転職で年収が上がりすぎて怖い…金額でなく「根拠」を見れば消えます
年収が上がりすぎて怖いと感じるのは、金額ではなく「根拠が見えていない」からです。
なぜその額なのかを聞けば、怖さはかなり消えます。
ただし、本当に注意したほうがいい上がり方もあります。
この記事では、その見分け方を書きます。
内定が出た。
提示された年収が、いまより大幅に高い。
うれしいはずなのに、素直に喜べない。
自分にそんな価値があるのか。
期待に応えられなかったら、どうなるのか。
この感覚は、おかしくありません。
むしろ、仕事を真面目に考えている人ほど出てきます。
なぜ、上がると怖くなるのか
理由は、だいたい3つです。
1. 根拠が見えていない
いちばん大きいのがこれです。
なぜその金額なのか、説明を受けていない。
だから、自分の実力とのズレを想像してしまいます。
金額そのものより、分からないことが怖いのです。
2. いまの評価に慣れている
何年も同じ会社にいると、その会社の評価が「自分の値段」だと感じてきます。
でも、会社が違えば、同じ仕事の値段は変わります。
業界が違えば、もっと変わります。
上がったのではなく、市場では最初からその額だったということが普通にあります。
3. 失敗したときの落差が怖い
高い年収で入って、期待に応えられなかったらどうなるか。
この想像が、いちばん重くのしかかります。
ここは後半で扱います。
よくある「上がり方」と、その中身
上がった理由が分かれば、怖さの半分は消えます。
| 上がった理由 | 中身 | 危険度 |
|---|---|---|
| 業界の相場が違う | 同じ仕事でも、業界によって単価が違います。いちばん多い理由です | 低 |
| いまの会社が安かった | 長く同じ会社にいると起きます。昇給が止まっていた分の是正 | 低 |
| 職位が上がる | 役職つきでの採用。責任も一緒に増えます | 中 |
| みなし残業が多く含まれている | 額面は高いが、時間あたりで見ると下がることも | 高 |
| 賞与や手当を含んだ「想定年収」 | 業績次第で下がる部分が大きい。確定している額を確かめる | 高 |
| 人が定着していない | 高く出さないと採れない状態。理由を確かめる必要があります | 高 |
上の3つなら、怖がる必要はほとんどありません。
下の3つに当てはまるなら、確認してから決めてください。
額面が上がっても、手元は同じだけ増えません
先に、現実的な数字の話をしておきます。
年収が上がると、税金と社会保険料も上がります。
だから、額面の増加分が、そのまま手取りにはなりません。
・所得税(金額が上がると税率の区分も変わることがあります)
・住民税(翌年から上がります。ここを忘れがちです)
・厚生年金・健康保険(給与の水準に応じて上がります)
・雇用保険
とくに住民税は1年遅れて来ます。
入社2年目に「思ったより手取りが増えていない」と感じるのは、たいていこれが理由です。
これは、怖がる話ではなく、知っておく話です。
知らないと、「話が違った」と感じてしまいます。
額面が上がった分のうち、手元に残るのは、おおよそ7〜8割程度と考えておくと、あとで落胆しません。
正確な額は収入や扶養の状況で変わるので、気になる場合は税務署や自治体の窓口で確認してください。
入社前に、これだけは聞いてください
聞きにくいと思うかもしれませんが、入社前に聞くのが普通です。
入ってから知るほうが、お互いに困ります。
① 提示額のうち、確定している部分はいくらか(賞与・手当を除いた額)
② みなし残業は何時間分、いくら含まれているか
③ その金額は、どの等級・役職に対するものか
④ 入社後、最初に期待されている成果は何か
⑤ 同じ職位の人は、何年でその額になっているか
とくに④が大事です。
「何をすれば期待に応えたことになるのか」を、先に言葉にしてもらう。
これがはっきりしていれば、入社後に迷いません。
はっきり答えられない会社なら、そちらのほうが心配です。
最初の半年で、どこまでできていれば期待に沿えているとお考えでしょうか。
また、ご提示いただいた金額のうち、確定している部分と、業績によって変動する部分を教えていただけますでしょうか。
この聞き方なら、金に細かい人には見えません。
むしろ、入社後を真剣に考えている人に見えます。
入社前に確認すべきことは入社前に確認すべき質問12にまとめました。
「期待に応えられなかったら」への答え
ここが、本当に聞きたいところだと思います。
正直に書きます。
年収が高いほど、成果を求められるのは事実です。
ただ、入社してすぐ切られるようなことは、普通は起きません。
会社は、採用に時間もお金もかけています。
すぐ辞めさせるほうが、会社にとって損です。
・昇給が止まる(入社時が天井になる)
・賞与の査定が厳しくなる
・期待されていた役割から外れる
つまり、いきなりゼロになるのではなく、上がらなくなるという形です。
それでも、いまの年収より下にはなりにくい。ここは知っておいてください。
そして、もう一つ。
会社は、できない人を高く採るほど余裕がありません。
その金額が出たということは、複数の人が見て「出せる」と判断したということです。
面接で話したのは、あなた自身です。
盛って通ったのでなければ、評価は実物に対してついています。
入社後、最初の3ヶ月をどう過ごすか
高い年収で入ると、「早く結果を出さなければ」と焦ります。
この焦りが、いちばんの落とし穴です。
1. 最初から飛ばさない
やりがちなのが、入社直後に大きな提案をすることです。
高く採られた自覚があるほど、価値を早く示したくなります。
でも、その職場のやり方を知らないうちの提案は、まず通りません。
通らないどころか、「分かっていない人」と見られます。
2. 小さい仕事をきちんと返す
最初の3ヶ月は、小さい仕事をきちんと終わらせるほうが効きます。
「この人は任せたことをちゃんと返す」。
この評価が先にできると、そのあと大きい仕事が回ってきます。
3. 期待値を、途中で確認する
3ヶ月目あたりで、一度すり合わせてください。
足りていない点があれば、早めに直したいと考えております。
これを自分から言える人は、ほとんどいません。
だから、言うだけで印象に残ります。
そして何より、不安を抱えたまま働く期間が終わります。
「期待に応えられていないのでは」と思いながら働く時間は、実際に指摘されるよりつらいものです。
確認してしまえば、足りない点があっても「直せばいい」に変わります。
入社後の不安については入社前日が不安でしかないときも参考にしてください。
本当に気をつけたほうがいい上がり方
危ないパターンも書いておきます。
・面接が1回で、あっさり決まった(見極めていない可能性)
・提示額の内訳を説明されない
・「頑張り次第でもっと出せる」と言われる(確定していない)
・同じポジションの人が、短期間で入れ替わっている
・求人が長期間ずっと出ている
これらは、金額が高いこと自体が問題なのではありません。
高くしないと人が来ない事情があるかもしれない、ということです。
その事情が納得できるものなら問題ありません。
急な事業拡大、欠員の緊急補充。
こういう理由なら、むしろチャンスです。
確かめずに決めるのが、いちばんよくありません。
いまの会社が安かっただけ、ということもあります
これは、思っているより多いケースです。
同じ会社に長くいると、その会社の給与表の中でしか動けません。
毎年の昇給が数千円なら、10年いても大きくは変わりません。
一方で、その間にあなたの経験は積み上がっています。
つまり、実力と社内の評価が、少しずつ離れていくということが起きます。
入社時=実力と給与がだいたい一致している
↓
経験は毎年増えるが、昇給は横ばい
↓
10年後=実力が給与を追い越している
↓
転職して、市場の値段が提示される
これは「上がりすぎ」ではなく、ずれが一度に是正されただけです。
だから、「急に上がった」と感じるのは自然です。
実際には、10年かけて開いた差が、1回で埋まっているだけだからです。
確かめる方法
自分がどちらなのかは、他社の提示額を1〜2社見れば分かります。
複数の会社からだいたい同じ水準が出るなら、それがいまの市場での評価です。
1社だけ突出して高いなら、その1社に事情がある可能性を考えたほうがいいです。
1社しか受けていないと、その金額が高いのか安いのか判断できません。
比べる相手がいて初めて、提示額の意味が分かります。
複数の内定で迷ったときの決め方は複数の内定で迷ったときの決め方にまとめました。
よくある質問
Q. エージェント経由だと、高く出るよう仕組まれていませんか
エージェントの報酬は、決まった年収に応じて企業から支払われる仕組みです。だから、高く決まるほうが担当者にとっても得になります。ただし、企業側が払えない額を出すことはできません。気になるなら、その金額の根拠を担当者に説明してもらってください。説明できない担当者なら、そちらのほうが問題です。
Q. 入社してから「思っていたのと違う」となったら
提示された条件と実際が違う場合は、我慢せず確認してください。労働条件の通知は書面などで受け取っているはずなので、まずそれと突き合わせます。対応の手順は入社したら労働条件が違ったときにまとめました。
Q. 上がった年収を、周りに言うべきですか
言わなくていいです。とくに前職の同僚には言わないほうが無難です。悪気なく話したことが、あとで気まずさになることがあります。家族と、必要なら税や保険の手続きの範囲で共有すれば十分です。
Q. 何%上がったら「上がりすぎ」ですか
決まった基準はありません。大事なのは上がり幅そのものより、その理由が説明できるかです。業界を変えた、職位が上がった、いまの会社の水準が低かった。理由が言えるなら、幅が大きくても問題ありません。
Q. 提示額を、自分から下げてもらうべきですか
その必要はありません。提示額は、会社があなたの経験に対して決めたものです。下げてほしいと言うと、かえって自信のなさが伝わります。不安なら、下げるのではなく根拠を聞いてください。
Q. 上がった分、残業が増えませんか
その可能性はあります。だからみなし残業の有無と時間数は必ず確認してください。額面が上がっても、時間あたりの単価では下がっていることがあります。月の想定残業時間を聞けば、おおよそ計算できます。
Q. 家族に「話がうますぎる」と言われました
健全な反応です。その違和感は、確認するきっかけとして使ってください。この記事の5つの質問を会社に聞いて、答えを持ち帰って一緒に見れば、不安が具体的な話に変わります。
Q. 逆に、いまの会社に残ったほうが安全でしょうか
安全に見えるだけ、ということもあります。いまの会社の年収が動いていないなら、5年後も同じかもしれません。判断材料の集め方は内定を辞退して現職に残るのはあり?にまとめました。
怖いのは、真面目に受け止めているから
① 提示額のうち確定している部分を、書き出す
② みなし残業が含まれているか確認する
③ 「最初の半年で何を期待されているか」を、担当者に聞く
③だけでも聞けば、怖さはかなり具体的な話に変わります。
年収が上がって怖いと感じるのは、その金額に責任を感じているからです。
もらえるだけもらおう、と思える人なら怖くなりません。
その真面目さは、入社後に効いてくる性質です。
ただ、怖いまま入社しないでください。
聞けば分かることを、聞かずに抱えたままにすると、入社後もずっと続きます。
金額の根拠を聞く。
期待されていることを聞く。
この2つで、大半は解消します。
それでも判断に迷うなら、外の目で見てもらうのがいちばん早いです。
選び方は転職エージェントの選び方にまとめました。
※本記事は一般的な情報の解説であり、法的助言ではありません。個別のご事情については、労働基準監督署や公的な相談窓口にご相談ください。※本記事には広告(PR)を含みます。