退職するのに送別会がない…嫌われたからではなく、いま普通のことです
送別会がないのは、いまはもう普通のことです。
あなたが嫌われていたからではありません。
ただし、「寂しい」と感じているなら、その気持ちは正しいです。
打ち消さなくて大丈夫です。
あと数日で辞めるのに、何の話も出ない。
前に辞めた人のときは、やっていた気がする。
自分のときだけないのは、そういうことなんだろうか。
聞くわけにもいかない。
この記事は、その気持ちのやり場について書きます。
まず、事実から
送別会は、年々減っています。
理由ははっきりしています。
| 理由 | 中身 |
|---|---|
| 飲み会そのものが減った | 歓迎会・忘年会を含めて全体が縮小。送別会だけの話ではありません |
| 時間外の集まりに抵抗がある | 参加を求めること自体が負担になると考える職場が増えました |
| 幹事を誰もやりたがらない | 日程調整・集金・店選び。言い出した人がやることになります |
| 誰がやるか決まっていない | いちばん多い理由。悪意ではなく、単に宙に浮いています |
| 繁忙期と重なった | 日程が取れないまま最終日が来る、はよくあります |
5つのうち、どれもあなたと関係ありません。
とくに4つ目です。
「誰かがやるだろう」と全員が思って、誰もやらない。
これが、いちばん多い正体です。
それでも寂しいのは、当たり前です
理由が分かっても、気持ちは別です。
何年か働いた場所を離れるのに、何もない。
これは、寂しくて当たり前です。
「気にしない」と自分に言い聞かせる必要はありません。
多くの場合、つらいのは「自分がいなくなることを、誰も特別だと思っていない」と感じることです。
送別会は、その気持ちを確かめる目印になっていただけ。
目印がなかったからといって、中身までなかったとは限りません。
実際、送別会をしない職場でも、最終日に一人ずつ挨拶に来ることはあります。
形が変わっただけ、ということも多いです。
自分の職場が、どちらなのか
気になるのは結局、「自分の場合はどっちなのか」だと思います。
ここで確かめてください。
□ ここ数年、他の人の送別会も見ていない
□ 歓迎会・忘年会もやっていない
□ 最終日の挨拶には、みんな応じてくれる
□ 普段の業務連絡は普通に来ている
□ 「お疲れさま」は普通に返ってくる
当てはまるなら、単に文化がなくなった職場です。
あなたの評価とは関係ありません。
□ 直前に辞めた人のときは、やっていた
□ 挨拶が返ってこない
□ 必要な業務連絡も来なくなった
□ 退職を伝えてから、明らかに空気が変わった
ただし、この場合でもやることは変わりません。
あと数日で終わる関係です。
下に当てはまったとしても、取り返しにいく必要はありません。
もう、その職場の人間関係を維持する理由がないからです。
自分から言い出していいのか
結論から言うと、言わないほうがいいです。
「送別会はないんですか」と聞くのは、相手に負担をかけます。
そして、そこから開いてもらっても、たぶん満たされません。
代わりに、こういう手はあります
・お世話になった人を、個別にランチに誘う(送別会より気楽です)
・「最後に一度お茶でも」と2〜3人に声をかける
・最終日に、菓子折りと一緒に一人ずつ挨拶に回る
「開いてもらう」でなく「自分から会いに行く」形にすると、
相手も応じやすく、気持ちの区切りもつきます。
この形なら、誰かの善意を待たなくて済みます。
そして、誘われる側は、たいてい喜びます。
言い出せなかっただけ、という人は多いからです。
「送別会をやりましょう」と言われたけれど、気が進まない場合
逆のパターンもあります。誘われたけれど、行きたくない。円満に辞められなかった場合や、気を使う相手が来る場合です。この場合は、断って構いません。「ありがとうございます。ただ引き継ぎと私用が重なっていて、お気持ちだけいただけますか」で十分です。理由を細かく説明しないほうが、あとを引きません。
会費を自分が払うことになりそうな場合
主役が払う職場も、実際にあります。事前に分かるなら、幹事役の人に一言確認しておくと気まずさが減ります。負担が大きいと感じるなら、断る理由としても正当です。無理をして参加するものではありません。
最終日を、どう過ごすか
送別会がないなら、最終日が唯一の区切りになります。
だからこそ、ここだけは決めておいたほうがいいです。
| やること | ポイント |
|---|---|
| デスクの片付けは午前中に | 終業間際にバタバタすると、挨拶する時間がなくなります |
| 挨拶メールは終業1〜2時間前 | 早すぎると業務が残り、遅すぎると読まれずに帰られます |
| お世話になった人には直接 | メールとは別に。一言でいいです |
| 貸与品の返却リストを作る | PC・カードキー・制服・健康保険証。前日に確認しておく |
| 最後は普通に帰る | 見送りがなくても構いません。それも普通です |
4つ目だけは、実務なので忘れないでください。
返し忘れると、辞めたあとに連絡が来ます。
気まずい思いをしないためにも、前日にそろえておくのが安全です。
・離職票(後日郵送のことが多い。いつ届くか聞いておく)
・源泉徴収票
・年金手帳・雇用保険被保険者証(会社が預かっている場合)
「いつ、どこに届きますか」と一言聞いておくだけで、
あとから連絡する手間がなくなります。
「前の人はやっていた」が気になるとき
いちばん引っかかるのは、ここだと思います。
自分のときだけない、という感覚。
ただ、条件を並べてみると理由が見えることが多いです。
| 違い | 起きやすいこと |
|---|---|
| 時期 | 3月末・期末は退職者が重なり、一人ずつはやらなくなります |
| 勤続年数 | 数年以内だと省略されやすい傾向はあります |
| 定年退職かどうか | 定年は式典に近い扱い。自己都合とは別枠です |
| 幹事役の人がいるか | その人が異動・退職していると、途端になくなります |
| コロナ以降かどうか | 2020年以降で慣習ごと消えた職場が多いです |
最後の項目は大きいです。
「前の人のとき」が数年前なら、そもそも別の時代の話です。
周りに言えなくて、こじれることがあります
この寂しさは、人に言いにくいです。
「送別会がなくて寂しい」と口に出すと、子どもっぽく聞こえる気がする。
だから、一人で抱えることになります。
そして、抱えたまま最終日が来ます。
言い方を変えれば、話せます
家族やパートナーに話すなら、こう言えば伝わります。
送別会という言葉を使わないほうが、本当に困っていることが伝わります。
困っているのは会がないことでなく、終わった感じがしないことだからです。
話すだけで、だいぶ軽くなります。
解決してもらう必要はありません。
聞いてもらうだけで十分です。
・眠れない日が1週間以上続いている
・食欲がない日が続いている
・朝、起き上がれない
これは送別会の話ではありません。
退職前後の心身の負担が出ています。
こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556(各都道府県の相談窓口につながります)
または心療内科・精神科にご相談ください。
数年後に、どう思い出すか
いま感じている寂しさは、そんなに長く続きません。
| 時期 | 感じ方の変化 |
|---|---|
| 最終日の前後 | いちばん引っかかります。「自分だけないのか」と考えがち |
| 辞めて1か月 | 新しい環境が始まり、思い出す回数が減ります |
| 半年後 | ほぼ思い出しません。関心が次の職場に移ります |
| 数年後 | 覚えているのは送別会の有無でなく、一緒に働いた人のことです |
だから、いまの寂しさを大きく扱わなくて大丈夫です。
ただし、いま感じていること自体は否定しないでください。
打ち消そうとするほど、残ります。
寂しいと思ったら、そのままメモに書いてください。
「送別会がなくて寂しかった」と、一行でいいです。
言葉にすると、そこで一区切りつきます。
誰にも見せなくて構いません。
ランチなら、誘いやすい
夜の飲み会は、相手にも予定があります。
でも昼なら、もともと食べる時間です。
断る理由が少ないぶん、応じてもらいやすいです。
「来週で最後なので、もしよかったら一度お昼ご一緒できませんか」
・「最後なので」で理由が立ちます
・「もしよかったら」で断る余地を残します
・お昼なので、相手の負担が小さい
2〜3人に声をかけて、1人でも応じてくれれば十分です。
この時間が、送別会の代わりになります。
というより、大勢の飲み会より、こちらのほうが話せます。
よくある質問
Q. 送別会がないのは、嫌われていたからですか
ほとんどの場合、違います。本当に嫌われている職場では、送別会以外にも兆候が出ます(挨拶が返ってこない、業務連絡が来ないなど)。それがないなら、単に誰も動かなかっただけです。関連:退職を伝えたら態度が変わった
Q. 花束もプレゼントもありませんでした
こちらも減っています。お金を集める行為そのものが避けられるようになったためです。「気持ちがない」のではなく、「集金したくない」が理由のことが多いです。
Q. 自分は菓子折りを配るべきですか
配らなくても失礼ではありません。ただ、配ると挨拶に回るきっかけになります。声をかけたい人がいるなら、菓子折りは口実として便利です。詳しくは退職に菓子折りはいらない?にまとめました。
Q. 送別会がないほうが、正直ありがたいです
それも普通の感覚です。気を使う場が1つ減っただけ、と考えて構いません。この記事は「寂しい」と感じた人向けに書いていますが、感じないなら、それでまったく問題ありません。
Q. 最終日、何を言えばいいか分かりません
長く話す必要はありません。「お世話になりました」と「これからもお元気で」で十分です。メールの文面は退職の挨拶メール例文にまとめました。
送別会がなかったこと自体が、答えのこともあります
ここまでは、「気にしなくていい」という話をしてきました。
ただ、もう1つの見方もあります。
人が辞めても何も起きない職場は、人が続かない職場でもあります。
送別会がないこと自体は、小さな話です。
でも、そこに表れているものはあります。
面接や職場見学で、こういうことを聞いてみてください。
・「新しく入った方は、どんなふうに迎えられますか」
・「チームの方はどのくらい在籍されていますか」
答え方に、人をどう扱う職場かが出ます。
制度の説明で終わるか、具体的な人の話が出てくるか。
今回のことを、次を選ぶ材料にしてください。
それが、いちばん建設的な使い道です。
Q. 転職先が決まっている場合と、決まっていない場合で違いますか
感じ方は変わります。次が決まっていると、意識が先に向くので引きずりません。決まっていないと、「必要とされていなかった」という感覚に結びつきやすいです。もし後者なら、送別会の話より、次の見通しを立てるほうが効きます。
Q. パートや契約社員だと、やってもらえないものですか
雇用形態で分ける職場はあります。ただ、これはその職場の線引きの問題であって、あなたの働きの評価ではありません。同じ仕事をしていたなら、気にする必要はまったくありません。
Q. お世話になった人に、何か渡したほうがいいですか
渡すなら、手紙が向いています。物だとお返しを気にさせてしまいますが、手紙なら受け取るだけで済みます。数行で構いません。具体的な場面を1つ書くと、そのまま伝わります。
区切りは、自分でつけられます
① お礼を言いたい人を、3人だけ書き出す
② その中の1人に、「最後にお茶でも」と声をかけてみる
③ 気が進まないなら、やらなくていい(最終日の挨拶で十分です)
送別会があってもなくても、あなたがそこで働いた事実は変わりません。
会が開かれなかったことは、あなたの働きへの評価ではありません。
ただ、区切りが欲しかったのだと思います。
それは、自分でつけられます。
伝えたい人に、自分から一言伝える。
それだけで、十分に区切りになります。
そして、次の場所のことを考えてください。
送別会がなかったことは、半年もすれば思い出さなくなります。
次の場所が合っていたかどうかのほうが、ずっと長く残ります。
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