面接で前職の悪口を言ってしまいそう…事実は言っていい、評価は言わない
面接官が心配しているのは、あなたが不満を持ったことではありません。
「うちでも同じことを言うのでは」という一点だけです。
だから、事実は言っていい。言ってはいけないのは評価と感情です。
この記事で、その線引きと言い換えを全部お見せします。
面接で、退職理由を聞かれる。
本当のことを言えば、会社の悪口になってしまう。
残業が多かった。
上司が理不尽だった。
評価がめちゃくちゃだった。
でも、それを言うと落ちる気がする。
かといって、嘘をつくのも気持ちが悪い。
この記事は、その板挟みを解きます。
面接官が本当に気にしていること
ここを勘違いすると、必要以上に取り繕うことになります。
面接官は、あなたの前の会社に興味がありません。
確かめたいのは、この3つだけです。
| 確かめたいこと | なぜ |
|---|---|
| うちでも同じ不満を言わないか | すぐ辞められると、採用コストが無駄になります |
| 問題を人のせいにする人か | 職場で揉める人かどうかを見ています |
| うちで解決できる不満か | 解決できないなら、お互いに不幸になります |
つまり、不満があること自体は問題ではありません。
不満がなければ、そもそも転職していません。
面接官もそれは分かっています。
言っていいこと、言ってはいけないこと
線引きは、はっきりしています。
| 例 | 判定 | |
|---|---|---|
| 事実 | 月の残業が60時間ありました | ◎ 言っていい |
| 制度の説明 | 評価基準が公開されていませんでした | ◎ 言っていい |
| 評価 | ブラックな会社でした | ✕ 言わない |
| 人への感情 | 上司が本当にひどくて | ✕ 言わない |
| 愚痴の口調 | もう限界で、やってられなくて | ✕ 言わない |
数字と事実は、悪口になりません。
「月60時間の残業がありました」は、ただの情報です。
でも「残業が多すぎる会社で」と言った瞬間に、評価に変わります。
「起きたこと」は言う。「どう思ったか」は言わない。
これだけで、悪口にはなりません。
そのまま使える言い換え
よくある本音を、面接で使える形に直します。
残業が多すぎた
◎ 月の残業が60時間前後で推移していました。長く続けられる働き方を考えたときに、時間の使い方を見直したいと思いました。
上司と合わなかった
◎ 業務の進め方について、すり合わせに時間がかかることが多くありました。判断の基準がはっきりしている環境で働きたいと考えています。
評価されなかった
◎ 評価の基準が公開されていない仕組みでした。成果が数字で見える環境のほうが、自分は力を発揮できると感じています。
給料が上がらなかった
◎ 昇給の幅が年に数千円という水準でした。成果に応じて評価される仕組みの中で働きたいと考えています。
人が次々辞めていった
◎ 直近1年で同じ部署から〇名が退職し、業務が一部の人に集中する状況が続いていました。
共通しているのは、後半に「だから何を求めているか」を付けていることです。
これが最大のコツです。
不満で終わると悪口になり、希望で終わると志望動機になります。
言い方より先に、順番を決める
退職理由を聞かれたときの話す順番が決まっていると、口が滑りません。
① 事実(数字・制度・出来事)=10秒
② そこから何を考えたか=10秒
③ だから何を求めているか=10秒
合計30秒。これ以上長くしないでください。
長く話すほど、感情が混ざります。
30秒で切り上げれば、愚痴になる余地がありません。
実際にやってみると、こうなります
②考えたこと:長く続けられる働き方を考えたときに、時間の使い方を見直す必要があると感じました。
③求めていること:業務の進め方を工夫できる環境で、腰を据えて働きたいと考えています。
これで30秒です。
悪口は1つも入っていません。
それでいて、嘘も1つも入っていません。
嘘をつく必要はありません
言い換えと聞くと、嘘をつくように感じるかもしれません。
でも、ここまでの例に嘘は1つもありません。
やっているのは、感情を外して、事実だけ残すことだけです。
「キャリアアップのため」だけで押し通すと、深掘りされたときに答えられなくなります。
「では、いまの会社では何ができなかったのですか」
この質問に、用意した嘘では答えられません。
事実をベースにしておけば、どこを掘られても崩れません。
面接官は、何十人も面接しています。
作った話かどうかは、掘れば分かります。
書類に書くときは、もっと短く
職務経歴書にも退職理由を書く欄があることがあります。
ここでは、面接よりさらに短くしてください。
・会社都合:会社都合により退職
・自己都合:一身上の都合により退職
理由を細かく書く必要はありません。
理由は2つあります。
1つ目。書類は、話を聞く場ではありません。
文字だけだと、ニュアンスが伝わらず、悪く読まれます。
2つ目。深掘りは面接でされます。
書類で細かく書くと、面接で言うことがなくなります。
書き方は職務経歴書の書き方にまとめました。
担当者には、本音のほうを話して構いません。
企業に出す言い方は、担当者が一緒に整えてくれます。
「上司と合わなかった」と伝えれば、「では、こう言いましょう」と返ってきます。
これは、エージェントを使う実務的な利点のひとつです。
つい言ってしまったときの戻し方
言ってしまうことは、あります。
緊張していると、口が滑ります。
そのときは、その場で足してください。
私としては、〇〇な環境で働きたいという気持ちが強くなった、ということです。
この一言があるだけで、印象はかなり戻ります。
むしろ、自分で修正できる人だと見えます。
黙って流すより、気づいて直したほうが評価されます。
深掘りされたときの答え方
30秒で答えると、たいてい追加で聞かれます。
そこで崩れないよう、よくある深掘りを先に見ておきます。
| 深掘り | 答え方の型 |
|---|---|
| 会社に改善を求めなかったのですか | やったことを事実で答える。「上長に相談しましたが、体制上難しいとのことでした」 |
| うちでも同じことが起きたら | ここが本題。「まず相談します。そのうえで一緒に考えたいです」 |
| 異動という選択肢はなかったのですか | 検討したなら正直に。していないなら「会社全体の仕組みだったため」 |
| 前の上司はどんな方でしたか | 罠になりやすい質問。「厳しい方でしたが、学ぶ点もありました」で十分 |
2つ目が、いちばん大事な質問です。
面接官が本当に知りたいのは、「うちで同じ状況になったらどうするか」だけです。
ここで「また辞めます」に聞こえる答えをしないでください。
前職では、伝えるのが遅れてしまった反省があります。
早い段階で共有して、一緒に考えていただきたいと思っています。
「自分にも反省がある」を一言入れるのがコツです。
全部を会社のせいにしないことで、人のせいにする人ではないと伝わります。
「すべて私の力不足でした」まで言う必要はありません。
面接官は謙虚さではなく、状況を客観的に見られるかを見ています。
「会社にも事情があり、自分にも改善できた点があった」くらいが、いちばん自然です。
言い換えを作る、3分の手順
自分のケースでやってみてください。
① 本音をそのまま書く(汚い言葉でも構いません)
② 数字と出来事に下線を引く(残業60時間/評価基準がない/3人辞めた)
③ 下線の部分だけを残す(それ以外は消す)
④ 最後に「だから〇〇な環境で働きたい」を足す
やってみると分かりますが、①で書いた文章の8割は消えます。
消えるのは、感情と評価です。
残るのは、事実だけ。
そして、事実だけになった時点で、もう悪口ではありません。
下線が1本も引けないとき
たまに、数字も出来事も出てこないことがあります。
「なんとなく合わない」
「雰囲気が嫌」
その場合は、言い換えの前にやることがあります。
「先月、〇〇を頼まれたとき」
「毎週月曜の朝礼で」
場面が出てくれば、そこから事実を取り出せます。
それでも出てこないなら、面接より先に、辞めたい理由を整理する段階です。
進め方は初めての転職が怖いときにまとめました。
よくある質問
Q. 会社の業績が悪かった場合は、どう言えばいいですか
これはそのまま言って構いません。会社の状況は、あなたの評価とは関係ないからです。「事業の縮小が続き、担当していた部門も規模が縮小しました」といった事実の説明で十分です。悪口にはなりません。
Q. 面接で感情的になってしまいそうです
つらい経験があった場合、思い出すと感情が動きます。対策は、原稿を作って声に出して練習しておくことです。一度声に出しておくと、本番では「読み上げる」感覚になり、感情が乗りにくくなります。
Q. 正直に言ったら「うちには合わない」と言われました
残念に感じると思いますが、入社後に分かるより、はるかにましです。面接は、会社があなたを見る場であると同時に、あなたが会社を見る場でもあります。そこで合わないと分かったなら、面接が機能したということです。
Q. 本当にハラスメントがあった場合も、言わないほうがいいですか
事実として、短く伝えて構いません。ただし詳細を語らないでください。「業務上、適切でない扱いを受ける場面がありました」で十分です。長く話すほど、感情が乗って伝わってしまいます。
Q. 転職理由を「人間関係」と正直に言っていいですか
言い方次第です。「人間関係が悪くて」だけだと、揉める人に見えます。事実に落とすなら、「業務の進め方について、認識をそろえるのに時間がかかる場面が続きました」のように、人でなく状況の話に変えてください。面接官が知りたいのは、あなたが人と揉めやすいかどうかです。
Q. 面接官から前職の悪口を引き出そうとされました
「ぶっちゃけどうでした?」と聞かれることがあります。ここで乗らないでください。和やかな空気でも、見られています。「いろいろありましたが、学ぶことも多かったです」で流して構いません。
Q. 逆に、面接官が自社の悪口を言ってきました
正直な会社である可能性もありますが、そのまま鵜呑みにしないでください。「率直に教えていただきありがとうございます」と受けつつ、それが「よくあること」なのか「例外」なのかを聞いてみてください。
Q. 退職理由と志望動機がつながりません
つなげ方は決まっています。「前職で〇〇が不足していた」→「御社では〇〇ができる」の形です。不満と志望動機は、裏返しの関係にすると自然につながります。
Q. 前職が短期間で、説明しづらいです
期間の短さより、説明できるかどうかが見られています。事実を短く述べて、「次は長く働きたい」で締めれば十分です。詳しくは転職回数が多いと不利?にまとめました。
起きたことは言う。思ったことは言わない
① 辞めたい理由をそのまま紙に書く(感情ごと)
② そこから「事実」だけに線を引く(数字・制度・出来事)
③ 最後に「だから〇〇な環境で働きたい」を足す
これで、面接で使える形になります。
前職の悪口を言ってしまいそうなのは、あなたが正直だからです。
本当のことを言おうとするから、不満が出てきます。
だから、嘘をつく必要はありません。
必要なのは、感情を外して、事実だけ残すことだけです。
そして最後に、「だから何を求めているか」を付ける。
それだけで、同じ内容が志望動機に変わります。
自分の場合どう言えばいいか迷うなら、第三者に整理してもらうのが早いです。
進め方は転職エージェントの選び方にまとめました。
※本記事は一般的な情報の解説であり、法的助言ではありません。ハラスメント等でお困りの場合は、労働局や公的な相談窓口にご相談ください。※本記事には広告(PR)を含みます。