後任にやる気がない…変えるのはあなたの仕事ではない。引き継ぎの責任の範囲と伝え方
後任にやる気がなく見えても、あなたが後任を変える必要はありません。
あなたの責任は、分かる資料を残し、説明し、その記録を残すところまでです。
後任が覚えるかどうかは、後任と会社の側の問題です。
心配なことは、「チクる」のではなく「引き継ぎの報告」として上司に伝えてください。
退職日が決まり、後任への引き継ぎが始まった。
ところが、後任にまったくやる気が感じられない。
説明しても、メモを取らない。
質問もしてこない。
このままでは、自分が辞めたあと、仕事が回らなくなるのが目に見えている。
上司に言うべきか、自分がもっと頑張るべきか。
この記事は、やる気のない後任への引き継ぎの進め方と、あなたの責任の範囲を書きます。
後任と、最初に話すときの一言
引き継ぎの最初の一言で、後任の受け止め方はかなり変わります。
後任は、あなたの仕事を背負わされることに不満や不安を感じているかもしれません。
最初にその気持ちを受け止めてから始めると、引き継ぎが進みやすくなります。
「ご自分のお仕事もある中で、引き継ぎを受けていただいてありがとうございます。
できるだけ負担にならないよう、資料にまとめて、要点から説明しますね。」
「負担にならないように」と言われると、後任は自分の大変さを分かってもらえたと感じます。
それだけで、説明を聞く姿勢が変わることがあります。
やる気がないように見える理由
後任がやる気なく見えるのには、いくつかの理由があります。
| よくある理由 | 中身 |
|---|---|
| 仕事を押しつけられたと感じている | 自分の仕事に加えて、あなたの仕事まで背負わされる |
| 不安で、頭が回っていない | 覚えることが多すぎて、何から聞けばいいか分からない |
| 全体が見えていない | 細かい手順から説明されて、仕事の目的がつかめていない |
| 表情や態度に出にくい性格 | 内心は必死でも、外からはやる気がないように見える |
| 本当にやる気がない | その仕事に関心がない、または異動や退職を考えている |
いちばん多いのは、1つ目と2つ目です。
後任にとっては、自分の仕事に上乗せされる形で引き継ぎが始まることがほとんどです。
不満や不安が重なって、やる気がないように見えているだけのことも多いのです。
タイプ別|様子を見ていいか、上司に伝えるべきか
□ 説明は一応聞いているが、反応が薄い
□ 質問は少ないが、頼んだ作業はやっている
□ ほかの仕事で忙しそうにしている
□ 態度は淡々としているが、引き継ぎを拒んではいない
□ 説明の時間を、何度もすっぽかされる
□ 「覚えるつもりはない」とはっきり言われた
□ 退職日まで、引き継ぎの時間がまったく足りない
□ 後任が、すでに異動や退職を考えているようだ
上に当てはまるなら、引き継ぎのやり方を少し変えるだけで、うまく進むことがあります。
下に当てはまるなら、早めに上司に状況を伝えてください。
あなた一人で解決しようとすると、最後の数週間をすり減らすだけになります。
あなたの責任は、どこまでか
ここが、いちばん大事なところです。
引き継ぎであなたが責任を持つべきことは、はっきりしています。
① 分かる資料を残す(手順書・連絡先・年間の予定)
② 説明する(資料をもとに、口頭でも伝える)
③ 記録を残す(いつ・何を・誰に説明したか)
この3つができていれば、引き継ぐ側の責任は十分に果たしています。
後任がそれを覚えるかどうか、きちんと仕事を回すかどうかは、後任自身と、それを管理する会社の問題です。
あなたが辞めたあとで仕事が回らなくなっても、資料と記録が残っていれば、あなたが責められる理由はありません。
後任がいない場合の進め方は、後任がいないまま辞めるときにまとめました。
伝わる引き継ぎの、コツ
後任のやる気がなさそうでも、引き継ぎのやり方を変えると、反応が変わることがあります。
| 工夫 | なぜ効くか |
|---|---|
| 最初に、仕事の全体像を見せる | 何のための仕事か分かると、細かい手順も頭に入りやすくなります |
| 優先順位をつけて渡す | 「これだけは押さえて」を先に伝えると、後任の不安が減ります |
| 説明より、一緒にやる | 聞くだけより、手を動かしたほうが覚えます |
| 最後に、後任にやってもらう | あなたがいるうちに一度やれば、辞めたあとも自信を持てます |
とくに2つ目の優先順位は効きます。
全部を同じ重さで説明されると、後任は何が大事か分からず、全部に気が重くなります。
「全部を覚えなくても大丈夫です。
この3つだけは期限があるので、ここだけ押さえておいてください。
ほかは、この資料を見ればできるようにしてあります。」
これを言われると、後任は「これならできそうだ」と感じやすくなります。
引き継ぎのスケジュールの立て方
やる気が見えない後任への引き継ぎは、スケジュールを先に決めて共有すると進みやすくなります。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 退職日の1ヶ月前 | 仕事の一覧と、引き継ぎの予定表を後任と上司に共有する |
| 3週間前 | 優先度の高い仕事から、一緒にやりながら説明する |
| 2週間前 | 後任に一人でやってもらい、横で確認する |
| 最後の1週間 | 資料の最終版を送る。残った項目を上司に報告する |
予定表を上司にも共有しておくのがポイントです。
後任が予定どおりに時間を取らないときも、上司が状況を把握しているので、調整をお願いしやすくなります。
上司には「引き継ぎの報告」として伝える
後任のことを上司に伝えるのは、告げ口をするようで気が引けるかもしれません。
でも、伝え方を変えれば、ただの業務報告になります。
「引き継ぎの進み具合をご報告します。
〇〇と〇〇は説明が終わりましたが、〇〇はまだ時間が取れていません。
退職日までに終わらせたいので、〇〇さんと時間を取れるよう、ご調整いただけますか。」
ポイントは、後任の態度ではなく、引き継ぎの状況を伝えることです。
「やる気がない」と言うと、評価の話になって角が立ちます。
「時間が取れていない」「ここがまだ終わっていない」なら、上司も対応しやすいのです。
やってしまいがちで、損をすること
・後任を責める(関係がこじれて、引き継ぎがさらに進まなくなります)
・後任に会社の悪口を言う(後任はこれからもその会社で働きます)
・自分で全部やってしまう(辞めたあと、誰もできない状態が残ります)
・残業して抱え込む(最後の数週間で体を壊します)
2つ目は、会社と揉めて辞める人ほどやってしまいがちです。
気持ちは分かりますが、後任に会社の悪口を言っても、あなたにいいことは何もありません。
後任を困らせ、あなたの最後の印象を悪くするだけです。
会社への不満は、辞めたあとで信頼できる人にだけ話してください。
後任を責めたくなったときは
何度説明しても伝わらないと、後任を責めたくなることもあると思います。
そんなときは、自分が入ったばかりのころを思い出してみてください。
何もかもが分からなくて、説明されても頭に入らなかった日が、きっとあったはずです。
後任もいま、その状態にいるのかもしれません。
責めるより、資料をもう一段分かりやすくするほうが、あなたの時間もずっと有効に使えます。
引き継ぎの記録を残しておく
やる気のない後任に引き継ぐときほど、記録が大事になります。
・引き継ぎ資料(最終版)
・いつ、何を説明したかのメモ
・説明が終わっていない項目と、その理由
・上司に報告した内容
資料と説明の記録は、メールやチャットで後任と上司に送っておくのがおすすめです。
「送った」という事実が残るので、あとで「聞いていない」と言われても困りません。
「引き継ぎ資料の最終版をお送りします。
説明が終わっていない〇〇については、資料の〇ページにまとめています。
ご確認をお願いいたします。」
辞めたあとに、問い合わせが来たら
後任が覚えきれずに、辞めたあとで問い合わせが来ることもあります。
一度目なら、分かる範囲で答えても構いません。
ただ、何度も続くなら、「資料の〇ページに書いてあります」と資料を指し示す形にしてください。
辞めたあとも頼られ続けると、あなたの新しい生活に支障が出ます。
辞めた職場からの連絡への返し方は、あわせて考えておいてください。
よくある質問
Q. 後任のやる気がないことを、上司に言うのは告げ口ですか
引き継ぎの状況を伝えるのは、業務の報告です。後任の態度ではなく、「どこまで終わって、どこが終わっていないか」を伝えれば、告げ口にはなりません。
Q. 後任が決まらず、退職日を延ばしてほしいと言われました
延ばすかどうかは、あなたが決めていいことです。後任を決めるのは会社の役目です。延ばせないなら、資料をしっかり残して上司に引き継ぐ形にしてください。延ばすなら、新しい日付をはっきり決めてから応じてください。
Q. 後任と性格が合わず、話すのがつらいです
引き継ぎは、仲良くなることが目的ではありません。必要なことを資料にまとめて、説明は短く済ませてください。やり取りはメールやチャットを中心にすると、気持ちの負担が減ります。
Q. 後任がメモを取らないので、心配です
メモを取らないなら、資料を渡しておけば大丈夫です。口頭の説明だけに頼らず、資料に全部書いておいてください。「この資料に全部書いてあるので」と伝えておけば、あとで困るのは資料を見なかった側です。
Q. 後任が年上で、説明しにくいです
相手が年上でも、引き継ぎの中身は変わりません。「私のやり方ですが、参考までに」と前置きすると、相手も受け取りやすくなります。資料を中心に進めれば、立場の差は気になりにくくなります。
Q. 自分がいなくなったら、仕事が崩れそうで不安です
資料と記録を残して、上司に状況を伝えたなら、あなたのやるべきことは終わっています。そのあと仕事がどうなるかは、会社が対応することです。不安を抱えたまま辞めなくて大丈夫です。
Q. 後任に「引き継ぎが雑だ」と言われました
具体的にどこが分からないのかを聞いて、その部分を資料に書き足してください。言い返すより、足りないところを埋めるほうが、最後の印象はずっとよくなります。
Q. 引き継ぎに時間が取れず、残業が増えています
残業で埋めるより、上司に「引き継ぎの時間を確保したい」と相談してください。ほかの仕事を減らしてもらえれば、勤務時間内に引き継ぎを進められます。
Q. 後任が、引き継ぎの途中で休みがちです
休みの日を無駄にしないよう、資料を先に仕上げておいてください。後任が戻ったら、資料をもとに要点だけ説明すれば、遅れを取り戻しやすくなります。休みが続くなら、上司に引き継ぎの予定を相談してください。
Q. 後任が自分より仕事ができそうで、引き継ぐことがない気がします
仕事ができる人でも、その職場の細かい事情や取引先の特徴は知りません。手順より、「ここでつまずきやすい」「この人にはこう連絡する」といった経験から分かることを中心に伝えると、とても喜ばれます。
Q. 後任が決まったのが、退職日の直前でした
時間が足りないときは、優先順位の高い仕事だけに絞って説明してください。残りは資料にまとめて、上司にも共有しておけば大丈夫です。全部を伝えきれなくても、あなたの責任ではありません。
Q. 引き継ぎ資料は、どのくらい詳しく書けばいいですか
後任が、あなたに聞かずに一人でできるくらいが目安です。手順に加えて、つまずきやすい点と、困ったときに誰に聞けばいいかを書いておくと安心です。
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① 後任がどちらのタイプに当てはまるか見る
② 仕事に優先順位をつけて、「これだけは」の3つを伝える
③ 引き継ぎの状況を、上司に報告する
後任にやる気がなく見えても、あなたが後任を変える必要はありません。
資料を残し、説明し、記録を残す。
そこまでやれば、引き継ぐ側の責任は十分に果たしています。
あとは、胸を張って次の場所へ進んでください。
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