転職先が決まっていないのに辞めていい?決める前にやる3つの計算
辞めていいかどうかは、気持ちではなく3つの数字で決まります。
①貯金 ②毎月出ていくお金 ③失業保険が入るまでの期間。
6ヶ月分の生活費があるなら、辞めても立て直せます。
3ヶ月を切っているなら、在職中に動いたほうが条件を落とさずに済みます。
もう限界。
でも、次が決まっていない。
「決まってから辞めたほうがいい」と、みんな言う。
それは分かっているけれど、今の状態で転職活動をする体力が残っていない。
この記事では、辞めていいかどうかを数字で決める方法を書きます。
精神論は書きません。
□ 貯金で6ヶ月以上生活できる
□ 貯金で3〜6ヶ月生活できる
□ 貯金が3ヶ月分を切っている
□ 体調に影響が出ている(眠れない・食欲がない・朝起きられない)
体調にチェックがついた方は、この記事の最後を先に読んでください。お金の計算より優先することがあります。
「決めてから辞めろ」が正しい理由は1つだけ
よく言われることですが、理由が説明されないまま広まっています。
本当の理由は、お金の不安が判断をゆがめるからです。
収入が止まると、「早く決めなきゃ」という圧力がかかります。
その状態で選ぶと、条件の悪い会社でも「もういいや」と決めてしまいます。
そして1年後、また同じ場所に立つことになります。
つまり問題は「無職であること」ではなく、焦って選ばされることのほうです。
焦らずに済むだけのお金があるなら、先に辞めても構いません。
「決めてから辞めろ」は絶対のルールではなく、お金が持たない人へのアドバイスです。
自分がどちらなのかは、計算すれば分かります。
計算1:何ヶ月分あるか
紙に3つ書いてください。
スマホのメモでも構いません。
②1ヶ月の生活費(家賃・食費・光熱費・通信費・保険・返済)
③ ① ÷ ② = 何ヶ月分
ここで多くの人がつまずくのが、②を少なく見積もってしまうことです。
会社を辞めると、今まで給料から引かれていたものを、自分で払うようになります。
②に足し忘れる3つのお金
国民健康保険料
前年の所得をもとに計算されます。
つまり、収入がゼロになっても、去年の稼ぎで請求が来ます。
国民年金保険料
こちらは定額です。
払うのが難しい場合は、免除や納付猶予を相談できます。
住民税
これも前年の所得で決まります。
会社員のときは給料から天引きされていたので、請求書が届いて初めて金額を知る人が多いのです。
「生活費は月15万」で計算していたのに、実際はこの3つで月4〜5万上乗せされる、ということが起こります。
6ヶ月分あるつもりが、4ヶ月分しかなかったという形です。
金額は前年の所得で変わるので、市区町村の窓口で試算してもらえます。辞める前に聞いておいてください。
手続きの全体は退職後にやること完全リストにまとめました。
計算2:失業保険はいつ入るか
ここも見落とされます。
自己都合で辞めた場合、辞めた翌月から振り込まれるわけではありません。
離職票が届くのを待ち、ハローワークで手続きをして、待期期間と給付制限を経てから支給が始まります。
実際の振り込みは、退職から2〜3ヶ月後と考えておくのが現実的です。
つまり、辞めてから最初の2〜3ヶ月は、完全に無収入です。
金額も、月給がそのまま出るわけではありません。
制度の詳細は失業保険は自己都合だといつからにまとめました。
最初の2〜3ヶ月=収入ゼロ+保険料と住民税の請求
ここを越えられるかどうかが、最初の関門です。
だから「3ヶ月分」では足りません。失業保険が入り始めた時点で、貯金が尽きています。
判断の目安
計算した結果で、だいたいこう分かれます。
| 貯金 | 判断 | 理由 |
|---|---|---|
| 6ヶ月分以上 | 先に辞めてもいい | 無収入期間を越えたうえで、焦らずに選べます |
| 3〜6ヶ月分 | 条件つきで可 | 辞める前に、書類だけは仕上げておくこと |
| 3ヶ月分未満 | 在職中に動く | 焦って条件を落とす可能性が高くなります |
| 体調に影響あり | お金より先に離れる | 働けなくなると、選択肢がもっと減ります |
これは目安であって、絶対の基準ではありません。
実家に戻れる、パートナーの収入がある、固定費が極端に低い。
条件が違えば、3ヶ月でも十分な人はいます。
空白期間は、どのくらいまで大丈夫か
いちばん心配されるところだと思います。
明確な基準はありません。
採用側が見ているのは、期間の長さそのものより「その間、何をしていたか」を説明できるかです。
たとえば同じ6ヶ月でも、受け取られ方が変わります。
・体調を戻すことに専念していた
・資格の勉強をしていた
・家族の事情に対応していた
・じっくり選びたかったので、時間をかけた
説明しにくい6ヶ月
・とくに何もしていない、と答える
・「なんとなく決まらなかった」で終わる
つまり、空白そのものが減点なのではなく、説明できないことが減点になります。
だから、辞めると決めたなら、その期間に何をするかを先に決めておいてください。
あとから理由を探すより、ずっと楽です。
説明できれば減点されない、と書きましたが、1年を超えてくると、説明の負担ははっきり増えます。
これは正直に書いておきます。
「まだ大丈夫」と先延ばしにするのがいちばん危ないので、辞める時点で「いつまでに動き出すか」を決めておいてください。
辞める前に、これだけは終わらせておく
先に辞めると決めた場合でも、在職中にしかできないことがあります。
1. 職務経歴書を書き上げる
辞めたあとに書こうとすると、気力が落ちて手が止まります。
しかも、在職中のほうが数字や実績を確認しやすいのです。
2. 転職エージェントに登録して、面談だけ済ませる
登録は在職中でもできます。
むしろ、在職中のほうが評価が上がる場面があります。
担当者に「いつ辞める予定か」を伝えておけば、辞めたあとすぐ動けます。
3. 自分の市場価値を知っておく
自分の経歴で、どんな求人がいくらで出ているのか。
これを辞める前に見ておくと、判断がまったく違ってきます。
「思ったより求人がある」と分かれば、安心して辞められます。
「思ったより厳しい」と分かれば、在職中にもう少し粘る判断ができます。
辞めるかどうかで迷っている人の多くは、自分がどのくらい求められているかを知らないまま悩んでいます。
相談は無料で、辞めると決めていなくても使えます。
知ってから決めても、遅くありません。
4. 有給の残日数を確認する
有給が20日残っていれば、それだけで約1ヶ月分の収入になります。
伝えるタイミングの逆算は退職はいつ言うべき?にまとめました。
在職中に動くほうが有利な、3つの理由
「3ヶ月分を切っているなら在職中に」と書きました。
その根拠も出しておきます。
1. 収入があるので、断れる
条件が合わない求人を、「今回は見送ります」と言えます。
無職だと、この一言が言いにくくなります。
言えるかどうかで、入る会社が変わります。
2. 空白期間ができない
在職中に決めて、有給消化から次の入社日につなげれば、経歴に空白が出ません。
説明する手間そのものがなくなります。
3. 働きながら動いていること自体が評価される
採用側から見ると、在職中の応募は計画的に動いている人に見えます。
これは狙って作れる印象です。
いちばん多いのが面接の時間が作れないことです。
平日の日中に呼ばれても、抜けられない。
ここはエージェント経由なら、日程調整を代わりにやってもらえます。「平日夜か土曜を希望」と伝えるだけで、それに合わせて組んでもらえます。
自分で企業とやりとりすると、この調整だけで消耗します。
「もう限界」と「まだいける」の見分け方
数字が足りていない。
でも、もう続けられない。
この板挟みが、いちばんつらいところだと思います。
見分ける質問は1つです。
「1週間まるごと休めたら、この会社に戻りたいか」
戻ってもいいと思えるなら、疲れているだけの可能性があります。
その場合は、有給を数日使って休んでから考えてください。
判断が変わることがあります。
想像しただけで嫌なら、環境そのものが合っていません。
この場合は、休んでも戻りません。
お金の計算をしたうえで、いつ辞めるかを決める段階です。
1週間、毎晩ひとことだけメモを残してみてください。
「今日いちばんしんどかったこと」だけで構いません。
1週間後に読み返して、同じことが並んでいたら環境の問題、バラバラなら疲れの問題です。
自分の気持ちを疑うより、記録を見たほうが正確です。
よくある質問
Q. 面接で「なぜ決まる前に辞めたのか」と聞かれたら
正直に答えて構いません。「体調を優先しました」「一度立ち止まって考えたかった」で通ります。前の会社の批判に聞こえる言い方だけ避けてください。
Q. 貯金が少ないけれど、もう限界です
その場合は、お金より先に離れる判断もあります。ただし、辞める前に市区町村の窓口で保険料の減免を相談できるかだけは確認しておいてください。選択肢は思っているより残っています。
Q. 実家に戻るのはアリですか
固定費がいちばん下がる方法です。家賃がなくなるだけで、必要な貯金が半分近くになることもあります。一時的な選択として、恥ずかしいことではありません。
Q. アルバイトをしながら転職活動してもいいですか
問題ありません。ただし失業保険を受け取る場合は、働いた分の申告が必要です。申告せずに働くと不正受給になるので、働く前にハローワークに相談してください。
Q. 辞めたあと、やる気が出なくなりそうで怖いです
よくあることです。対策は1つで、辞める前に予定を入れておくことです。エージェントとの面談を先に組んでおけば、それが最初の締め切りになります。
Q. 会社に「次は決まっているのか」と聞かれたら
答える義務はありません。「まだ検討中です」で構いません。決まっていないと言うと、引き止めの材料になります。詳しくは引き止めがしつこいときの断り方にまとめました。
Q. 退職金はいつ入りますか
会社によりますが、退職から1〜2ヶ月後になることが多いです。当てにして生活費の計算に入れると、入金までの間に足りなくなることがあります。就業規則で支給時期を確認してください。
Q. 半年経っても決まらなかったらどうしよう
その不安があるなら、辞める前に自分の求人がどのくらいあるかを見ておくのがひとつの対策です。数を知らないまま辞めると、不安だけが大きくなります。
体調に影響が出ている場合
ここまではお金の話でした。
でも、体調が先に来ている場合は、計算の順番が変わります。
・眠れない日が続いている
・朝、体が動かない
・食欲がない、体重が落ちた
・仕事のことを考えると涙が出る
働けなくなってからでは、選べる選択肢がもっと減ります。
不調が続く場合は、医療機関に相談してください。
また、辞める以外に休職という道もあります。違いは休職か退職か迷うときにまとめました。
傷病手当など、使える制度がある場合もあります。
伝えること自体がもう難しいなら、退職代行に会社との連絡を任せる方法もあります。
決めるのは、計算してからでいい
① 貯金額を確認する
② 1ヶ月の生活費を出す(保険料・年金・住民税を足すのを忘れずに)
③ 割り算する
10分で終わります。
「なんとなく不安」が「あと何ヶ月」に変わります。
辞めていいかどうかは、性格や覚悟の問題ではありません。
数字が足りているかどうかです。
足りているなら、辞めても立て直せます。
足りていないなら、在職中に動くだけで条件が変わります。
どちらにしても、自分の市場価値を知るのが先です。
求人があると分かれば安心して決められますし、厳しいと分かれば粘る判断ができます。
相談は無料で、辞めると決めていない段階でも使えます。
※本記事は一般的な情報の解説です。保険料の減免や失業保険の受給条件は、お住まいの市区町村・ハローワークにご確認ください。※本記事には広告(PR)を含みます。