職するのは不利ですか
短期間の離職は説明を求められます。ただ、労働条件が書面と違った、健康に影響が出たといった事情は、説明できる理由になります。感情ではなく事実で話せるよう、記録を残しておいてください。
Q. 上司に言ったら、何も変わりませんでした
その場合は、記録を続けてください。そのうえで、人事や社内の相談窓口、または労働基準監督署に相談する道があります。一度で変わらなくても、記録は残ります。
Q. 定時で帰ると、気まずい空気があります
入ったばかりのうちは、帰りにくいものです。「お先に失礼します。何かあれば明日やります」と一声かけて帰れば十分です。空気に合わせて残り続けると、それが当たり前になります。
Q. 残業が多い分、給料は高いです
時間あたりで計算してみてください。月給を、実際に働いた時間で割るだけです。そのうえで納得できるなら問題ありません。数字にすると、判断がはっきりします。
Q. 入社前に、残業の実態を確かめる方法はありますか
求人票の固定残業代の時間数を見るのがいちばん確実です。「月40時間分」と書かれていれば、その水準の残業が想定されています。面接では「繁忙期はどのくらいになりますか」と時期を分けて聞くと、実態に近い答えが返ってきます。
Q. 残業を減らしたら、評価が下がりませんか
評価されるのは、かけた時間ではなく仕事の中身です。短い時間で同じ成果を出せるなら、そちらのほうが高く評価されるのが本来です。時間で評価する職場なら、それ自体が判断の材料になります。
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まず、数字にしてください
① 労働条件通知書を出して、固定残業代の有無を見る
② 今日の出社時刻と退社時刻を、メモに書く
③ 周りの人が何時に帰っているかを、見ておく
残業が聞いていた話と違うときは、まず数字にすることです。
書面を読み直し、実際の時間を2週間記録する。
それだけで、慣れの問題なのか、職場の問題なのかが分かります。
慣れの問題なら、3か月で変わります。
職場の問題なら、転職エージェントの選び方も見ておいてください。残業の実態は、次は入る前に確かめられます。
※本記事は一般的な情報の解説であり、法的助言ではありません。個別の事情によって判断は変わります。困ったときは労働基準監督署や総合労働相談コーナー(各労働局)などの公的な窓口にご相談ください。※本記事には広告(PR)を含みます。