中途入社で教えてもらえない…疑われているのでなく、仕組みがないだけです
中途入社で教えてもらえないのは、あなたの能力を疑われているからではありません。
ほとんどの職場に、中途向けの教育の仕組みがないだけです。
ただし、「仕組みがない」と「意図的に外されている」は別物です。
見分け方から書きます。
入社して数日。あるいは数週間。
誰も、何も教えてくれない。ほとんど放置されている。
マニュアルもない。
聞こうとすると、みんな忙しそう。
でも、成果は求められている。
新卒のときは、研修も先輩もいたのに。
この記事は、その状況を動かすために書きます。
まず、これは珍しくありません
中途入社に教育がないのは、かなり多いです。
理由ははっきりしています。
| 理由 | 中身 |
|---|---|
| 中途向けの研修がない | 新卒には型があるのに、中途には何も用意されていない会社が多い |
| 教育担当が決まっていない | 「誰かが見るだろう」で宙に浮いています |
| 人手不足で採用した | 教える余裕がないから採った、という本末転倒が実際に起きます |
| 即戦力だと思われている | 「経験者だから分かるだろう」。いちばん多い誤解です |
| 暗黙のルールが多すぎる | 本人たちも何を教えるべきか分かっていません |
4つ目が、いちばんの原因です。
中途採用は「即戦力」と言われて入ります。
でも、即戦力なのは仕事のやり方であって、その会社のやり方ではありません。
この違いが、採る側にも分かっていないことが多いです。
初日から「放置」されたときの、最初の1週間
教えてもらえない状態は、入社初日から始まっていることも少なくありません。
席に案内されて、パソコンとマニュアルを渡されて、それきり。
「分からないことがあったら聞いて」と言われたまま、誰も戻ってこない。
教えてくれるはずの先輩が、入って数日で出張に行ってしまった。
こうした「放置」の始まり方は、中途入社ではよく聞く話です。
| よくある放置の形 | 最初の1週間でやること |
|---|---|
| マニュアルだけ渡された | 読みながら、分からない言葉と手順を一覧にする。それが最初の質問リストになります |
| やることがなく、ずっと待機 | 組織図・過去の資料・社内の共有フォルダを読んで、誰が何をしているかを把握する |
| 教える人がすぐいなくなった | 上司に「〇〇さんがいないあいだ、どなたに伺えばいいですか」と、聞く先だけ決めてもらう |
| 「聞いて」と言われたが、誰も忙しそう | 質問をためて、1日1回、決まった時間にまとめて聞く |
やることがない時間は、申し訳なさで一日がとても長く感じます。
でも、その時間に読んだ資料や、作った質問リストは、あとで必ず効いてきます。
何もしていないように見えても、放置されている時間は、職場の全体を知るための時間にできます。
「何かやることはありますか」の聞き方
放置が続くと、この一言がどんどん言いにくくなります。
言いにくくなる前に、聞き方の型を決めておいてください。
「〇〇の資料はひととおり読み終わりました。
次に目を通しておいたほうがいいものや、お手伝いできる作業があれば教えてください。」
ポイントは、「何をしたか」を先に言うことです。
「何かありますか」だけだと、相手はゼロから考えないといけません。
やったことを先に伝えると、相手は「じゃあ次はこれ」と答えやすくなります。
放置が数日で終わるのか、数ヶ月続くのかを分けるのは、この一言を続けられるかどうかであることが多いです。
2種類あります。見分けてください
ここが、いちばん大事なところです。
□ 聞けば答えてくれる
□ 忙しそうだが、態度は普通
□ 他の中途入社の人も同じ状況だった
□ 挨拶や雑談は普通にできる
□ 資料はないが、探せばどこかにある
この場合、あなたが動けば状況は変わります。
□ 聞いても答えてもらえない/はぐらかされる
□ 必要な情報だけ、自分に回ってこない
□ 会議やメールの宛先から外されている
□ 質問すると、あからさまに嫌な顔をされる
□ できていないことを、人前で指摘される
これは教育不足ではありません。
記録を残してください(日付・相手・内容をメモで十分)。
①なら、次の項目のやり方で動きます。
②なら、頑張って馴染もうとしないでください。
②は、あなたの努力で解決する問題ではありません。
①の場合、この順番で動きます
やみくもに質問しても、うまくいきません。
順番があります。
1. 質問をためる
思いついたそばから聞くと、相手の手が何度も止まります。
これが、嫌な顔をされるいちばんの原因です。
メモにためて、まとめて聞いてください。
「いま5分だけ、3つほど確認させてください」
・時間を先に言う(相手が判断できます)
・数を先に言う(終わりが見えます)
・「教えてください」でなく「確認させてください」(対等な言い方になります)
2. 自分の理解を先に言う
「これはどうやるんですか」より、
「これはAだと思ったのですが、合っていますか」
こちらのほうが、圧倒的に答えてもらいやすいです。
相手は、ゼロから説明しなくて済むからです。
そして、自分で考えている人だと伝わります。
3. 聞いたことを、自分で資料にする
教えてもらったことを、その場でメモにまとめる。
これを続けると、3つのことが同時に起きます。
① 同じことを二度聞かなくて済む
② 「ちゃんと聞いている人」だと伝わる(次から答えてもらいやすくなります)
③ その資料が、次に入る人の教材になる(あなたの成果になります)
③は、思っている以上に効きます。
「中途向けの資料がない」職場で、それを作った人になれるからです。
②だった場合、どうするか
意図的に外されている場合の話です。
先に言っておきます。
自分を変えて解決しようとしないでください。
もっと頑張れば認めてもらえる、という方向に行くと消耗するだけです。
① 記録を残す(日付・相手・何があったか。手帳のメモで十分です)
② 依頼と回答はメールやチャットで行う(口頭だと「言った・言わない」になります)
③ 直属以外に、相談できる人を探す(別部署の上司・人事)
④ 転職の選択肢を、並行して持っておく
②は、①よりも早く動いていいです。
①は時間が解決することがありますが、
②は、たいてい時間では変わりません。
・朝、出勤前に動悸がする
・眠れない日が続いている
・食欲がない
・日曜の夕方から気分が落ちる
この状態なら、仕事の覚え方より先に、休むことを考えてください。
こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556(各都道府県の相談窓口につながります)
または心療内科・精神科にご相談ください。
入社して間もないと、「まだ何もしていないのに」と思うかもしれません。
でも、体のサインのほうが正確です。
「聞ける相手」の見つけ方
この状況を抜ける鍵は、たった1人です。
全員に受け入れられる必要はありません。
気軽に聞ける人が1人いれば、それで回り始めます。
では、誰を狙えばいいのか。
| 狙う相手 | 理由 |
|---|---|
| 自分より少し前に中途入社した人 | いちばんの本命。同じ思いをしているので、聞かれる側の負担も理解しています |
| 年次が近い人 | 気を使わずに済みます。上下関係が薄いほど聞きやすい |
| 事務・総務の人 | 社内の仕組みをいちばん知っています。手続き系はここが早い |
| よく質問されている人 | 周りから頼られている人は、聞かれることに慣れています |
1つ目が、圧倒的におすすめです。
半年前に入った人は、同じところでつまずいています。
しかも、教える側になったことがないので、聞かれると素直にうれしいことが多いです。
「◯◯さんも中途で入られたと聞きました。最初のころ、どうやって覚えていかれましたか」
・業務の質問でなく、経験の質問から入る(答えやすい)
・相手を先輩の立場に置く(頼られる形になる)
・ここから「じゃあ今度これ聞いてもいいですか」につなげられる
この一言で、関係が1つできます。
あとは、そこを起点に広げるだけです。
それでも動かないときの、伝え方
自分で動いても限界があります。
1か月やって変わらないなら、上司に相談してください。
ただし、言い方を間違えると、こじれます。
| 言わないほうがいい | こう言う |
|---|---|
| 誰も教えてくれません | 「業務の全体像を一度整理したいので、30分お時間いただけますか」 |
| 放置されています | 「◯◯までは把握できました。次に何を優先すべきか確認させてください」 |
| ◯◯さんが冷たいです | 「この件は誰に聞くのが適切でしょうか」 |
人の話にしない。
業務の話にする。
これだけで、相手の受け取り方がまったく変わります。
焦りは、ここから来ています
教えてもらえないこと自体より、焦りのほうがつらいと思います。
その焦りの正体は、だいたいこの3つです。
① 「経験者として採られたのに」という引け目
② 給料をもらっているのに動けていない、という感覚
③ 転職を後悔したくない、という気持ち
どれも、あなたが真面目だから出てくるものです。
ただ、①は事実誤認です。
経験者として採られたのは、その仕事の経験であって、
その会社の仕事の経験ではありません。
社内システムも、暗黙のルールも、誰にも教わらずには分かりません。
分からないのは、当たり前です。
周りは、思っているほど見ていません
「できていないと思われている」
この感覚は、ほぼ思い込みです。
中途入社の直後は、周りもまだ評価していません。
そもそも、何をどこまでできる人か把握していないからです。
だから、いま焦って結果を出そうとしなくて大丈夫です。
最初の3か月でやるべきなのは、成果でなく、聞ける関係を作ることです。
質問できないのは、性格のせいではありません
「自分が聞けていないだけかもしれない」
そう考えている人は多いです。
でも、聞きづらい環境というものが実際にあります。
・全員がずっと忙しそう(声をかけるタイミングがない)
・個人作業が中心で、会話がそもそも少ない
・質問を1つすると、露骨に手が止まる空気がある
・自分だけ席が離れている
・リモートで、雑談が発生しない
これはあなたの遠慮の問題ではなく、環境の問題です。
とくに最後の項目です。
リモート中心の職場では、中途入社がいちばん苦労します。
隣に座っていれば聞けたことが、全部「わざわざ連絡する」に変わるからです。
リモートなら、こう変えてください
・週1回15分の定例を、上司か先輩に相談して作る
→ そこでまとめて聞けば、都度声をかけずに済みます
・チャットで「後で構いません」と添えて送る
→ 相手が自分のタイミングで返せます
・質問チャンネルがあれば、そこに書く
→ 誰かが拾ってくれます
1つ目が、いちばん効きます。
「定例を作らせてください」と言うのは、まったく図々しくありません。
むしろ、自分から立て直そうとしている人だと受け取られます。
よくある質問
Q. 何も教わっていないのに、ミスを責められます
やり方を教わっていないなら、それは教育の問題です。ただ、その場で言い返すと角が立ちます。「次から間違えないように、手順を書き留めておきたいので教えてください」と返すのが、いちばん角が立たず実利もあります。
Q. 何か月耐えれば普通になりますか
目安は3か月です。3か月やって「聞ける相手が1人もできない」なら、環境側の問題と考えていいです。逆に、聞ける相手が1人できれば、だいたい回り始めます。
Q. 前の会社のやり方を出すと、嫌がられます
よくあります。「前の会社では」は、封印してください。同じ内容でも「こういうやり方もあると思うのですが、どうでしょう」に変えるだけで通ります。出所を言う必要はありません。
Q. 辞めたほうがいいですか
①(仕組みがないだけ)なら、まだ判断が早いです。②(意図的に外されている)なら、早めに動いていいと思います。判断材料は入社1ヶ月で辞めたいにまとめました。
Q. 人間関係のほうがつらいです
業務でなく関係の問題なら、中途入社で馴染めないのほうが近い話です。この2つは原因が違うので、対処も違います。
Q. 初日から放置されています。辞めたほうがいいですか
初日や最初の数日の放置は、受け入れの準備が追いついていないだけのことが多いです。まずは1〜2週間、この記事のやり方で動いてみてください。それでも誰とも話せない状態が続くなら、仕組みではなく環境の問題として考えてかまいません。
Q. 放置されているあいだ、スマホを見ていてもいいですか
周りからは見えています。やることがなくても、マニュアルや社内資料を読んでいる状態にしておいてください。「何もしていない人」ではなく「自分で覚えようとしている人」に見えるだけで、声をかけてもらえる回数が変わります。
3か月で、何ができていればいいか
目標を、成果に置かないでください。
教わっていない状態で成果を出すのは、そもそも無理です。
| 時期 | ここまでできていれば十分 |
|---|---|
| 1か月 | 誰が何を担当しているか分かる。仕事ができなくても問題ありません |
| 2か月 | 聞ける相手が1人いる。ここが最大の関門です |
| 3か月 | 1つの業務を、最初から最後まで一人でできる。1つで十分です |
| 半年 | 自分なりのやり方を出し始められる。ここまで来れば大丈夫です |
2か月の欄が、この記事でいちばん言いたいことです。
業務を覚えることより、聞ける相手を1人作るほうが先です。
順番が逆だと、ずっと苦しいままになります。
教わっていないことは、できなくて当たり前です
① 聞きたいことを、メモに3つ書き出す
② 明日「5分で3つ確認させてください」と声をかける
③ ②で聞いたことを、その日のうちにメモにまとめる
中途入社は、誰も助けてくれない立場に置かれがちです。
新人でもなく、戦力でもない。
その宙ぶらりんの時期が、いちばんきついです。
でも、ここを抜けた人は、必ず言います。
「聞ける人が1人できた瞬間から、急に楽になった」
だから、全員と仲良くなろうとしなくていいのです。
1人だけ、聞ける相手を作る。
それが、最短の道です。
どうしても合わないと感じたら転職エージェントの選び方も見ておいてください。
※本記事は一般的な情報の解説であり、法的助言ではありません。ハラスメントや不利益な扱いを受けた場合は、総合労働相談コーナー(各労働局)などの公的な窓口にご相談ください。※本記事には広告(PR)を含みます。