転職して覚えることが多すぎる…記憶力でなく、4つ同時に来る構造の問題です
覚えられないのは、記憶力の問題ではありません。
転職者だけは、4種類のことが同時に押し寄せます。
しかも、前職の経験が邪魔をします。
やることは1つ。「覚えないもの」を先に決めることです。
メモは取っている。
家でも見返している。
それでも、次の日にはまた分からない。
周りは当たり前のように話している。
自分だけ、ついていけていない気がする。
この記事は、その状態の抜け方を書きます。
転職者だけ、4つが同時に来ます
新卒のときと決定的に違うのは、ここです。
| 覚えるもの | 中身 |
|---|---|
| 業界・職種の知識 | 未経験なら当然。経験者でも業界が違えば用語から違います |
| 社内だけの用語とルール | 略語・独自の呼び方・書類の順番。どこにも書いていません |
| システムとツール | 同じ機能でも会社ごとに別物。操作を1から覚え直します |
| 人 | 名前・顔・担当・力関係。これがいちばん量が多いです |
新卒のときは、これを1年かけて覚えました。
転職では、数週間で求められます。
しかも、「経験者だから分かるだろう」という前提つきで。
覚えられないのが普通です。
経験がある人ほど、しんどくなることがあります
これは意外に思われるところです。
前職の知識があると、それが邪魔をします。
・同じ言葉が、別の意味で使われている(いちばん混乱します)
・「知っている」と思って確認を飛ばし、あとで間違いに気づく
・前のやり方が手癖で出る
・「なぜこんな手順なのか」が気になって覚えられない
まっさらな新人より、上書きのほうが手間がかかります。
4つ目が、まじめな人ほど起きます。
納得してから覚えたいのに、納得できる説明がない。
この時期は、理由を保留にして手順だけ入れてください。
理由は、3か月後に自然に分かります。
「覚えないもの」を先に決めてください
全部覚えようとするから、潰れます。
基準は1つです。
「毎日使うもの」だけ覚える。
それ以外は「どこを見れば分かるか」だけ覚える。
・毎日使う → 頭に入れる
・週1回 → 手順書を作って、それを見る
・月1回以下 → 「そういう作業がある」とだけ知っておく
・年1回 → 覚えない(その時期に聞けば十分)
月1回の作業を暗記しても、次に使うころには忘れています。
覚えるべきは手順ではなく、手順の置き場所です。
周りも、実は全部は覚えていません
ベテランに見える人も、調べながらやっています。
違うのは、どこを見れば分かるかを知っていることだけです。
だから、目指すのは暗記でなく、地図です。
自分がどのタイプか、確かめてください
同じ「覚えられない」でも、原因が3つに分かれます。
どれかで、やることが変わります。
□ 入って3か月以内
□ 聞けば教えてもらえる
□ 一度教わったことは、次はできる
□ 眠れてはいる
この記事の手順で足ります。3か月見てください。
□ マニュアルも手順書も存在しない
□ 教育担当が決まっていない
□ 聞いても「見て覚えて」で終わる
覚え方の工夫では解決しません。情報を取りに行く側の話になります。
→ 中途入社で教えてもらえない
□ 眠れない・食べられない
□ 教わった直後のことも頭に入らない
□ 出勤前に体が重い
この状態では、どんな覚え方をしても入りません。
休むほうが先です(この記事の後半に相談先をまとめました)。
②と③は、頑張るほど悪くなります。
先に、自分がどれなのかを分けてください。
メモは、1冊にまとめてください
分類しようとすると、続きません。
最初の3か月は、時系列で1冊に全部書くのが正解です。
① ノートでもアプリでも「1か所」に全部書く
② 日付を必ず入れる(あとで探す手がかりになります)
③ その日のうちに5分だけ見返す
④ 3回以上見返した項目だけ、別の場所に清書する
④が大事です。
3回見返したものは、今後も使うものです。
それだけを手順書にすれば、自分専用のマニュアルができます。
最初から整理しようとすると、整理そのものが仕事になって疲れます。
やってはいけないこと
・家に持ち帰って毎晩勉強する(疲労で翌日の吸収が落ちます)
・分からないまま進める(あとで作業ごとやり直しになります)
・「前の会社では」と言う(比較と受け取られます)
・周りと自分を比べる(相手は何年もやっています)
1つ目が、いちばんやりがちです。
焦って睡眠を削ると、覚える力そのものが落ちます。
この時期に効くのは、勉強時間より睡眠時間です。
人の名前が、いちばん量が多いです
見落とされがちですが、業務より人のほうが覚えるのが大変です。
しかも、間違えたときのダメージが大きい。
・座席表をもらう(あれば最強。なければ自分で描く)
・名前の横に「特徴」を1つ書く(役職でなく、話した内容が効きます)
・その日話した人だけ、帰りに思い出す(全員は無理です)
・分からなくなったら早めに聞き直す(時間が経つほど聞きづらくなります)
4つ目が大事です。
1週目なら「すみません、お名前をもう一度」で普通に済みます。
3か月経つと、聞けなくなります。
だから、聞き直すなら最初のうちに。
① 毎日話す人(同じチーム・隣の席)
② 週に何度か関わる人(他部署の窓口)
③ 決裁に関わる人(自分の上の上まで)
全員を覚える必要はありません。まず①だけで十分です。
いつ楽になるのか
| 時期 | 状態の目安 |
|---|---|
| 1か月 | 何も分からなくて当たり前。誰が何を担当しているか分かれば十分 |
| 2か月 | 用語が耳に入るようになります。まだ手は動きません |
| 3か月 | 1つの業務を最初から最後までできる。ここが最初の山です |
| 半年 | 調べながらなら、たいてい回せます |
| 1年 | 人に聞かれる側になります |
目安は3か月です。
いま1か月目なら、分からなくて正常です。
焦っている人ほど、この表の1年後の姿を、いま求めています。
周りに、どう伝えるか
「覚えられません」とは言いにくいと思います。
ただ、黙っているほうが不利になります。
周りは、あなたがどこまで分かっているか見えていません。
| 言わないほうがいい | こう言う |
|---|---|
| 覚えられません | 「◯◯までは分かりました。この先を教えていただけますか」 |
| 量が多すぎます | 「優先して覚えるべきものはどれでしょうか」 |
| ついていけません | 「1か月後にどこまでできていれば良いか、目安を教えてください」 |
できないことでなく、できたところから話す。
これだけで、相手の反応が変わります。
とくに3つ目です。
期待値が言葉になると、自分でも進み具合が測れるようになります。
相手は「3か月で1つできれば十分」と思っているのに、
こちらが「1か月で全部」と思い込んでいる。
この食い違いが、いちばん人を追い詰めます。
一度聞いてしまえば、終わる話です。
体に出ているなら、そちらが先です
・眠れない日が続いている
・食欲がない
・出勤前に動悸がする
・休みの日も仕事のことが頭から離れない
・ミスを人前で繰り返し責められている
この状態なら、覚える工夫より先に休んでください。
こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556(各都道府県の相談窓口につながります)
または心療内科・精神科にご相談ください。
入って間もないと、「まだ何もしていないのに」と思いがちです。
でも、体のサインのほうが正確です。
メモを取っても覚えられないとき
メモは取っている。
見返してもいる。
それでも入らない、という場合があります。
原因は、だいたい2つです。
| 原因 | どうするか |
|---|---|
| 使っていないから | 読むだけでは入りません。一度自分の手で最後までやると、一気に定着します |
| 意味が分からないまま書いている | 言葉だけ写しても記憶に残りません。「これは何のための作業か」を1行足す |
1つ目がほとんどです。
覚えてからやろうとすると、いつまでも覚えられません。
順番が逆で、やってみると覚えます。
だから、教わったらできるだけ早く、一度自分でやらせてもらってください。
「もう一度、私にやらせていただけますか」
この一言が、いちばん効率のいい復習です。
よくある質問
Q. 同じことを何度も聞いてしまいます
聞く前に、「前に伺ったのですが、確認させてください」と添えてください。それだけで相手の受け取り方が変わります。そして、2回聞いたことは必ずメモに残す。3回目をなくすのが目標です。
Q. 手順書を作る時間がありません
別に作ろうとするから時間が要ります。教わったその場で、そのままメモに書くだけで十分です。きれいにする必要はありません。あとから自分が読めれば、それが手順書です。
Q. 教えてくれる人がいません
その場合は、覚える工夫の前に情報が来ていないこと自体が問題です。対処は中途入社で教えてもらえないにまとめました。この記事とは逆の問題なので、対処も違います。
Q. 前任者と比べられて、余計に焦ります
比較されている間は、まだあなたの物差しが周りにない状態です。焦って詰め込むより、1つ、任せてもらえることを作るほうが早く終わります。詳しくは転職先で前任者と比べられるに書きました。
Q. もう限界です。辞めたほうがいいですか
量の問題なら、3か月で楽になる人がほとんどです。ただし、教えてもらえない・責められる・体に出ているなら別です。判断の材料は入社1ヶ月で辞めたいにまとめました。
いま覚えられないのは、正常です
① メモを1か所にまとめると決める(複数に散らさない)
② 「毎日使うもの」を3つだけ書き出す(まずそれだけ覚える)
③ 今夜は勉強せずに寝る(睡眠のほうが効きます)
転職して最初の数か月は、誰でも同じ状態になります。
周りが優秀に見えるのは、その人たちが何年もそこにいるからです。
1年前の同じ時期、その人も同じ顔をしていました。
だから、いま比べる相手を間違えないでください。
比べるのは、周りではなく、1か月前の自分です。
1か月前より、分かる言葉は増えているはずです。
入社直後の全体の乗り切り方は中途入社で馴染めないにまとめました。
負荷そのものが合わないと感じるなら転職エージェントおすすめ3選も見ておいてください。
※本記事は一般的な情報の解説であり、法的・医学的助言ではありません。心身の不調が続く場合は医療機関にご相談ください。こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556。※本記事には広告(PR)を含みます。