内定を辞退して現職に残るのはあり?後悔しないための5つの質問
内定を辞退して現職に残るのは、おかしな選択ではありません。
ただし、「引き止められたから残る」と「自分で選んで残る」は別ものです。
前者は、1年以内にもう一度同じ場所に戻ってきます。
この記事は、その見分け方と、残ると決めたあとにやることをまとめます。
内定が出た。
でも、辞表を出したら、想像以上に引き止められた。
条件を上げると言われた。
あるいは、内定先の詳細を聞くほど、迷いが出てきた。
気づけば、残るほうに気持ちが傾いている。
これは、転職活動をした人の多くが通る場所です。
新卒の就活にはない、転職だけの分かれ道でもあります。
残るのは「逃げ」ではありません
まず、ここをはっきりさせておきます。
転職活動をして、内定まで取って、それでも残ると決める。
これは、何もせずに残っているのとはまったく違います。
あなたは、外の相場を知ったうえで、いまの場所を選び直したことになります。
・自分の市場価値が数字で分かった(提示された年収)
・いまの会社の良し悪しが、比較で見えた
・職務経歴書が完成している(次はゼロから作らなくていい)
・「いつでも動ける」という感覚が残る
この4つは、残ったあとも消えません。
ただし、危ないパターンがあります
残ること自体は問題ありません。
問題なのは、残る理由が「引き止められたから」だけのときです。
カウンターオファーの落とし穴
辞表を出した瞬間に、会社の態度が変わることがあります。
昇給を提示される。
役職の話が出る。
「君がいないと困る」と言われる。
うれしいと思います。
ただ、一度立ち止まってほしいことがあります。
出せたのに出していなかったなら、それは「言わなければ変わらない会社」だということです。
本当に出せなかったなら、今回は例外的な措置ということになります。
どちらにしても、次に不満が出たとき、また辞表を出さないと動かない可能性があります。
そして、もう一つ確かめてほしいことがあります。
あなたが辞めたかった理由は、お金でしたか。
人間関係、働く時間、仕事の中身。
お金以外が理由だったなら、昇給では何も解決していません。
半年後、同じ気持ちに戻ります。
「言えば変わる会社」なのか、を見ています
カウンターオファーで確かめられるのは、お金の額ではありません。
その会社が、社員の声にどう反応する場所なのかです。
たとえば、こんな違いがあります。
→ 具体的で、期限がある。実行される可能性が高い
B:「君の評価はちゃんとしている。もう少し待ってくれ」
→ 数字も期限もない。これまでと何も変わりません
C:「いま辞められたら困る。裏切るのか」
→ 条件の話ですらない。感情で引き止めています
Cを言われたときは、特に気をつけてください。
あなたの罪悪感を使って、判断をゆがめようとしています。
会社を辞めることは、裏切りではありません。
見分けるための5つの質問
紙に書き出してみてください。
| 質問 | 危ないサイン |
|---|---|
| そもそも、何が嫌で転職活動を始めた? | それが今回の提示で解決していない |
| 提示された条件は、いつから実行される? | 「来期から検討」など、時期があいまい |
| その約束は、書面に残る? | 口頭だけ |
| 残ったあと、上司との関係はどうなる? | 想像すると気まずい |
| 1年後も、ここにいる自分を想像できる? | できない |
3つ以上で「危ないサイン」に当てはまるなら、残るのは先送りかもしれません。
・辞めたかった理由が、実際に解消される(部署異動が決まった、など)
・内定先を見て、いまの会社のほうがいいと具体的に言える
・条件の改善が、時期と金額つきで示されている
・「残りたい」であって「動くのが怖い」ではない
この場合の「残る」は、立派な決断です。
どこまで進んでいるかで、話が変わります
「残る」と言っても、状況は人によってまったく違います。
自分がどこにいるか、先に確かめてください。
| いまの段階 | 戻りやすさ | やること |
|---|---|---|
| まだ誰にも言っていない | ◎ 何も起きません | 内定先に辞退の連絡をするだけ |
| 上司に口頭で伝えた | ◯ 撤回しやすい段階です | できるだけ早く、はっきり撤回を伝える |
| 退職届を出した | △ 会社の同意が必要になります | 人事にも直接相談する |
| 退職日が確定・後任が決まった | ✕ 戻れないことがあります | 戻れない前提で考え直す |
最後の段階まで進んでいる場合、「残る」という選択肢はもうない可能性があります。
後任の採用が動いていたり、すでに社内に周知されていたりするからです。
その場合は、迷うより、内定先で最初の3ヶ月をどう乗り切るかを考えるほうが建設的です。
入社前の不安については入社前に確認すべき質問にまとめました。
残ると決めたら、やること
順番があります。
1. 内定先に、すぐ連絡する
これを最優先にしてください。
会社はあなたが来る前提で動いています。
1日遅れるごとに、相手の損害が大きくなります。
伝え方は内定辞退の電話が怖いときにまとめました。
理由は、正直に言わなくて構いません。
「現職に残ることにしました」と言うと、そこから交渉が始まることがあるからです。
お時間を割いていただいたにもかかわらず、誠に申し訳ございません。
2. 退職の意思を、正式に撤回する
ここが、いちばん気まずいところだと思います。
ただ、あいまいなままにするのがいちばん危ないです。
「辞めると言ったけど、結局どうなったんだ」という状態が続くと、あなたの立場が宙に浮きます。
上司に、はっきり伝えてください。
いただいたお話を踏まえて考えた結果、引き続きこちらで働かせていただきたいと考えております。
ご迷惑をおかけしましたが、よろしくお願いいたします。
会社が受理したあとの撤回は、会社が同意すれば取り下げられるのが一般的です。
ただし、会社側に応じる義務があるとまでは言えません。
手続きがどこまで進んでいるか(後任の採用、社会保険の手続きなど)で扱いが変わることがあります。
不安がある場合は、労働基準監督署や社内の人事窓口に確認してください。
3. 提示された条件を、形に残す
口頭の約束は、忘れられます。
悪意がなくても、担当者が変われば消えます。
可能なら、書面か、せめてメールで残してください。
・〇月から、月額〇〇円の昇給
・〇〇部への異動
以上の理解で相違ないでしょうか。
角が立ちにくい聞き方です。
「確認させてください」は、疑っている言葉ではありません。
4. 期限を決めておく
これが、いちばん大事かもしれません。
「〇月までに約束が実行されなければ、もう一度動く」と、自分の中で決めておいてください。
期限がないと、何年でも待ってしまいます。
カレンダーに書いておくくらいで構いません。
先に伝える順番を、間違えないでください
残ると決めたときに、多くの人がやってしまう失敗があります。
会社に「残ります」と先に言ってしまうことです。
気持ちは分かります。
引き止められている相手に、早く安心してもらいたいからです。
ただ、そうすると交渉材料がなくなります。
「残ります」と伝える
↓
会社は「もう他に行かない」と分かる
↓
昇給の話が、いつの間にか小さくなる/消える
意地悪をしているわけではありません。
急ぐ理由がなくなっただけです。
だから、順番はこうしてください。
↓
②メールで残す(「認識の確認」として)
↓
③そのうえで、残ることを正式に伝える
↓
④内定先へ辞退の連絡
④を最後にするのは、あくまで数日の話です。
1週間も引っ張らないでください。
内定先を保険として置いておく形になり、相手に大きな迷惑がかかります。
①〜③は、1〜2日あれば終わります。
残ったあと、気まずさはどうなるか
正直に書きます。
しばらくは気まずいです。
上司はあなたが辞めようとしたことを覚えていますし、重要な仕事を任せにくくなる会社もあります。
ただ、多くの場合、数ヶ月で日常に戻ります。
人は、目の前の仕事のほうに関心が向くからです。
あなたにできるのは、普段どおり働くことだけです。
必要以上に謝ったり、「もう辞めません」と何度も言ったりしないでください。
かえって、話題を長引かせます。
1年後の自分に、渡しておくもの
残ると決めたなら、今日のうちにやっておいてほしいことがあります。
「なぜ残ることにしたのか」を書き残すことです。
数行で構いません。
・それは〇〇によって解決する(しない)
・提示された条件は〇〇(〇月から)
・〇月までに実行されなければ、もう一度動く
これがないと、半年後に「なんで残ったんだっけ」から始まります。
そして、また同じ悩みを、ゼロから考え直すことになります。
書いておけば、その日の自分が、未来の自分に判断材料を渡せます。
もう一つ。
職務経歴書は、消さずに残しておいてください。
作るのに何時間もかけたはずです。
次に動くときは、更新するだけで済みます。
半年に一度、その時点の実績を書き足しておくと、さらに楽になります。
・職務経歴書が、いつでも出せる
・自分の相場(提示された年収)を知っている
・期限を決めてある
この3つがあるだけで、「ここしかない」という感覚から自由でいられます。
それは、実際に転職するかどうかとは関係なく効いてきます。
よくある質問
Q. 引き止めを断って辞める人と、残る人の違いは何ですか
辞めたかった理由が、条件で解決するかどうかです。給料が不満で辞めようとしていた人は、昇給で残ることがあります。一方で、人間関係や仕事の中身が理由だった人は、いくら積まれても数ヶ月で元に戻ります。自分がどちらなのかを、先に確かめてください。
Q. 残ると決めたのに、まだ気持ちが揺れています
揺れるのは普通です。「決めた」は「迷わなくなる」ではありません。大事なのは、揺れたときに戻れる場所を作っておくことです。だから、決めた理由と期限を書き残しておいてください。揺れるたびにゼロから考え直すのが、いちばん消耗します。
Q. 一度辞退した会社に、また応募できますか
会社によります。受け付けているところもあります。そのためにも、辞退の連絡は丁寧にしておいてください。雑に終わらせると、その道が閉じます。
Q. エージェント経由の内定を辞退したら、次から紹介してもらえませんか
辞退は日常的に起きることなので、それだけで打ち切られることは普通ありません。ただし連絡を放置するのはよくありません。「現職に残ることにした」と正直に伝えれば、担当者はむしろ次の紹介の参考にします。
Q. 残ることにしたと言ったら、条件の話が消えました
残念ながら、あることです。だからこそ辞退の連絡より先に、条件を形に残しておくほうが安全です。順番を逆にすると、交渉材料がなくなります。
Q. どうしても決められません
「どちらを選んでも後悔する」と思っているなら、判断材料が足りていない可能性が高いです。内定先に、聞き残したことはありませんか。確認の質問は入社前に確認すべき質問にまとめました。
Q. 転職活動をやり直すとき、また一からですか
いいえ。職務経歴書も、面接の受け答えも、すでに一度作っています。次はそこを更新するだけです。エージェントの選び方は転職エージェントの選び方を参考にしてください。
選び直した、ということ
① 「辞めたかった理由」を紙に3つ書く
② そのうちいくつが解決するかを数える
③ 2つ以上残るなら、残る理由をもう一度考える
④ 残ると決めたら、今日中に内定先へ連絡
残るという選択は、負けではありません。
外を見たうえで、ここを選んだ。
それは、知らないまま留まるのとはまるで違うことです。
ただ、「怖いから残る」だけは避けてください。
その理由で残ると、同じ場所に、もう一度立つことになります。
そして、次に動くときは、今回より少し歳をとっています。
決めるのは、あなたです。
ただし、比べる材料だけは、揃えてから決めてください。
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