退職理由をしつこく聞かれる…本当の理由は言わなくていい。角の立たない答え方
退職理由を、本当の理由まで全部話す必要はありません。
詳しく話さなくても、退職の手続きはふつうに進みます。
しつこく聞かれたら、「前向きな理由を1つ」に絞って、同じ言葉を繰り返すのがいちばん穏やかです。
理由を変えたり、足したりすると、かえって話が長くなります。
上司に退職を伝えた。
「一身上の都合で」と言ったのに、「本当の理由は?」と聞き返された。
答えをはぐらかしても、日を改めてまた聞かれる。
本当の理由は、あなたのパワハラですとは、とても言えない。
職場の雰囲気が合わなかった、とも言いにくい。
どこまで話せばいいのだろう。
この記事は、しつこく聞かれたときの答え方と、話がこじれないための考え方を書きます。
上司が理由を聞きたがる、本当のわけ
上司がしつこく聞いてくるのには、いくつか理由があります。
| 聞きたがる理由 | 中身 |
|---|---|
| 引き止めの材料を探している | 理由が分かれば、それを解決して残ってもらえるかもしれない |
| 上に報告しなければいけない | 「なぜ辞めるのか」を、さらに上の人から聞かれる立場にある |
| 自分のせいか気になっている | 自分の接し方に問題があったのでは、と不安に感じている |
| 職場を良くしたい | 同じ理由で次の人が辞めないように、原因を知りたい |
| 単に納得できない | 急な話で、気持ちの整理がついていない |
いちばん多いのは、1つ目と2つ目です。
つまり、上司は「説明できる理由」がほしいのです。
本当の理由でなくても、上に報告できて、引き止めにくい理由を1つ渡せば、たいてい話は落ち着きます。
本当の理由を言わなくていい理由
「うそをつくようで気が引ける」という人もいると思います。
でも、退職理由は全部を話すものではなく、伝える部分を選ぶものです。
人間関係や不満が本当の理由でも、それを伝えて得をすることはほとんどありません。
| 本当の理由を話すと | 起きやすいこと |
|---|---|
| 人間関係 | 相手が特定されて、残りの期間が気まずくなる |
| 給料・待遇の不満 | 「上げるから残って」と引き止めの材料になる |
| 仕事量・忙しさ | 「減らすから」と言われ、話が長引く |
| 上司本人のこと | 最後の数週間が、いちばんつらい期間になる |
どれも、辞めることは変わらないのに、残りの期間だけがつらくなる結果になりがちです。
だから、伝える理由は「前向きで、会社には解決できないもの」を選ぶのがいちばんです。
伝える前に、準備しておくこと
しつこく聞かれて困る人の多くは、その場で理由を考えていることが多いです。
その場で考えると、言葉に詰まり、少しずつ話が変わっていきます。
伝える前に、答えを準備しておくだけで、ずいぶん楽になります。
① 伝える理由を一文で書く(「〇〇に挑戦したくて」など)
② 「なぜ今なのか」を聞かれたときの一文も用意する
③ 引き止められたときの一文も用意する(「決めたことなので」)
④ 3つとも、声に出して一度言ってみる
②はよく聞かれるのに、準備していない人が多い質問です。
「ちょうど区切りのいい時期でもあり、
先延ばしにすると決心が鈍ると思ったので。」
この3つの答えがあれば、ほとんどの質問に落ち着いて答えられます。
しつこく聞かれたときの、答え方
基本の型|前向きな理由を1つだけ
「以前から挑戦したいと思っていた仕事があり、
今回その機会が決まったので、決断しました。
こちらでの経験は、本当にありがたかったです。」
ポイントは、「会社の外にある理由」にすることです。
挑戦したい仕事、住む場所、家族の事情。
こうした理由は、会社がどうにかできるものではないので、引き止めの材料になりません。
それでも聞かれたら|同じ言葉を繰り返す
二度三度聞かれても、理由を変えたり、足したりしないでください。
「先日お伝えしたとおりで、それ以上の理由はないんです。
ご心配をおかけしてすみません。」
理由を少しずつ変えると、上司は「まだ本当のことを言っていない」と感じて、さらに聞いてきます。
同じ言葉を、同じ落ち着いた調子で繰り返す。
それがいちばん早く、話を終わらせる方法です。
「本当は何か不満があったんでしょう」と言われたら
「不満というより、自分のやりたいことを優先したいと思ったんです。
こちらで働けたことには感謝しています。」
「不満はない」と言い切らなくていいのがポイントです。
「不満より、やりたいことを選んだ」という形にすれば、うそをつかずに済みます。
タイプ別|あなたの本当の理由に、当てはまる伝え方
本当の理由ごとに、角の立たない伝え方をまとめました。
→ 「新しい環境で、自分の力を試してみたくなりました」
人の話は一切出さない。これがいちばん大事です
→ 「将来の生活を考えて、別の分野に挑戦することにしました」
金額の話はしない。「上げるから」と言われる入口になります
→ 「自分の時間の使い方を、見直したいと思いました」
「忙しいから」とは言わない。「減らすから」と返されます
→ 「体調を整えることを優先したいと思っています」
詳しい症状まで話す必要はありません
どれも、本当の理由とまったく関係のない話ではありません。
本当の理由の「前向きな側面」を切り取って伝えている、と考えてください。
話がこじれないために、やらないこと
・聞かれるたびに理由を変える(信用されなくなります)
・「〇〇さんが嫌で」と人の名前を出す(残りの期間が地獄になります)
・感情的に不満をぶつける(最後の印象がそれで決まります)
・「理由は言えません」と突っぱねる(かえって詮索されます)
・転職先の会社名を話す(同業なら特に、あとで面倒になることがあります)
4つ目は意外かもしれません。
「言えません」と拒否すると、何か重大な理由があるのではと受け取られます。
それより、前向きな理由を1つ、はっきり伝えてしまうほうが、話は早く終わります。
面談で聞かれたときの、流れ
退職を伝えると、改めて面談の場を設けられることもあります。
面談は、だいたい次の流れで進みます。
| 面談の流れ | あなたの答え方 |
|---|---|
| 理由を聞かれる | 準備した一文を伝える |
| 本当の理由を探られる | 同じ一文を繰り返す |
| 条件を変えるから残れないかと言われる | 「ありがたいお話ですが、決めたことなので」 |
| 退職日や引き継ぎの話になる | ここからは具体的に話して構いません |
面談のゴールは、「理由」の話を早めに終えて、「退職日と引き継ぎ」の話に移ることです。
こちらから「引き継ぎはどのように進めればよいでしょうか」と話を向けると、自然に話題が移ります。
本当の理由を、伝えたほうがいいとき
ただし、本当の理由を伝えたほうがいい場面もあります。
| 場面 | 考え方 |
|---|---|
| ハラスメントを受けていた | 上司本人でなく、人事や別の上司に伝えるほうが安全です |
| 信頼できる上司で、職場を良くしたい | 最終日近くに、感情を抜いて事実だけ伝えるなら意味があります |
| 退職面談やアンケートがある | 会社が改善のために聞いている場なら、書ける範囲で書いても構いません |
ハラスメントが理由の場合は、いつ・誰に・何をされたかの記録を残しておいてください。
社外に相談したいときは、総合労働相談コーナー(各労働局)で無料で相談できます。
しつこさが続くときは
何度も呼び出されて理由を聞かれる。
責めるような言い方をされる。
こうしたことが続くなら、一人で対応しなくていいです。
① 退職日と退職の意思を、メールなど記録に残る形でもう一度伝える
② 面談を求められたら、人事など第三者の同席をお願いする
③ いつ・何を言われたかをメモしておく
①は、話を「理由」から「手続き」に戻すために効きます。
理由の話が続くのは、まだ退職がはっきり決まっていないように見えているからかもしれません。
引き止めが続く場合は、退職の引き止めがしつこいにまとめました。
そもそも伝えるのが怖いときは、上司に退職を伝えるのが怖いも読んでみてください。
よくある質問
Q. 本当の理由と違うことを言うのは、うそになりませんか
理由の一部を選んで伝えているだけで、うそとは違います。退職の理由は、たいてい一つではありません。その中から、伝えても誰も傷つかない部分を選んでいると考えてください。
Q. 「家庭の事情」と言っても大丈夫ですか
使えますが、詳しく聞かれたときに困らないようにしておいてください。「家族のことで、詳しくはお話しできなくて」と言えば、多くの人はそれ以上聞きません。事実とあまりにかけ離れた話は、あとで話が合わなくなるので避けたほうが無難です。
Q. 社長や役員から、直接理由を聞かれました
相手の立場に関係なく、答え方は同じです。前向きな理由を一つ伝えて、感謝を添えてください。立場が上の人ほど、長く引き止めることは少ない傾向があります。
Q. 入社してすぐ辞めるので、理由を聞かれるのが怖いです
短期間の退職は、「想像していた仕事と違った」「自分には合わないと分かった」と正直に伝えても構いません。早めに伝えるほうが、会社にとっても次の人を探しやすくなります。
Q. 同僚からも、しつこく理由を聞かれます
同僚には、上司に伝えたのと同じ理由を短く話せば十分です。人によって理由を変えると、あとで話が食い違います。本当の理由は、辞めたあとで親しい人にだけ話すくらいがちょうどいいです。
Q. 転職先はどこかと聞かれました
言わなくて構いません。「まだ正式に決まっていない部分もあるので」「落ち着いたらお伝えします」でかわせます。同じ業界に行く場合は、特に伝えないほうが安心です。
Q. 退職理由を書類に書く欄があります
退職届には、自分の都合で辞める場合、「一身上の都合により」と書くのが一般的です。詳しい理由を書く必要はありません。会社独自の書類で理由を書く欄があるなら、上司に伝えたのと同じ内容を短く書いておけば十分です。
Q. 理由を話さなかったら、退職を認めてもらえませんか
理由を詳しく話さなくても、退職の手続きはふつう進みます。もし話が進まないなら、退職日をはっきり書いた退職届を提出してください。それでも受け取ってもらえない場合は、公的な相談窓口に相談してください。
Q. 泣きながら理由を話してしまいそうです
感情が動くのは自然なことです。準備した一文を紙に書いて手元に置いておくと、言葉に詰まっても落ち着いて伝えられます。泣いてしまっても、同じ一文を伝えれば話は進みます。
Q. 本当の理由を話したら、引き止めが強くなってしまいました
話してしまったことは取り消せませんが、「いろいろ考えましたが、決めたことです」と繰り返せば大丈夫です。条件の提案には、「ありがたいのですが」と感謝を添えて断ってください。
Q. 退職理由を、次の職場の面接と同じにしたほうがいいですか
同じにしておくと、話がぶれずに安心です。どちらも「前向きで、会社の外にある理由」で考えると、自然にそろいます。前の職場の不満は、どちらの場でも話さないほうが無難です。
Q. メールで退職理由を聞かれました
メールでも答え方は同じです。前向きな理由を一文で書き、感謝の言葉を添えてください。文字で残るので、人の名前や不満は書かないようにしてください。
どの質問でも、答えを一つに決めておくことが、自分を守ることにつながります。
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① 伝える理由を「前向きで、会社の外にあるもの」から1つ決める
② その理由を、一文で紙に書いておく
③ 何度聞かれても、その一文を繰り返す
退職理由をしつこく聞かれるのは、多くの場合、上司が「説明できる理由」を必要としているからです。
本当の理由を全部話す必要はありません。
前向きな理由を1つ、同じ言葉で、穏やかに繰り返す。
それが、あなたも、上司も、いちばん傷つかない終わらせ方です。
次の準備がまだなら、転職エージェントの選び方を参考にしてください。
※本記事は一般的な情報の解説であり、法的助言ではありません。退職の手続きやハラスメントについては、総合労働相談コーナー(各労働局)などの公的な窓口にご相談ください。※本記事には広告(PR)を含みます。