前の会社のやり方が抜けない…「前の会社では」は封印していい。経験を活かすのは覚えてから
前の会社のやり方が抜けないのは、あなたがそこで真剣に働いてきた証拠です。
ただ、「前の会社では」という言葉だけは、最初の数ヶ月は封印してください。
経験は、新しいやり方を覚えてから活かすほうが、ずっと受け入れてもらえます。
転職して1ヶ月。
新しい職場のやり方に、どうしてもなじめない。
前の会社なら、こうしていた。
そのほうが早いのに、と思ってしまう。
つい「前の会社では」と口にしたら、周りの空気が少し冷えた気がした。
手が勝手に、前の会社の手順で動いてしまう。
この記事は、前のやり方との付き合い方と、経験を上手に活かす方法を書きます。
抜けないのは、当たり前です
何年も同じやり方で働いてきたなら、体が覚えているのは当然です。
パソコンの操作、書類の書き方、仕事の段取り、言葉づかい。
どれも、意識しなくても手が動くほど自分のものになっているはずです。
それを数週間で切り替えるのは、誰にとっても簡単ではありません。
長くいた人ほど、抜けるまでに時間がかかるのも自然なことです。
だから、なじめないことを自分の柔軟性のなさだと責めなくて大丈夫です。
「前の会社では」が、嫌がられる理由
ただ、ひとつだけ気をつけたいことがあります。
「前の会社では」という言葉です。
あなたにとっては、ただ経験を話しているだけかもしれません。
でも、聞く側には、こう聞こえてしまうことがあります。
| あなたの意図 | 聞く側の受け取り方 |
|---|---|
| 参考までに、経験を伝えたい | 「この会社のやり方は劣っている」と言われた気がする |
| もっと効率よくできると思う | 「来たばかりなのに、何も分かっていない」と感じる |
| 前はこうだったので戸惑っている | 「前の会社に戻ればいいのに」と思われる |
いまの職場の人たちは、そのやり方で長く働いてきた人たちです。
そのやり方には、外からは見えない理由があることも多いです。
入ったばかりの人の「前の会社では」は、その積み重ねを否定しているように聞こえてしまうのです。
言い換えるだけで、受け取られ方が変わる
経験を話すこと自体が悪いわけではありません。
言い方を変えるだけで、同じ中身でも受け入れてもらえます。
| 言わないほうがいい | こう言い換える |
|---|---|
| 「前の会社では、こうしていました」 | 「こういうやり方もあると思うのですが、どうでしょう」 |
| 「このやり方、非効率じゃないですか」 | 「この手順には、どんな理由があるんですか」 |
| 「前はもっと簡単でした」 | 「まだ慣れなくて、時間がかかってしまっています」 |
いちばんのポイントは、出所を言わないことです。
「前の会社では」を外して、一つのアイデアとして話せば、比べられている感じがなくなります。
2つ目の「理由を聞く」は、とくにおすすめです。
理由を聞くと、そのやり方が生まれた背景が分かり、自分も納得して覚えられるようになります。
いまのやり方の「良いところ」を探す
前のやり方と比べると、どうしてもいまのやり方の足りないところばかりが目につきます。
そこで、あえていまのやり方の良いところを探してみてください。
・この手順だと、どんなミスが防げているか
・前の会社より、楽になっているところはどこか
・このやり方を続けている人たちは、何を大事にしているか
どんな職場のやり方にも、そうなった理由と、それなりの良さがあります。
良いところが一つ見つかると、新しいやり方への抵抗感がぐっと減ります。
そして、良いところを口にすると、周りの人も「この人は分かってくれている」と感じてくれます。
「この確認の手順、最初は多いなと思ったんですが、
おかげでミスに気づけました。よくできていますね。」
新しいやり方を、早く覚えるコツ
前のやり方が抜けないときは、違いを見える形にするのが近道です。
左に「前の会社」、右に「いまの会社」を書いて、違うところを並べる
例:
・日付の書き方|前:西暦 → いま:和暦
・報告の方法|前:口頭 → いま:チャットに記録
・決裁の流れ|前:課長まで → いま:部長まで
並べて書くと、どこで間違えやすいかが一目で分かります。
作業の前にこのメモを見れば、手が勝手に前のやり方で動くのを防げます。
このメモは、自分の手元だけに置いておいてください。
人に見られると、比べているように受け取られることがあります。
注意されたときの、受け止め方
前のやり方で動いてしまって、注意されることもあると思います。
そのときに大事なのは、言い訳をしないことです。
「前の会社ではこうだったので」と説明したくなる気持ちは分かります。
でも、その一言が、また比べていると受け取られてしまうことがあります。
「失礼しました。こちらのやり方で直します。
まだ慣れていなくて、教えていただいて助かります。」
素直に受け止めて、すぐに直す。
それを繰り返すうちに、周りは「覚えようとしている人」として見てくれるようになります。
経験を活かすのは、覚えてから
前の会社で身につけた経験は、役に立つ場面がきっと来ます。
ただし、それはいまの会社のやり方を覚えてからです。
| 時期 | 経験の出し方 |
|---|---|
| 最初の1ヶ月 | 出さない。いまのやり方を覚えることに集中する |
| 2〜3ヶ月 | 理由を聞きながら、やり方の背景を理解する |
| 3ヶ月以降 | 小さな改善を、「一つのアイデア」として提案してみる |
3ヶ月たって、いまのやり方をきちんとこなせるようになった人の提案は、聞いてもらいやすくなります。
「この会社のやり方も分かったうえで言っている」と、周りが感じるからです。
「いまのやり方にだいぶ慣れてきたのですが、
ここを少しこうすると、もう少し早くなるかもしれないと思っていて。
一度試してみてもいいでしょうか。」
ここでも、「前の会社では」は使いません。
あなたの経験は、アイデアの中身に溶け込ませれば十分です。
前のやり方を手放すのは、さみしいことでもある
前の会社のやり方は、あなたが時間をかけて身につけたものです。
それを手放すのは、少しさみしいことかもしれません。
でも、手放すのはやり方の形であって、身につけた力ではありません。
段取りを考える力、ミスに気づく目、人とやり取りする感覚。
そうした力は、どの会社のやり方にも乗せかえられます。
形が変わっても、中身はちゃんとあなたの中に残っています。
タイプ別|前の会社との違いが大きいほど、時間がかかる
どれくらいで慣れるかは、前の会社との違いの大きさによって変わります。
→ 仕事の中身は近いので、慣れるのは早め。そのぶん細かい違いでつまずきやすいので、対比メモが効きます
→ 仕組みが少なく、自分で判断する場面が増えます。「決まりがない」ことに慣れるのに時間がかかります
→ 手続きや確認が多く、遅く感じます。一つひとつの手順に理由があると考えると、なじみやすくなります
→ 言葉も常識も違います。新人のつもりで一から覚えると、かえって早く慣れます
自分がどれに当てはまるかが分かると、慣れるまでにかかる時間の見当がつきます。
前の会社を、懐かしく思ってしまうとき
やり方の違いに戸惑うと、前の会社のほうがよかったと感じることがあります。
それも自然なことです。
ただ、比べているのは「何年も慣れた前の会社」と「入って数週間の今の会社」です。
前の会社も、入ったばかりのころは、きっと同じように戸惑っていたはずです。
比べるなら、3ヶ月後の今の会社と比べてください。
それでも合わないと感じるなら、そのときに考えれば間に合います。
職場になじめない感覚が続くときは、中途入社で馴染めないも読んでみてください。
よくある質問
Q. 「前の会社では」と言ってしまい、嫌な顔をされました
一度なら、すぐに気にされなくなります。次から言い換えれば大丈夫です。気になるなら、「前のやり方が抜けなくて、つい言ってしまいました。こちらのやり方を早く覚えます」と一言伝えておくと、印象が和らぎます。
Q. 明らかに非効率なやり方があって、我慢できません
まずは理由を聞いてみてください。外から見て非効率でも、取引先の都合や過去のトラブルなど、理由があることは多いです。理由を聞いても改善したほうがいいと思えるなら、3ヶ月ほどたってから一つのアイデアとして提案してください。
Q. 前の会社のやり方で進めたら、注意されました
いまの会社のやり方に合わせてください。注意されたことを対比メモに書いておけば、同じことは起きにくくなります。前のやり方が正しかったとしても、まずは職場のルールに合わせるのが先です。
Q. 前の会社のほうが、仕事ができていた気がします
前の会社では、やり方も人間関係も分かっていたからです。いまは、その土台を作り直している途中です。土台ができれば、前の会社での力は、また発揮できるようになります。
Q. 経験者として採用されたので、アイデアを求められます
求められているなら、出して構いません。その場合も、「前の会社では」ではなく、「こういう方法もあると思います」と一つの案として話してください。いまのやり方の良いところも一緒に伝えると、受け入れてもらいやすくなります。
Q. 同僚が「前の会社では」とよく言うので困っています
悪気はないことがほとんどです。本人も、新しいやり方になじめずに戸惑っているのだと思います。「そのやり方もいいですね。ここではこうしていて」と、今のやり方を穏やかに伝えれば十分です。
Q. 前の会社の言葉づかいが、つい出てしまいます
社内でしか通じない言葉や略し方は、会社ごとに違います。周りが使っている言葉を、対比メモに書いておくと覚えやすくなります。つい出てしまっても、言い直せば問題ありません。
Q. いつになったら、前のやり方が抜けますか
人によりますが、3ヶ月ほどで大部分は切り替わることが多いです。それでも、ふとしたときに前のやり方が出ることはあります。完全に抜けなくても、仕事に支障がなければ気にしなくて大丈夫です。
Q. 前の会社の資料やテンプレートを使ってもいいですか
前の会社の資料をそのまま持ち込むのは避けてください。会社の情報にあたることがあります。自分の経験から作り直すのは問題ありませんが、まずはいまの会社にある資料を使うのが基本です。
Q. 前の会社のやり方のほうが良いと、上司に言われました
上司から意見を求められたなら、遠慮なく話して構いません。その場合も、いまのやり方の良いところと合わせて伝えると、提案として受け入れられやすくなります。
Q. 前の会社の話を、雑談でするのもよくないですか
雑談で前の職場の思い出話をするのは問題ありません。気をつけたいのは、仕事のやり方を比べる話です。「前の会社では〇〇が大変で」といった思い出話なら、会話のきっかけにもなります。
Q. 新しいやり方に慣れるまで、仕事が遅くなってしまいます
慣れるまでは、誰でも時間がかかります。周りも、入ったばかりの人が遅いのは分かっています。対比メモを見ながら、一つずつ丁寧に進めてください。速さは、慣れれば自然に戻ってきます。
Q. 前の会社の人に、今の会社のやり方を話してもいいですか
雑談として話す程度なら構いませんが、今の会社の仕事の中身や社内の情報は、社外の人には話さないようにしてください。前の会社の人に相談したいときも、具体的な社名や数字は伏せておくと安心です。
あわせて読みたい
中途入社で電話に出るのが怖い
転職先でパソコンの操作についていけない
転職先で周りが優秀に見える
経験は、なくなりません
① 「前の会社では」を、今日から言い換える
② 対比メモを作って、違いを3つ書き出す
③ 気になるやり方があれば、理由を一つ聞いてみる
前の会社のやり方が抜けないのは、あなたがそこで積み上げてきたものがあるからです。
その経験は、なくなりません。
ただ、いまは新しい土台を作る時期です。
いまのやり方を覚えたあとで、あなたの経験は一番いい形で活きてきます。
どうしても合わないと感じたときは、転職エージェントの選び方も参考にしてください。
※本記事は一般的な情報の解説であり、法的助言ではありません。※本記事には広告(PR)を含みます。