退職を周りに言うなと言われた…口止めの理由と、「いつ・誰が」伝えるかの決め方
上司に「周りにはまだ言わないで」と言われるのは、よくあることです。
たいていは、後任や仕事の割り振りを決めるまでの段取りの都合です。
大事なのは、「いつまで」「誰が伝えるか」を上司と決めておくこと。
これを決めずに黙っていると、最後に気まずくなるのはあなたの側です。
上司に退職を伝えた。
話はすんなり進んだけれど、最後にこう言われた。
「周りには、まだ言わないでおいてくれる?」
そう言われたものの、毎日一緒に働いている同僚に黙っているのは、なんとも居心地が悪い。
仲の良い人にだけは、自分の口から伝えたい。
でも、勝手に言ったら上司との約束を破ることになる。
この記事は、口止めされたときの、角の立たない動き方を書きます。
なぜ「言わないで」と言われるのか
上司が口止めするのには、たいてい実務的な理由があります。
| よくある理由 | 中身 |
|---|---|
| 後任や割り振りが決まっていない | 「誰が引き継ぐのか」と聞かれても答えられない状態で広まるのを避けたい |
| 周りの動揺を抑えたい | 辞める人が出ると、ほかの人も気持ちが揺れることがあります |
| 正式な発表の順番がある | 会社として、朝礼や社内の連絡で伝える段取りを決めている |
| 取引先への影響を考えている | 担当が変わることを、社外に伝える準備ができていない |
| 引き止めの余地を残したい | まだ考え直してくれるかも、と思っている |
多くは、上の4つのどれかです。
あなたを困らせるためではなく、職場を混乱させないための段取りとして言われています。
5つ目だけは、注意が必要です。
引き止めのつもりで口止めしているなら、時間がたつほどあなたの退職日が曖昧になっていきます。
その口止めは、段取りか、引き止めか
どちらに当てはまるかで、あなたの動き方が変わります。
□ 「後任が決まるまで」など、終わりの目安を言われた
□ 退職日を上司も了承している
□ 引き継ぎの相談には、ちゃんと乗ってくれる
□ いつまでか聞いても、はっきり答えてくれない
□ 「もう少し考えてみたら」と繰り返し言われる
□ 退職日の話になると、話をそらされる
上に当てはまるなら、決められた時期まで待てば大丈夫です。
下に当てはまるなら、退職日と、周りに伝える時期を、あなたから日付で提案してください。
受け身で待っていると、話が止まったまま時間だけが過ぎていきます。
まず、上司と3つだけ決めておく
口止めされたら、その場で次の3つを確認してください。
これを決めずに「分かりました」とだけ答えると、あとで困ることになります。
① いつまで言わないでおけばいいか(日付か、「後任が決まったら」など条件で)
② 周りには、誰が伝えるか(上司から全体に?自分から個別に?)
③ 引き継ぎはいつから始められるか
「承知しました。
皆さんにはいつ頃、どなたからお伝えする形になりますか。
引き継ぎの準備もあるので、目安だけ教えていただけると助かります。」
「引き継ぎの準備があるので」と添えると、急かしている印象になりません。
あなたが知りたいのは、職場のために必要な段取りだからです。
③は、とくに大事です。
周りに言えないまま退職日が近づくと、引き継ぎの時間がなくなってしまいます。
困るのは、残される同僚です。
黙っているあいだの、過ごし方
周りに言えない期間は、思っている以上に気をつかいます。
来月の予定を聞かれたり、先の仕事を頼まれたり。
そのたびに、うそをついているような気持ちになります。
| よくある場面 | 角が立たない返し方 |
|---|---|
| 来月以降の予定を聞かれた | 「まだ確定していないので、決まったらお伝えしますね」 |
| 長くかかる仕事を頼まれた | 「上司と相談してから、お返事させてください」 |
| 「最近様子が違うね」と言われた | 「ちょっと考えごとがあって。落ち着いたら話しますね」 |
| 「辞めるって本当?」と聞かれた | 「いまは言えないことになっていて。もう少し待ってください」 |
ポイントは、はっきりしたうそをつかないことです。
「辞めません」と言ってしまうと、あとで伝わったときに信頼を失います。
「いまは言えない」「決まったら話す」なら、うそにはなりません。
あとで事情が分かれば、相手も「言えなかったんだな」と受け止めてくれます。
長くかかる仕事は、上司に振り直してもらう
黙っているあいだに、退職日を越える仕事を頼まれることがあります。
これを引き受けてしまうと、あとで大きな迷惑になります。
頼まれたら、その場で決めずに上司に相談して、割り振りを変えてもらってください。
口止めしたのは上司なので、その調整も上司の役目です。
仲の良い人にだけは、自分から言いたいとき
いちばん悩むのは、ここだと思います。
毎日一緒に働いてきた人に、上司経由の発表で知られるのは寂しい。
自分の口から伝えたい。
その気持ちは、とても自然です。
この場合は、上司に一言断ってから伝えるのが、角が立ちにくい方法です。
「〇〇さんには、全体の発表の前に自分から伝えておきたいのですが、
発表の前日に個別にお伝えしてもよろしいでしょうか。」
「発表の前日」と区切ると、ほとんどの上司は了承してくれます。
広まる時間がほとんどないからです。
伝える相手にも、「明日発表があるまでは、ここだけの話で」と一言添えてください。
・上司に断らずに、何人かに先に話す(必ず広まります)
・「上司に口止めされていて」と上司のせいにする(上司との関係がこじれます)
・一人に話して、ほかの人には話さない(知らされなかった人が気まずくなります)
いつまでも発表されないとき
口止めされたまま、いつまでも周りに伝えられないことがあります。
退職日まで1ヶ月を切ったのに、まだ誰も知らない。
この状態は、あなたにとっても職場にとってもよくありません。
引き継ぎの時間がなくなるうえに、最後の数日で急に知らされた同僚は、「なんで黙っていたの」と感じてしまいます。
あなたが悪くなくても、黙っていた人として記憶に残るのです。
上司にもう一度確認してください。
「引き継ぎに〇週間ほどかかりそうなので、そろそろ皆さんにお伝えしたいのですが、いつ頃がよろしいでしょうか。」
引き継ぎの期間を理由にすると、話が前に進みやすくなります。
それでも発表を先延ばしにされる場合は、引き止めの意図があることも考えられます。
退職日そのものは、上司に伝えた日付から変わっていないことを、改めて確認しておいてください。
引き止めが続くときは、退職の引き止めがしつこいにまとめました。
発表の日の、過ごし方
いよいよ周りに伝わる日が来たら、その日の過ごし方も少しだけ考えておくと楽です。
① 発表のあと、仕事で関わりの深い人には自分からも一言伝える
② 引き継ぐ相手と、最初の打ち合わせの日を決める
③ 聞かれたら、退職日だけははっきり答える(理由や次の職場は言わなくていい)
①があるかどうかで、相手の受け取り方がかなり変わります。
全体の発表だけで終わると、「自分には言ってくれなかった」と感じる人が出てきます。
短くていいので、「発表のとおりで、〇日までです。最後までよろしくお願いします」と伝えてください。
③の「理由」は、深く話す必要はありません。
「次のことにチャレンジしたくて」くらいで十分です。
黙っていたことで、文句を言われたら
発表のあと、同僚から「なんで言ってくれなかったの」と言われることがあります。
口止めされていたのに、責められるのは理不尽に感じると思います。
そのときは、言い訳をせず、気持ちだけ受け取るのがいちばんです。
「ごめんね、正式に決まるまで言えなくて。
ずっと言いたかったんだけど。」
「上司に止められていた」とは言わないほうが無難です。
事情は、たいてい相手も察しています。
文句を言われるのは、それだけあなたが大事な存在だったということでもあります。
発表のあと態度が変わった人がいたときは、退職を伝えたら態度が変わったも読んでみてください。
よくある質問
Q. 口止めを守らなかったら、問題になりますか
口止めは、多くの場合「段取りのためのお願い」です。ただ、約束を破ると上司との関係がこじれ、残りの期間が過ごしにくくなります。どうしても伝えたい人がいるなら、この記事のように、上司に一言断ってからにしてください。
Q. 同僚に聞かれて、つい認めてしまいました
起きてしまったことは仕方ありません。上司には「〇〇さんに聞かれて、否定できませんでした。申し訳ありません」と早めに伝えてください。黙っているより、自分から報告するほうが、関係はこじれません。
Q. 退職日の直前まで言えないと言われました
引き継ぎに必要な期間を示して、もう一度相談してください。「引き継ぎに2週間は必要なので」と具体的な日数を出すと、上司も判断しやすくなります。取引先への挨拶が必要な仕事なら、それも理由になります。
Q. 上司より先に、同僚に話してしまっていました
その場合は、上司に伝えるときに「〇〇さんには先に話してしまいました」と正直に言っておくと安心です。あとで上司が別の経路で知ると、関係がこじれやすくなります。
Q. 周りに話したあと、面倒な仕事を任されるようになりました
退職日までに終わらない仕事なら、その場で上司に相談してください。「退職日までに終わらない可能性があるので、どなたかと一緒に進めさせてください」と伝えれば、引き継ぎも兼ねられます。
Q. パートやアルバイトでも、口止めされるものですか
されることはあります。シフトの調整や、次の人の募集が決まるまで、というケースが多いです。いつまでかと、誰が伝えるかを確認しておけば、社員の場合と同じように進められます。
Q. 最終日まで、誰にも言わずに辞めたいです
上司が了承しているなら、それも選択肢です。ただ、引き継ぎは必要なので、その範囲の人には事前に伝わります。最終日に何も言わずに消えると、残る人は驚きます。最低限、挨拶メールだけは送っておくと、後味が悪くなりません。
Q. 同僚の退職を、自分が口止めされています
頼まれた側としては、発表まで黙っておくのがいちばん穏やかです。聞かれたら「私からは何も言えないので、本人に聞いてみて」と返してください。うそをつかずに済みます。
Q. 取引先には、いつ伝えればいいですか
社内の発表のあと、上司と相談して決めてください。後任が決まってから、後任と一緒に挨拶に行く形が多いです。社内より先に取引先に伝えるのは避けてください。
Q. 口止めされているあいだ、転職活動を続けてもいいですか
問題ありません。退職することは上司に伝えてあるので、次の準備を進めるのは自然なことです。ただし、面接や手続きで休みを取るときは、理由を詳しく言う必要はありません。「私用で」で十分です。
Q. 発表の前に、周りに気づかれてしまいそうです
私物を少しずつ持ち帰ったり、机を片づけ始めたりすると、周りは気づきやすくなります。発表までは、普段どおりの机の状態を保っておくと安心です。片づけは発表のあとからでも間に合います。
Q. 口止めされたことが、なんとなく悲しいです
「自分の退職は、隠すようなことなのか」と感じる人もいます。ただ、口止めはあなたの退職を否定しているわけではありません。職場の段取りの都合です。発表の日が来れば、きちんと伝える機会はあります。
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② 聞かれたときの返し方を決めておく(うそはつかない)
③ 自分から伝えたい人がいれば、上司に一言断る
周りに言うなと言われるのは、退職の段取りとして、よくあることです。
つらいのは、黙っていることそのものより、終わりが見えないことです。
「いつまで」と「誰が」を決めてしまえば、その重さはかなり軽くなります。
そして、最後に「言えなくてごめんね」と言える相手がいるなら、その関係はきっと職場の外でも続きます。
次の準備を進めるなら、転職エージェントの選び方を参考にしてください。
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