教育係と合わない…相性で決めつけない。仕事を進めるための切り分けと距離の取り方
教育係と合わないときは、「相性」で片づけないでください。
原因が教え方なのか、態度なのかで、やることがまったく変わります。
教え方が合わないだけなら、聞き方を変えるだけで解決します。
人格を否定されるような言い方が続くなら、それは指導ではなく、相談すべきことです。
分からないことを聞くと、ため息をつかれる。
「前に言ったよね」と言われて、それ以上聞けなくなる。
ほかの人には普通に話しているのに、自分にだけ言い方がきつい気がする。
この人に教わり続けるのかと思うと、朝、会社に行くのが重い。
この記事は、やることの切り分けから書きます。
まず、3つに切り分ける
「合わない」の中身は、大きく3つに分かれます。
| 型 | 起きていること | やること |
|---|---|---|
| ①教え方が合わない | 説明が早い、手順を飛ばす、言葉が専門的すぎる | 聞き方を変える |
| ②態度がきつい | ため息、きつい言い方、無視される | 距離を取る/記録を残す |
| ③相性の問題 | 特に何をされたわけでもないが、話しづらい | 仕事の話だけに絞る |
いちばん多いのは①です。
そして①は、あなたの側の工夫で変えられます。
逆に②は、あなたが我慢して解決する話ではありません。
どれに当てはまるかを決めてから、次に進んでください。
①教え方が合わないとき
教える側は、自分が分かっていることを、分からない人に説明するのが苦手なことがあります。
悪意があるわけではなく、どこが分からないかが見えていないだけです。
だから、こちらから伝えると急に良くなることがあります。
「すみません、メモを取りたいので、少しゆっくりお願いできますか。」
「◯◯までは分かったのですが、そのあとが分かりませんでした。
もう一度、そこだけ教えていただけますか。」
2つ目の言い方が、とくに効きます。
どこまで分かったかを先に言うと、相手の説明が短くて済むからです。
「全部分かりません」と言われるより、教える側もずっと楽になります。
同じことを何度も聞いてしまうとき
「前に言ったよね」と言われるのは、つらいものです。
ただ、ここは記録の取り方で解決できます。
・番号をふって、1行1操作で書く
・教わったその場で書く(あとで書こうとすると忘れます)
・業務ごとにページを分ける(あとで探せます)
・教わった直後に「この手順で合っていますか」と読み上げて確認する
最後の項目が、いちばん効きます。
その場で確認すれば、間違って覚えることがなくなります。
質問そのものがしづらいときは、上司が忙しくて質問できないときも参考にしてください。
教育係の側にも、事情があります
相手を擁護するつもりはありませんが、知っておくと気持ちが軽くなることがあります。
教育係は、多くの場合自分の仕事を抱えたまま、あなたを教えています。
| 教育係が置かれている状況 | そこから起きること |
|---|---|
| 自分の担当業務は減っていない | 教える時間の分だけ、自分の仕事が遅れます |
| 教え方を習ったわけではない | 何をどの順で教えればいいか、本人も分かっていません |
| あなたの成長に責任を負わされている | 焦りが、きつい言い方になって出ることがあります |
| 本人が希望したとは限らない | 任されただけで、気が進んでいないこともあります |
つまり、きつい態度の多くは、あなたに向けられたものではありません。
相手の余裕のなさが、たまたまあなたに当たっているだけ、ということがよくあります。
これが分かると、自分が責められているという感じ方が少し変わります。
相手の負担を減らす聞き方
相手に余裕がないなら、こちらから負担を減らすと関係が変わります。
・聞くことをまとめて、一度に聞く
・「いま3分だけ、お時間いただけますか」と時間を先に伝える
・自分の案を添えて、確認の形にする
・教わったあと、「助かりました」と必ず言う
最後の一言が、意外なほど効きます。
教える側は、自分の時間を使っている自覚があるので、お礼があるだけで印象が変わります。
②態度がきついとき
ここは、線引きが必要です。
厳しい指導と、そうでないものは違います。
| 指導の範囲 | 範囲を超えている可能性があるもの |
|---|---|
| やり方の誤りを、具体的に指摘される | 人格や性格を否定される |
| 期限や品質について、厳しく言われる | 大勢の前で、繰り返し責められる |
| やり直しを求められる | 必要な情報を、わざと教えてもらえない |
| 言い方が、ややきつい | 無視される、挨拶を返してもらえない状態が続く |
左は、仕事のやり方についての話です。
右は、あなた自身を否定するものです。
厚生労働省は、職場のパワーハラスメントを
①優越的な関係を背景とした言動であって
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより
③労働者の就業環境が害されるもの
という3つをすべて満たすものとしています。当てはまるかどうかの判断は状況によりますので、気になるときは社内の相談窓口や、各労働局の総合労働相談コーナーにご相談ください。
記録を残しておく
右側に当てはまることが続いているなら、記録を取ってください。
・日付と時間
・どこで(誰がいたか)
・言われた言葉を、そのまま
・そのときの自分の状況(何を聞いたときか)
記録があるかどうかで、相談したときの話の進み方が変わります。
スマートフォンのメモでも、手帳でも構いません。
その日のうちに書くのがコツです。
担当を変えてほしいと、言えるのか
結論から言うと、相談すること自体は問題ありません。
ただし、伝え方で結果が変わります。
| 伝わりにくい言い方 | 伝わりやすい言い方 |
|---|---|
| 「◯◯さんと合わないので、変えてください」 | 「◯◯の業務について、別の方にも教えていただけると助かります」 |
| 「きつく言われてつらいです」 | 「聞きたいことが聞けず、仕事が止まってしまっています」 |
ポイントは、人ではなく、仕事の話にすることです。
「合わない」は個人の感情に聞こえますが、「仕事が進まない」は職場の問題になります。
上司は、仕事が止まっていることには動きます。
「◯◯の作業で分からないところがあるのですが、聞くタイミングがつかめず、進められていません。
この部分だけ、別の方に教えていただくことはできますか。」
この言い方なら、誰かを悪く言わずに、状況を変えられます。
距離の取り方
担当が変わらないこともあります。
その場合は、関わる量を減らすことを考えてください。
・聞くことをまとめて、1日1〜2回にする(接点の回数が減ります)
・調べて分かることは、自分で調べる
・ほかに聞ける人を、1人作っておく
・雑談はしない(仕事の話だけに絞ると、疲れが減ります)
3つ目が、いちばん大きく変わります。
聞ける相手が2人いるだけで、追い詰められる感じがなくなります。
誰でもいいので、話しかけやすい人を1人見つけてください。
そして、教育係との関係は期間限定だと考えてください。
多くの職場では、教育係がつくのは数か月です。
ずっと続くわけではありません。
つらさを、ひとりで抱えないために
教育係との関係は、逃げ場がないように感じやすいものです。
毎日顔を合わせ、分からないことは全部その人に聞くしかない。
だから、ほかの人間関係より重くのしかかります。
ここで大事なのは、職場の外にも話せる場所を持っておくことです。
| 話せる相手 | 向いていること |
|---|---|
| 社内の別の部署の人 | 職場の事情が分かるので、具体的な助言がもらえます |
| 社内の相談窓口 | 記録として残ります。ハラスメントの相談先でもあります |
| 家族・友人 | 気持ちを吐き出す場所として |
| 総合労働相談コーナー(各労働局) | 無料で相談できます。予約なしでも対応しています |
ひとりで抱えていると、自分が悪いのだと思い込みやすくなります。
誰かに話すだけで、状況が客観的に見えることがあります。
・夜、眠れない
・朝、起きられない、動悸がする
・食欲がない状態が続く
このようなときは、我慢を続けないでください。医療機関に相談したうえで、休むことや、環境を変えることを考えてください。
タイプ別|いま、どれに当てはまるか
□ 言い方はきついが、聞けば答えてくれる
□ ほかの人にも、同じような態度をとっている
□ 仕事そのものは、きちんと教えてくれる
このタイプは、聞き方とメモの取り方で、かなり楽になります。
□ 質問しても答えてもらえない
□ 必要な情報を教えてもらえず、仕事が進まない
□ 自分にだけ、明らかに態度が違う
このタイプは、上司に相談してください。あなたの工夫では解決しません。
□ 人格や容姿について言われる
□ 大勢の前で、繰り返し責められる
□ 眠れない、朝つらいなど、体に出てきている
このときは、記録を残して、相談窓口へ。
体に出ているなら、医療機関にも相談してください。
よくある質問
Q. 教育係に嫌われている気がします
新しく入った人を教えるのは、その人の通常業務に追加された仕事です。余裕がなくて機嫌が悪いだけ、ということもよくあります。嫌われていると決める前に、仕事の話だけに絞って様子を見てください。
Q. 人によって教え方が違って、混乱します
よくあることです。「前は◯◯と教わったのですが、どちらで進めますか」と確認してください。責めている形にならないよう、あくまで確認として聞くのがコツです。
Q. 教育係以外の人に聞いてもいいですか
基本的には問題ありません。ただ、職場によっては「まず教育係に」というルールがあります。気になるなら、上司に「◯◯さんが忙しいときは、どなたに聞けばいいですか」と確認しておくと安心です。
Q. 教育係のせいで辞めたいです
その気持ちになるのは、無理もありません。ただ、教育係がつく期間は多くの場合、数か月です。あと何か月かを確認したうえで、それでも続けられないと感じるなら、環境を変えることも選択肢です。
Q. 聞くと「自分で考えて」と言われます
自分なりの案を添えて聞くと、通りやすくなります。「◯◯かと思ったのですが、この進め方で合っていますか」と聞けば、考えたうえで確認していると伝わります。
Q. ミスを大勢の前で言われるのがつらいです
繰り返されるなら、記録に残しておいてください。そのうえで上司に「人のいる場所で言われると、萎縮してしまいます」と伝えるのは、おかしなことではありません。
Q. 上司に相談したら、教育係との関係が悪くなりませんか
人の批判ではなく、「仕事が進んでいない」という形で相談すれば、角が立ちにくくなります。伝え方の例は、この記事の中ほどに書いています。
Q. 我慢していれば、そのうち慣れますか
教え方が合わないだけなら、慣れることもあります。ただ、人格を否定されるようなことが続いているなら、慣れるべきものではありません。早めに相談してください。
Q. 教育係がいつ交代するのか分かりません
上司に「教育期間はどのくらいを想定されていますか」と聞いておくと、見通しが立ちます。終わりが見えるだけで、気持ちの持ち方が変わります。聞くこと自体は、失礼にはなりません。
Q. まだ数週間ですが、もう限界です
数週間で限界を感じるのは、それだけ負担が大きいということです。まず、この記事の切り分けをしてみてください。そのうえで態度の問題なら、我慢せず相談してください。相談しても変わらないなら、環境を変える判断も現実的です。
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① 「合わない」の中身が、教え方か態度かを決める
② 教わったことを、その場で読み上げて確認する
③ 教育係のほかに、聞ける人を1人見つける
教育係と合わないのは、よくあることです。
教え方が合わないだけなら、聞き方とメモで変えられます。
態度の問題なら、あなたが我慢する話ではありません。
どちらなのかを決めて、必要なら記録を残して相談してください。
人を育てる体制のない職場だと分かったときは、転職エージェントの選び方も見ておいてください。
※本記事は一般的な情報の解説であり、法的助言・医学的助言ではありません。ハラスメントに当たるかどうかの判断は、個別の状況によって異なります。困ったときは総合労働相談コーナー(各労働局)などの公的な窓口に、体調の不安が続く場合は医療機関にご相談ください。※本記事には広告(PR)を含みます。