転職したい職種が決まらないとき|やりたいことより先に決めること
職種が決まらないのは、やりたいことから考えているからです。
やりたいことは、たいていの人にはありません。
順番を変えてください。
①避けたい働き方を決める ②できることを棚卸しする ③残った中から選ぶ。
今の仕事は続けたくない。
でも、じゃあ何がしたいのかと聞かれると、答えられない。
求人サイトを開いて、職種の一覧を眺める。
どれもピンとこない。
自己分析の本も読んでみた。
でも、「やりたいこと」は出てこなかった。
この記事は、やりたいことが見つからないまま、職種を決める方法を書きます。
見つけましょう、とは言いません。
見つからない前提で進めます。
□ やりたいことが、そもそもない
□ やりたいことはあるが、未経験なので現実的でない
□ 選択肢が多すぎて選べない
□ 今の職種を続けるべきか、変えるべきか分からない
□ 向いていることが自分で分からない
どれも、「やりたいこと」から考えている限り、進みません。
別の入口から入ります。
◯ やりたいことが思いつかない
◯ 自己分析をやってみたが、答えが出なかった
◯ 今の仕事が嫌なことだけは、はっきりしている
◯ とりあえず動き出したい
✕ すでにやりたい職種が決まっていて、その入り方を知りたい人には向きません。その場合は、その職種の求人要件を見るところから始めてください。
「やりたいこと」から考えると決まらない理由
理由は3つあります。
1. 知らない仕事は、やりたいと思えない
世の中の職種の大半を、私たちは知りません。
知っているのは、自分がやってきた仕事と、その周辺だけです。
知らないものは、選択肢に上がりません。
2. やりたいことは、やってから出てくる
多くの人は、やってみて面白くなったから続けています。
最初から情熱があったわけではありません。
順番が逆なのです。
3. 「やりたいこと」を求めると、基準が高くなりすぎる
心から打ち込めるものを探そうとすると、ほとんどの選択肢が「これじゃない」になります。
結果、何も選べません。
「好きなことを仕事に」という言葉が広まったせいで、やりたいことがないと転職してはいけないような空気があります。
でも実際には、条件で選んで、働きながら面白さを見つけている人のほうが多いのです。
見つからないまま進んで、まったく問題ありません。
ステップ1:避けたい働き方を3つ決める
ここから始めてください。
やりたいことは出てこなくても、嫌なことはすぐ出てきます。
今の仕事で、「これがつらい」と思っていることを書き出します。
・ノルマがある
・毎日ちがう人と初対面で話す
・電話が多い
・転勤がある
・土日に出勤がある
・一人で黙々と作業する時間が長い
・逆に、常に誰かと動く
・成果が数字だけで評価される
・決まった手順どおりに進める仕事しかない
この中から、これだけは無理、という3つを選んでください。
3つ決まると、職種の半分以上が自動的に消えます。
例えば「ノルマ」「初対面」「電話」が無理なら、営業職は候補から外れます。
それだけで、見る求人がぐっと減ります。
ステップ2:できることを棚卸しする
次に、今までやってきたことを全部出します。
職種名ではなく、作業レベルで書いてください。
「営業」ではなく、「見積書を作る」「顧客の要望を聞いて社内に伝える」「数字を管理する」のように分解します。
分解すると、他の職種でも使えるものが見えてきます。
「接客業」を分解すると
・お客さんの困りごとを聞き出す
・在庫を管理する
・新人に教える
・シフトを組む
・クレームに対応する
この中の「聞き出す」は営業やカスタマーサポートで、「新人に教える」は研修や人事で、「シフトを組む」は管理業務で使えます。
職種名で考えると経験ゼロでも、作業で考えると経験があります。
自分では当たり前だと思っている作業ほど、他の環境では価値になることがあります。
やり方の詳細は、転職の自己分析のやり方にまとめました。
ステップ3:残った中から、条件で選ぶ
避けたいものを外し、できることが分かったら、残った職種を条件で並べます。
見る条件は3つでいいです。
1. 年収が今より下がらないか
未経験の職種に移ると、一時的に下がることがあります。
下がる場合、何年で戻るのかを確認してください。
2. 未経験から入れるか
求人票に「未経験可」と書かれているかどうかで、現実的な候補かが分かります。
3. 求人の数が十分にあるか
募集が少ない職種は、決まるまでの時間が長くなります。
数が多いほうが、選び直しもききます。
向き不向きは、やってみないと分かりません。
入る前に判断できるのは、避けたいことに当たらないかだけです。
「向いていそう」で選ぶより、「嫌なことがない」で選ぶほうが、外れが少なくなります。
今の職種を続けるか、変えるか
いちばん多い迷いです。
判断の材料は、シンプルです。
つらいのは、仕事の中身か、環境か。
仕事の中身がつらい場合
職種を変えたほうがいいでしょう。
同じ職種で会社だけ変えても、やることは同じだからです。
環境がつらい場合
上司、人間関係、労働時間、給与。
これらが理由なら、同じ職種で会社を変えるほうが有利です。
経験が評価されるので、年収を落とさずに済みます。
「今の仕事を、別の会社の、いい上司のもとでやるとしたら?」
「それならやれる」と思うなら、問題は環境です。職種は変えなくていい。
「それでも嫌だ」と思うなら、問題は中身です。職種を変えたほうがいい。
この2つを混ぜたまま考えると、何を変えればいいのか分からなくなります。
職種を「働き方」で分けてみる
職種名で見るとピンとこなくても、働き方の型で見ると好き嫌いがはっきりします。
大きく分けると、こうなります。
②社内で、決まった手順を回す(事務/経理/総務/管理)
③つくる・直す(製造/技術/エンジニア/デザイン)
④人を支える(カスタマーサポート/人事/教育/医療福祉)
⑤考えて、まとめる(企画/マーケティング/分析)
この5つのうち、どうしても嫌なものはどれですか。
そして、まあ耐えられるものはどれですか。
好きなものを選ぶのではなく、耐えられるものを残すのがコツです。
2つ残れば十分です。
そこから求人を見ると、眺める対象が5分の1になります。
それでも手が止まってしまう場合は、転職活動が進まない5つの原因に、止まっている場所別の動かし方を書いています。
「今の職種しか経験がない」という不安
よく聞く不安です。
でも、
今の職種の経験があること自体が、いちばん強い材料です。
未経験の職種を探す前に、一度これを確認してください。
「同じ職種で、環境だけ変えた場合の求人はいくらで出ているか」
見てみると、今より条件のいい求人が普通に存在することがあります。
職種を変えなくても、つらさが解決することは珍しくありません。
職種変更は、それを確認してからでも遅くありません。
① 同じ職種・別の会社の求人を10件見る
② それでも「この仕事自体が嫌だ」と思うなら、職種変更を検討する
①を飛ばして未経験の職種を探すと、年収を落とす必要がなかったのに落とすことになります。
未経験の職種に移るときの現実
正直なところを書きます。
未経験からの職種変更は、年齢が上がるほど難しくなります。
これは事実です。
ただし、まったく不可能というわけではありません。
通りやすくなる条件があります。
1. 前職の経験が一部でも使える
完全な未経験より、隣の職種のほうが通ります。
営業から企画、接客から人事のように、重なる部分がある移り方です。
2. 人手が足りていない職種を選ぶ
募集が多い職種は、未経験でも入口が開いています。
3. 年収が一時的に下がることを受け入れる
ここが分かれ目になることが多いです。
下がる前提で家計が回るかを、先に計算してください。
未経験歓迎の求人には、本当に育てる会社と、人が辞めるので常に募集している会社の両方があります。
見分け方は、同じ求人が長期間ずっと出ていないかを見ることです。
常時募集がかかっている職場は、入れ替わりが激しい可能性があります。
判断が難しいところなので、第三者に聞くのがいちばん確実です。
決めきれないときの、最後の絞り方
ここまでやっても、2つか3つで迷うことがあります。
その場合は、10年後で考えてみてください。
質問は1つです。
「この仕事を10年続けた自分は、何ができるようになっているか」
答えが出るほうを選んでください。
積み上がるものがある仕事は、年齢が上がっても選択肢が減りません。
逆に、
誰がやっても同じ結果になる仕事は、年齢とともに立場が弱くなりやすいです。
これは、いま楽かどうかとは別の話です。
・専門知識(法律・会計・技術・医療など)
・数字で示せる実績(売上・改善率・件数)
・人を動かした経験(教育・管理・調整)
・特定の業界に詳しくなること
どれか1つでも積み上がるなら、次に動くときの材料になります。
いま決める職種は、一生続けるものではありません。
次に動くときの材料が増える方を選んでください。
それが、迷ったときのいちばん確かな基準です。
一人で決めようとしないほうがいい理由
職種選びは、一人だとどうしても狭くなります。
理由は最初に書いたとおりで、知らない職種は候補に上がらないからです。
自分の経験が、どの職種で評価されるのか。
これは、他人のほうが正確に見えます。
転職エージェントの担当者は、同じような経歴の人がどこへ移っているかを知っています。
「その経験なら、この職種もあります」と自分では思いつかない選択肢が出てくることがあります。
相談だけの利用を受け付けているところも多く、費用もかかりません。
どこに相談するか迷う場合は、転職エージェントの選び方に、それぞれの得意分野を書いています。
よくある質問
Q. 自己分析ツールや適職診断は当てになりますか
傾向をつかむ材料としては使えます。ただし、結果をそのまま職種名として受け取らないでください。「人と話す仕事が向いている」と出ても、営業なのか接客なのか教育なのかで、まったく別の働き方になります。
Q. 資格を取ってから動くべきですか
資格が必須の職種でなければ、先に動いたほうが早いことが多いです。資格の勉強に1年かけて、その職種が自分に合わなかったときの損失が大きいからです。必要かどうかを先に確認してください。
Q. 職種を変えると、年収はどのくらい下がりますか
職種と経験によって大きく変わるので、一律の目安は出せません。自分の経歴で、その職種の求人がいくらで出ているかを実際に見るのが確実です。
Q. 選んだ職種が合わなかったら、また変えられますか
変えられます。ただし短期間での職種変更を繰り返すと、経歴として説明が必要になります。だからこそ、入る前に「避けたいこと」を確認しておくことが効きます。
Q. 求人を見ても、まだピンときません
ピンとくる必要はありません。「これなら嫌じゃない」で十分です。ピンとくる感覚を待っていると、いつまでも決まりません。
Q. 家族に「安定した仕事にして」と言われています
心配からの言葉ですが、毎日働くのは自分です。反対されている場合は、説得より情報を揃えるほうが早いことがあります。求人の実際の条件と、入社後の見通しを示せると、話が具体的になります。
Q. 職種を絞らずに、いろいろ受けてもいいですか
受けるのは自由ですが、志望動機が書けなくなります。2〜3の方向に絞ったほうが、書類も面接も準備が楽になります。完全に1つに絞る必要はありません。
Q. 「向いている仕事」を診断してくれるサービスはありますか
自己分析シートを使って一緒に整理するエージェントもあります。ただし、診断結果が答えを出してくれるわけではありません。材料を整理する道具として使ってください。
決められないのは、あなたのせいではない
① 今の仕事でつらいことを5つ書き出す
② その中から「これだけは無理」を3つ選ぶ
③ その3つに当たらない求人を、5件だけ見てみる
10分で終わります。
やりたいことを探すより、ずっと早く進みます。
職種が決まらないのは、情報が足りないだけです。
世の中にどんな仕事があって、自分の経験がどこで使えるのか。
これは、一人で考えても出てきません。
考えるのではなく、知ることのほうが先です。
やりたいことは、働きながら出てくることのほうが多いのです。
※本記事は一般的な情報の解説です。※本記事には広告(PR)を含みます。