内定承諾書を出したら断れない?出す前に確認する5つと、書き方
内定承諾書は、出しても辞退できます。
ただし、出す前に確認しておくべきことがあります。
労働条件通知書と見比べて、金額・配属・勤務地が一致しているか。
ここを飛ばして出すと、あとで交渉する材料がなくなります。
内定が出た。
封筒が届いて、中に「内定承諾書」が入っている。
サインしたら、もう後戻りできないんじゃないか。
でも、返さないと内定が消えるかもしれない。
この記事では、出す前に何を確認するかと、出したあとどうなるかを書きます。
□ 条件に納得している → 確認だけして、期限内に出す
□ 条件が聞いていた話と違う → 出す前に確認(後述)
□ 他社の結果を待ちたい → 期限の相談ができます
□ すでに出したが、迷っている → 辞退はできます(最後の章)
いちばん危ないのは、迷ったまま黙って期限を過ぎることです。
内定承諾書とは何か
入社の意思を、書面で示すものです。
会社によって、入社承諾書・誓約書・内定承諾書など名前が違います。
中身はだいたい同じで、「〇月〇日から入社します」という意思表示です。
気になるのは、これを出すと縛られるのかという点だと思います。
結論を先に書きます。
出しても、辞退はできます。
内定を承諾した時点で、労働契約は成立していると考えられています。
ただし、期間の定めのない雇用契約であれば、労働者側からは申し出から2週間で解約できるとされています(民法627条)。
つまり、入社前でも、辞退という形で契約を終わらせることができます。
承諾書に「辞退しません」と書いてあっても、この扱いが変わるわけではありません。
詳しくは内定承諾後でも辞退できる?にまとめました。
ただし、「できる」と「していい」は別の話です。
会社は、あなたが来る前提で他の候補者を断っています。
迷いがあるなら、出す前に解消しておくのがいちばん誠実です。
出す前に確認する5つ
ここが、この記事でいちばん大事な部分です。
承諾書は、条件を確定させる区切りになります。
出したあとに「話が違う」と言っても、交渉しにくくなります。
まだなら、先に請求してください。書面での明示は会社が行うものとされています
② 金額は一致しているか
面接で聞いた額、内定通知の額、労働条件通知書の額。3つが同じかを見比べる
③ 給与の内訳
固定残業代が何時間分か/賞与は何ヶ月分の実績か
④ 配属先と勤務地
「会社の定める場所」とだけ書かれていないか。その書き方だと、異動を断る根拠がありません
⑤ 入社日
いまの会社の退職手続きが間に合うか。有給消化を含めて逆算する
この5つを確認するだけで、入社後の「思っていたのと違う」がかなり減ります。
確認すべきことの全体は入社前に確認すべき質問12にまとめました。
言いにくいことですが、出したあとに聞くほうが、はるかに言いにくくなります。
聞き方は事務的で構いません。
「労働条件通知書について、1点確認させていただきたい点がございます。書面では〇〇と記載されておりますが、面接では〇〇と伺っておりました。認識の相違かもしれませんので、お教えいただけますでしょうか」
単純な行き違いだった、というケースもあります。
似た書類が何枚も届きます
封筒を開けると、紙が何枚も入っていることがあります。
名前が似ていて、混乱しやすいところです。
| 書類 | 誰が出すもの | 役割 |
|---|---|---|
| 内定通知書 | 会社 → あなた | 採用を知らせる。受け取るだけ |
| 労働条件通知書 | 会社 → あなた | 条件が書かれた最重要の書類。必ず内容を確認 |
| 内定承諾書 | あなた → 会社 | 入社の意思を示す。署名して返送 |
| 誓約書 | あなた → 会社 | 秘密保持などを約束する |
| 身元保証書 | あなた+保証人 → 会社 | 親族などに署名を依頼する |
このうち、いちばん大事なのは労働条件通知書です。
承諾書は意思表示ですが、条件が書いてあるのはこちらだからです。
承諾書だけ届いて、条件の書面がないことがあります。
その場合は、先に請求してください。
「入社にあたり、労働条件について書面でいただくことは可能でしょうか」
書面での明示は会社が行うものとされています。
請求しても出てこない場合、それ自体が判断材料になります。
誓約書で、見ておくところ
多くは形式的なものですが、2つだけ見ておいてください。
1. 競業避止(退職後の制限)
「退職後〇年間、同業他社に就職しない」といった条項です。
こうした条項は常に有効とは限らず、範囲や期間によって扱いが変わります。
ただ、書いてあるかどうかは知っておいたほうがいいので、署名する前に読んでください。
2. 秘密保持
前職の情報を持ち込まない、という趣旨が含まれていることがあります。
これは守るべき内容です。
気になる条項があれば、署名前に質問して構いません。
「この条項について、具体的にどのような範囲を想定されているか教えていただけますか」で十分です。
期限を延ばしたいとき
他社の結果を待ちたい場合です。
相談して構いません。
企業も、応募者が他社を受けていることは分かっています。
黙って引き延ばすほうが、結果的に印象が悪くなります。
大変ありがたいお話ですが、他社の選考結果を待っている状況です。
恐れ入りますが、ご回答の期限を〇月〇日まで延ばしていただくことは可能でしょうか。
目安として、1週間程度なら応じてもらえることが多いです。
ただし、延長が確約されているわけではありません。
断られる可能性も考えて動いてください。
複数内定で迷っている場合の決め方は、複数の内定で決められないときにまとめました。
書き方と、返送のしかた
中身はほとんど印字されていて、書くところは限られています。
日付、住所、氏名、押印。
これだけのことが多いです。
・日付は、記入した日を書きます
・住所は省略せず、都道府県から書きます
・押印の指定があれば従う(シャチハタ不可の場合があります)
・間違えたら書き直す。修正液は使いません
・コピーを取ってから送る(何に署名したかの記録になります)
返送するときは、添え状(送付状)を付けると丁寧です。
人事部 〇〇様
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
このたびは内定のご連絡をいただき、誠にありがとうございました。
つきましては、ご送付いただきました内定承諾書に必要事項を記入のうえ、同封いたします。
入社まで準備を進めてまいりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。
敬具
〇〇年〇月〇日
〇〇 〇〇
封筒には「内定承諾書在中」と朱書きします。
メールでの提出を指定された場合は、その指示に従ってください。
出すまでの、いつまでに何をするか
封筒が届いてから返送するまで、おおむね1週間が目安です。
その間にやることを、順番に並べます。
・中身を全部出して、何が入っているか一覧にする
・返送期限を確認してカレンダーに入れる
1〜2日目
・労働条件通知書と、面接で聞いた内容を見比べる
・違いがあればメールで質問(この時点が最後のタイミング)
3〜4日目
・回答を確認して、納得できるか判断する
・入社日が退職手続きに間に合うか逆算する
5〜7日目
・記入してコピーを取る
・添え状を付けて返送
期限ぎりぎりに開けないでください。
質問する時間がなくなり、確認しないまま出すことになります。
封筒を開けないまま数日置いて、期限前日に慌てて署名して出す。
そして入社後に「話が違う」と気づく。
届いた日に中身を確認するだけで、考える時間が5日増えます。
出したあとにやること
承諾書を出したら、次は今の会社です。
ここで止まる人がとても多いところです。
入社日が決まった以上、逆算して退職を伝える日が決まります。
入社日の前日=退職日
↓ 有給の残日数を引く
最終出社日
↓ 引き継ぎ期間(1ヶ月が目安)を引く
退職を伝える日
有給が20日残っていれば、それだけで約1ヶ月です。
計算せずに「1ヶ月前でいいや」と伝えると、引き継ぎで1ヶ月が埋まり、有給が丸ごと消えます。
詳しい逆算は退職はいつ言うべき?にまとめました。
承諾書に入社日が印字されている場合、その日で確定してしまいます。
退職手続きが間に合わないと分かってから相談するより、出す前に「〇日からでも可能でしょうか」と聞くほうが穏やかに済みます。
入社日の調整は、内定後によくある相談です。
出したあとに、迷いが出てきたら
よくあることです。
決めた直後から不安になるのは、真剣に選んだ人ほど起きます。
まず、その迷いがどちらなのかを分けてください。
A:不安が日によって変わる
昨日は人間関係、今日は給料、明日は通勤時間。
対象が移り変わるなら、会社の問題ではなく、状態が不安定なだけです。
多くの場合、入社して数週間で気にならなくなります。
B:同じ一点が、何度考えても引っかかる
「年収がどうしても足りない」「勤務地が生活と両立できない」。
これは気持ちの問題ではなく、条件の問題です。
交渉するか、辞退するかを検討する材料になります。
Aの対処は内定ブルーの対処法に、Bで辞退を考える場合は内定承諾後でも辞退できる?にまとめました。
よくある質問
Q. 承諾書を出さないと、内定は取り消されますか
期限を過ぎて連絡もない場合、辞退したものとして扱われることがあります。出せない事情があるなら、黙っているのがいちばん危険です。期限の相談だけでも入れてください。
Q. 承諾書に「辞退した場合は損害賠償」と書かれています
そうした記載があっても、退職や辞退そのものを理由に賠償が認められるのは一般的なことではありません。ただし、実際に請求の話になった場合は、一人で対応せず、労働基準監督署や弁護士に相談してください。
Q. 身元保証人が必要と言われました
求められること自体は珍しくありません。親や親族に依頼するのが一般的です。内容に不安があるなら、署名する前に、保証の範囲を確認してください。
Q. 承諾書を出す前に、職場見学はできますか
聞いてみる価値はあります。「配属予定の部署の方と、一度お話しさせていただくことは可能でしょうか」で十分です。失礼にはあたりませんし、断られたら、それも判断材料になります。
Q. コピーを取り忘れて送ってしまいました
後日、「控えをいただくことは可能でしょうか」と聞いて構いません。入社時に労働条件通知書と雇用契約書を受け取るので、そちらで条件は確認できます。
Q. 承諾書に入社日が印字されていて、変えられません
返送する前に相談してください。入社日の調整は、内定後によくある相談です。「現職の引き継ぎの都合で、〇日からでも可能でしょうか」で構いません。2週間から1ヶ月程度の調整が現実的な範囲です。
Q. 郵送で返すか、手渡しか指定がありません
指定がなければ郵送で構いません。添え状を付けて、封筒に「内定承諾書在中」と朱書きしてください。心配なら、「郵送でお送りしてよろしいでしょうか」と一言確認すれば確実です。
出す前の5分が、あとを決めます
① 労働条件通知書を手元に出す
② 承諾書と並べて、金額・配属・勤務地・入社日を見比べる
③ 違いがあれば、出す前にメールで聞く
5分で終わります。ここを飛ばすと、あとで聞く材料がなくなります。
内定承諾書は、あなたを縛るためのものではありません。
出したあとでも辞退はできます。
でも、条件を確定させる区切りではあります。
だからこそ、出す前に見比べてください。
条件に納得できるかどうか、一人で判断しづらいこともあると思います。
提示された条件が相場から見てどうなのかは、同じような経歴の人を何人も見ている担当者に聞くのが早いです。
相談は無料で、内定が出たあとからでも使えます。
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※本記事は一般的な情報の解説であり、法的助言ではありません。書式や手続きは会社によって異なります。個別のご事情については、労働基準監督署や弁護士などの専門窓口にご相談ください。※本記事には広告(PR)を含みます。