退職を伝えたら仕事を増やされた…嫌がらせとは限らない。受けていい仕事と断っていい仕事
退職を伝えたあとに仕事が増えるのは、嫌がらせとは限りません。
多くは、いなくなる前に片づけてほしいという職場の都合です。
ただし、退職日までに終わらない仕事や、引き継ぎの時間を奪う仕事は、断るか上司に相談して構いません。
大事なのは、全部を黙って抱え込まないことです。
上司に退職を伝えた。
これで少しは気が楽になる、と思っていた。
ところが、次の日からなぜか仕事が増えた。
面倒な案件、誰もやりたがらない作業、締め切りの近い仕事。
辞める人に、どうしてこんなに仕事を回すのだろう。
これは、辞めることへの仕返しなのだろうか。
この記事は、増えた仕事の見分け方と、断り方を書きます。
仕事が増える理由は、たいていこれです
退職を伝えたあとに仕事が増えるのには、いくつかの理由があります。
| 増える理由 | 中身 |
|---|---|
| いるうちに片づけてほしい | あなたにしか分からない仕事を、辞める前に終わらせてほしい |
| 引き継ぎのつもり | 後任に渡す前に、一度整理してほしい、という意図のこともあります |
| 後任がまだいない | 誰に振ればいいか決まっていないので、ひとまずあなたに集まる |
| 人手不足 | もともと人が足りず、辞めるまでは戦力として数えられている |
| 嫌がらせ・引き止め | 辞めることへの不満や、忙しくして考え直させようという意図 |
上の4つは、職場の段取りの都合です。
あなたを困らせようとしているわけではありません。
ただ、段取りの都合でも、あなた一人に負担が集中していい理由にはなりません。
5つ目の嫌がらせの場合は、また別の対処が必要です。
タイプ別|段取りか、嫌がらせか
どちらに当てはまるかで、対応が変わります。
□ 増えた仕事は、自分がもともと担当していた範囲に近い
□ 上司に相談すると、話を聞いてくれる
□ 引き継ぎの時間も、一応は認められている
□ 周りの人も、忙しそうにしている
□ 明らかに退職日までに終わらない量を振られる
□ 自分の担当と関係のない仕事ばかり回ってくる
□ 引き継ぎの時間を取らせてもらえない
□ 「辞めるなら最後までやれ」と責められる
□ 退職を伝えるまでは、こんなことはなかった
上に当てはまるなら、上司と相談して、優先順位を決めれば解決することがほとんどです。
下に当てはまるものが多いなら、いつ・誰に・何を頼まれたかを、メモに残してください。
受けていい仕事、断っていい仕事
増えた仕事を全部断る必要はありません。
でも、全部受ける必要もありません。
| 受けていい仕事 | 断るか、相談していい仕事 |
|---|---|
| 退職日までに終わる仕事 | 退職日までに終わらない仕事 |
| 自分の担当に関わる仕事 | 担当と関係のない仕事 |
| 引き継ぎにもつながる仕事 | 引き継ぎの時間がなくなる仕事 |
| 自分にしかできない仕事の片づけ | 辞めたあとも責任が残る仕事 |
いちばん大事なのは、「退職日までに終わるかどうか」です。
終わらない仕事を受けてしまうと、最後は中途半端なまま誰かに渡すことになります。
それは、あなたにとっても、受け取る人にとってもつらいことです。
もう一つは、引き継ぎの時間を確保できるかどうかです。
新しい仕事に追われて引き継ぎができなければ、辞めたあとに困るのは残る人たちです。
断るときの、言い方
断るときは、「やりたくない」ではなく「職場のために」の形にすると、角が立ちません。
退職日までに終わらない仕事
ただ、この仕事は〇日の退職日までに終わらない見込みです。
途中でお渡しすることになるので、最初から〇〇さんに持っていただくほうが確実だと思います。」
引き継ぎの時間がなくなる仕事
いま引き継ぎ資料を作っているところで、これを優先しないと後任の方が困ってしまいます。
どちらを先にすればよいか、ご判断いただけますか。」
2つ目の言い方は、判断を上司に返しているのがポイントです。
「どちらを優先しますか」と聞かれると、上司も仕事の量を意識せざるをえません。
多くの場合、引き継ぎを優先するように言われます。
・黙って全部受けて、残業で埋める(最後の数週間で体を壊します)
・受けたのに、手を抜く(去り際の評価がそれで決まります)
・同僚に愚痴を言う(必ず伝わります)
・何も言わずに休み始める(引き継ぎが止まり、関係がこじれます)
増えた仕事を、引き継ぎに変える
増えた仕事を、ただこなすだけにしない方法があります。
それは、後任や、残る人と一緒にやることです。
あなたが一人でやれば早く終わりますが、辞めたあとに誰もやり方が分かりません。
一緒にやれば、その仕事自体が、いちばん実践的な引き継ぎになります。
「この仕事、今後は〇〇さんが担当されると思うので、
今回は一緒に進めさせてもらってもいいですか。やり方をお伝えしながら進めます。」
こう提案すると、仕事が増えたことが、そのまま引き継ぎの時間になります。
上司にとっても、あなたが辞めたあとの心配が減るので、受け入れてもらいやすい提案です。
上司に、まとめて相談する
一つひとつ断るのが負担なら、上司に一度まとめて相談するのがいちばん効きます。
① いま抱えている仕事の一覧
② それぞれの締め切り
③ 引き継ぎに必要な時間
④ 退職日までの残りの勤務日数
これを見せながら話すと、量が多すぎることが一目で伝わります。
「退職日までに終わらせるべき仕事を整理しました。
このままだと引き継ぎの時間が取れないので、
どれを優先して、どれを他の方にお願いするか、一緒に決めていただけますか。」
「一緒に決めてください」と頼むと、上司も責任を持って判断してくれます。
あなたが一人で抱え込む形から、職場として割り振る形に変わります。
最後の1週間は、新しい仕事を受けない
退職日が近づいたら、最後の1週間は新しい仕事を受けないと決めておくのがおすすめです。
最後の1週間は、引き継ぎの最終確認、返却物の準備、挨拶で、思った以上に時間がなくなります。
・引き継ぎ資料を後任と読み合わせる
・残っている仕事の状況を、上司に報告する
・返却物をまとめる
・お世話になった人に挨拶する
このことは、最後の1週間に入る前に、上司に伝えておいてください。
「最後の1週間は、引き継ぎの確認と片づけにあてたいと考えています。
それまでに、いまの仕事は区切りをつけるようにします。」
先に伝えておけば、直前になって新しい仕事を振られることが減ります。
「退職日を延ばしてほしい」と言われたら
人手不足を理由に、退職日を延ばしてほしいと頼まれることもあります。
延ばすかどうかは、あなたが決めていいことです。
次の職場が決まっているなら、そちらの入社日を優先してください。
「ご事情は分かるのですが、次の予定が決まっていて、〇日から動かすのが難しい状況です。
そのぶん、それまでに引き継ぎをしっかり終わらせます。」
少しだけ延ばしてもいいと思うなら、必ず新しい日付を決めてから応じてください。
「落ち着くまで」「後任が決まるまで」のようなあいまいな約束は、いつまでも延びてしまうことがあります。
引き止めが続くときは、退職の引き止めがしつこいにまとめました。
嫌がらせだと感じるときは
明らかに終わらない量を振られる、責められる、引き継ぎの時間を奪われる。
こうしたことが続くなら、我慢して乗り切ろうとしなくて大丈夫です。
① いつ・誰に・何を頼まれた(言われた)かをメモする
② 仕事の依頼は、できるだけメールやチャットで受ける
③ 直属の上司以外に、相談できる人を探す(人事・別部署の上司)
④ 社外の相談先を知っておく
職場の外に相談したいときは、総合労働相談コーナー(各労働局)で無料で相談できます。
体に不調が出ているなら、残りの期間を有給休暇にあてられないかも考えてください。
退職を伝えてからの周りの態度の変化については、退職を伝えたら態度が変わったにまとめました。
よくある質問
Q. 仕事が増えたのは、辞めることへの仕返しでしょうか
多くの場合は、職場の段取りの都合です。あなたにしか分からない仕事を、いるうちに片づけてほしいという事情があります。ただ、明らかに終わらない量や、担当外の仕事ばかりなら、記録を残して上司に相談してください。
Q. 残業が増えて、体がつらいです
残業で埋めるのではなく、上司に仕事の優先順位を決めてもらってください。最後の数週間で体を壊すと、次の職場のスタートにも響きます。残業の記録も、念のため残しておくと安心です。
Q. 後任がいないので、全部自分でやるしかありません
後任を決めるのは会社の役目です。あなたにできるのは、手順書を残して、上司に引き継ぐことまでです。後任がいない場合の進め方は後任がいないまま辞めるときにまとめました。
Q. 断ったら、残りの期間が気まずくなりませんか
「職場のために」の形で断れば、気まずくなることはほとんどありません。気まずくなるのは、黙って引き受けて途中で投げ出したときです。早めに、理由を添えて伝えてください。
Q. 面接で聞いていない仕事まで増えています
退職前に限らず、聞いていた仕事内容と大きく違うなら、上司に確認して構いません。とくに退職前は、引き継ぎを優先したいと伝える正当な理由があります。
Q. 同僚に「辞めるくせに」と言われながら仕事を振られます
言葉は気にしなくて大丈夫です。仕事の振り方に問題があるなら、同僚ではなく上司に相談してください。同僚と直接言い合うと、残りの期間がつらくなります。
Q. 有給を使って休みたいのに、仕事が多くて言い出せません
引き継ぎの見通しが立ったら、有給を使いたいことを上司に伝えてください。「〇日までに引き継ぎを終えるので、そのあと有給をいただきたい」と、日付と条件をセットにすると話が通りやすくなります。
Q. 最後まで全部やり切らないと、無責任でしょうか
無責任ではありません。辞める人がすべての仕事を終わらせることは、もともと難しいものです。手順書を残し、上司に状況を伝えて辞めるなら、責任は十分に果たしています。
Q. 辞めたあとも問い合わせが来そうな仕事を頼まれました
辞めたあとに問い合わせを受けても、あなたが対応し続けるのは難しいはずです。「辞めたあとに問い合わせが来ても対応が難しいので、今後の担当の方と一緒に進めさせてください」と伝えて、窓口を最初から残る人にしておいてください。
Q. 増えた仕事のせいで、転職先の準備が進みません
平日の夜と休日は、転職先の準備にあててください。職場の仕事は、勤務時間内で区切りをつけるのが基本です。持ち帰りで仕事を続けるより、上司に優先順位を相談するほうが先です。
Q. 仕事が増えたことを、次の職場の面接で話してもいいですか
退職理由として話すのは避けたほうが無難です。前の職場の不満に聞こえてしまうからです。話すなら、「退職前に引き継ぎを丁寧に進めた」という前向きな形にしてください。
Q. 仕事が増えて、退職日まで気持ちがもちそうにありません
一人で抱えていると、残りの日数が長く感じます。家族や友人に話すだけでも、少し楽になります。体に不調が出ているなら、無理をせず上司に相談して、休むことも考えてください。
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① 抱えている仕事と締め切りを、紙に書き出す
② 退職日までに終わらない仕事に、印をつける
③ その紙を持って、上司に優先順位を相談する
退職を伝えたあとに仕事が増えるのは、多くの場合、職場の都合です。
でも、その都合をあなた一人で抱え込む必要はありません。
終わる仕事は受けて、終わらない仕事は相談する。
そして、引き継ぎの時間だけは守る。
それが、辞めていく人にできる、いちばん誠実な責任の取り方です。
次の準備がまだなら、転職エージェントの選び方を参考にしてください。
※本記事は一般的な情報の解説であり、法的助言ではありません。退職日の調整やハラスメントについては、総合労働相談コーナー(各労働局)などの公的な窓口にご相談ください。※本記事には広告(PR)を含みます。