転職の口コミサイトは信じていい?点数でなく「同じ不満の数」を見る
口コミサイトは、信じるものではなく、質問を作るための道具です。
書き込む人には偏りがあります。満足している人は、わざわざ書きません。
見るべきは点数でも件数でもなく、「同じ不満が何件も出ているかどうか」だけです。
気になる会社を見つけた。
とりあえず、社名で検索した。
出てきたのは、「残業が多い」「上司がひどい」「離職率が高い」。
一気に、行きたくなくなった。
でも、この情報をどこまで信じていいのか分からない。
この記事では、口コミサイトの読み方を書きます。
まず、誰が書いているかを知ってください
ここを押さえるだけで、見え方が変わります。
口コミを書くのは、たいてい辞めた人です。
多くのサイトでは、自分の会社の情報を投稿すると、他社の口コミが読めるようになる仕組みになっています。
つまり、「読みたい」という動機がある人が書いています。
それは誰かというと、いま転職を考えている人です。
そして転職を考えている人の多くは、いまの会社に不満があります。
・辞めた人・辞めたい人の声が中心になる
・満足している人は書かない(動機がない)
・強い感情のある投稿ほど残る
・古い投稿がそのまま置かれている(数年前の話が今の話に見える)
これは、サイトが悪いという話ではありません。
そういう仕組みだから、そう偏るという話です。
それでも、口コミは役に立ちます
読まないほうがいい、とは言いません。
読み方を変えれば、十分に使えます。
| 読み方 | 結果 |
|---|---|
| 点数を見る | ✕ 件数が少ないと、数人の感情で動きます |
| いちばん悪い投稿を読む | ✕ 強い感情の1件に引きずられます |
| 「行くか行かないか」を決める材料にする | ✕ 見ず知らずの人の相性で、自分の進路を決めることになります |
| 同じ不満が何件出ているかを数える | ◎ これがいちばん使える読み方 |
| 面接で聞く質問を作る材料にする | ◎ 本来の使い道はこれです |
「同じ不満が何件出ているか」を数える
1件だけの強い書き込みは、その人個人の事情である可能性が高いです。
上司と合わなかった。
配属先がたまたま忙しかった。
会社と揉めて辞めた。
でも、同じ内容が5件、10件と並んでいたら、それは会社の性質です。
・時期がバラけているか(3年前と去年と今年に同じ不満があるなら本物)
・部署がバラけているか(1部署だけなら、その部署の話)
・言い方が違うか(同じ表現の連投は、同一人物の可能性)
主な口コミサイトの、書かれ方の違い
サイトによって、集まる声の性質が変わります。
| 種類 | 集まりやすい声 |
|---|---|
| 社員クチコミ型 (在籍者・退職者が投稿) | 年収・残業・社風。投稿すると他社の口コミが読める仕組みが多く、転職検討中の人に偏る |
| Q&A・掲示板型 | 個別の悩み。質問した人の状況に強く依存する |
| まとめ記事型 (「〇〇社の評判」) | 出所が示されないことが多い。広告目的で作られている場合もある |
| SNS | その日の感情。強い言葉ほど拡散される |
見るなら、1つ目の社員クチコミ型が比較的まともです。
ただし、その中でも「転職を考えている人」に偏ることは変わりません。
年収の欄は、比較的あてになります
感想と違って、年収は数字なので盛りにくいです。
とくに、同じ職種・同じ年次の投稿が複数ある場合は参考になります。
提示された金額がその水準から大きく外れていたら、理由を聞く価値があります。
考え方は年収が上がりすぎて怖いときにまとめました。
口コミの本当の使い道は、質問を作ること
ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。
たとえば、「残業が多い」という口コミがあったとします。
ここで「じゃあやめよう」と決めるのは、もったいないです。
そのかわり、面接でこう聞けます。
また、繁忙期はいつごろで、そのときはどのくらいになりますか。
口コミがなければ、この質問は思いつきません。
つまり口コミは、答えではなく、質問の材料です。
よくある口コミ → 面接で聞く形
| 口コミ | 面接での聞き方 |
|---|---|
| 残業が多い | 配属部署の平均残業時間と、繁忙期を教えてください |
| 離職率が高い | このポジションは増員ですか、欠員の補充ですか。前任の方はどのくらい在籍されていましたか |
| 評価制度が不透明 | 評価はどのタイミングで、どなたが決めますか |
| 上司による | 直属の上司になる方と、面接でお話しできますか |
| 教育制度がない | 入社後3ヶ月は、どのように進みますか |
こう聞かれて具体的に答えられる会社なら、口コミがどうであれ大丈夫です。
答えをはぐらかす会社なら、そちらのほうが判断材料になります。
入社前に確認すべきことは入社前に確認すべき質問12にまとめました。
良い口コミも、そのまま信じないでください
悪い口コミの話ばかりしましたが、良いほうにも偏りがあります。
・いま在籍している人が書いている(辞める理由がないので前向き)
・会社側が投稿を促していることがある
・入社直後の人が書いている(まだ嫌なところが見えていない)
とくに「入社したばかりの人の絶賛」は、割り引いて読んだほうがいいです。
私たちが入社1週間で会社を評価できないのと同じです。
信頼度が高い口コミの見分け方
・良い点と悪い点の両方が書かれている
・具体的な数字や場面がある(「残業は月30時間ほど」など)
・職種と在籍年数が書かれている
・感情語が少ない(「最悪」「神」が出てこない)
感情ではなく事実を書いている投稿ほど、あてになります。
逆に、絶賛だけ・酷評だけの投稿は、両方とも読み飛ばして構いません。
見なくていい口コミもあります
・投稿件数が10件未満の会社(数人の感情で点数が動きます)
・3年以上前の投稿(社長も制度も変わっていることがあります)
・「最悪」「終わってる」だけの投稿(何が起きたか書かれていない)
・退職理由が明らかに個人的なもの(人間関係のもつれなど)
・まとめサイトの「評判」記事(口コミの引用元が示されていないもの)
最後の項目について、少し書かせてください。
「〇〇社の評判」という記事の多くは、出所の分からない声が並んでいます。
「30代・男性」「利用者の声」とだけ書かれた文章です。
あれは、誰でも書けてしまいます。
だから当サイトでは、出所の分からない口コミは載せていません。
公表されている数字と、その数字が示していないことを書くようにしています。
悪い口コミで動揺したときの、戻し方
読んでしまって、気持ちが沈むことがあります。
そのときは、この順番で戻してください。
3年前なら、いまの話ではない可能性があります
②何件あるかを数える
1件なら個人の事情。3件以上で初めて傾向です
③自分に当てはまるかを見る
別部署・別職種の話なら、あなたには関係ありません
④質問に書き換える
不安のままにせず、面接で聞く形にする
④まで進めば、不安が「確かめること」に変わります。
ここが大事です。
悪い口コミを読んで、応募をやめる。
これを繰り返すと、どこにも応募できなくなります。
完璧な会社は、口コミサイトには存在しません。
どんな会社にも、合わなかった人が必ずいるからです。
自分の「譲れない条件」を先に決めておく
口コミに振り回されるのは、判断の基準を持っていないからでもあります。
先に決めておけば、関係ない不満を読み飛ばせます。
・これがあったら無理(例:転勤/休日出勤/月40時間超の残業)
・これがあれば十分(例:年収〇〇万円/通勤1時間以内)
・どちらでもいい(例:社風/飲み会の有無)
3つ目に入るものの口コミは、読まなくていいということです。
口コミより確かな、3つの調べ方
口コミは補助です。
もっと確かな材料が、実はあります。
1. 求人の出し方を見る
同じ求人が1年以上ずっと出ていないか。
拡大中なら自然ですが、そうでないなら人が定着していない可能性があります。
これは口コミより客観的です。
2. 求人票の書きぶりを見る
・仕事内容が「いろいろ」しか書いていない
・「アットホーム」「若手が活躍」だけで、業務の記述が薄い
・みなし残業の時間数が書かれていない
・給与の幅が異常に広い(例:月給20万〜80万)
求人票は会社が自分で書いたものなので、そこに何を書かなかったかが分かります。
3. 実際に人に会う
いちばん確実です。
面接で、配属予定の部署の人と話せるかを聞いてみてください。
入社後の働き方を、具体的にイメージしておきたいと考えております。
断られること自体が、1つの情報になります。
この3つのうち、いちばん信頼できるのは3番目です。
そしていちばん手軽なのが1番目。
口コミだけで決めるのは、いちばん手軽な材料だけで人生を決めるということです。
よくある質問
Q. 口コミを見すぎて、どこも受けられなくなりました
よくあることです。どの会社にも、必ず不満を書いた人がいます。それを全部避けようとすると、応募先が消えます。「譲れない条件」を3つだけ決めて、それ以外は読まないと決めてください。
Q. 面接で「口コミを見た」と言っていいですか
言わないほうが無難です。「調べたうえで疑っている」という印象になります。同じことを聞くなら、「配属部署の残業時間を教えてください」のように、口コミに触れずに事実だけを聞いてください。
Q. 転職エージェントの口コミも同じですか
同じ偏りがあります。担当者との相性で評価が大きく変わるので、「担当者が悪かった」という投稿は会社の評価とは別です。エージェントは合わなければ担当を変えられます。手順は転職エージェントが合わないときにまとめました。
Q. 口コミサイトはどれを見ればいいですか
どれか1つに絞る必要はありません。2〜3サイトを見て、同じ不満が共通して出ているかを見るほうが、1サイトを深く読むより正確です。1サイトだけだと、投稿者の層が偏ります。
Q. 悪い口コミしかない会社は、やめたほうがいいですか
件数によります。10件以上あって、同じ不満が繰り返されているなら、それは会社の性質です。数件しかないなら、判断材料になりません。いずれにしても、面接で確かめてから決めてください。
Q. 面接で聞いた話と口コミが食い違います
その場で結論を出さず、もう一度、別の聞き方で確かめてください。たとえば残業なら「平均」ではなく「先月、この部署でいちばん多かった人は何時間でしたか」と聞きます。平均は薄まりますが、実際の最大値は薄まりません。それでも曖昧なら、書面で労働条件を出してもらってください。
Q. 口コミがまったくない会社は不安です
中小企業では珍しくありません。従業員数が少なければ、投稿する人もいません。情報がないことと、悪い会社であることは別です。その場合は、求人の出し方や面接での説明で判断してください。
Q. エージェントに聞けば、内情を教えてもらえますか
担当者が実際にその会社を訪問していれば、離職率や職場の雰囲気を知っていることがあります。「この会社の定着率はどうですか」と聞いてみてください。具体的に答えられるかどうかで、担当者の力量も分かります。
Q. 自分も口コミを書いたほうがいいですか
多くのサイトでは、投稿すると他社の口コミが読めるようになります。ただし、感情のまま書くと後で見返して恥ずかしくなります。書くなら、事実だけを淡々と書くのがおすすめです。
口コミは、地図ではなく天気予報です
① 気になる会社の口コミを2サイト開く
② 同じ不満が何件出ているかを数える
③ 3件以上あるものを、面接で聞く質問に書き換える
②で数えたものが、あなたが確かめるべきことです。
口コミは、その会社の姿を正確に映した地図ではありません。
書いた人の立場と、その日の気分が混ざっています。
でも、天気予報くらいには使えます。
「雨が降るかもしれない」と分かれば、傘を持って出られます。
それが、面接で聞く質問です。
見ず知らずの人の投稿で、自分の進路を決めないでください。
決めるのは、自分で確かめたあとです。
会社の内情を聞ける相手を持っておくと、口コミに振り回されずに済みます。
選び方は転職エージェントの選び方にまとめました。
※本記事は一般的な情報の解説であり、法的助言ではありません。※本記事には広告(PR)を含みます。