仕事量に給料が見合わない…まず自分の時給を出す。動かせるのは3つだけ
見合っているかどうかは、気持ちではなく「時給」で出ます。
手取りではなく総支給を、実際に働いている時間で割ってください。持ち帰りも、休憩できていない時間も入れます。
出た数字を上げる方法は①仕事量を減らす ②社内で役割を変える ③会社を変えるの3つだけ。
①と②が効くのは、量が一時的に増えているときだけです。人が足りていない・仕組みが変わらない場合は、何年やっても数字は動きません。
まずは、自分の時給を1回だけ出してみてください。
同じ給料の人より、明らかに多く動いている。
人が辞めて、その分の仕事も回ってきた。
それでも、給料は変わらない。
「割に合わない」と感じるけれど、ただの愚痴なのかもしれないとも思う。
この記事は、その感覚を数字にするところから始めます。
まず、自分の時給を出します
やることは、割り算ひとつです。
用意するのは、給与明細と、1か月の勤務時間です。
総支給額 ÷ 実際に働いた時間 = あなたの時給
・手取りではなく総支給(引かれる前の金額)
・残業代が出ていない時間も、働いた時間に入れる
・持ち帰りの仕事も入れる
・休憩できていない時間も入れる
例を出します。
| 項目 | 例 |
|---|---|
| 総支給 | 22万円 |
| 1日の実働 | 9時間(休憩が取れない日が多い) |
| 月の出勤 | 21日 |
| 持ち帰り | 月10時間 |
| 働いた時間 | 199時間 |
| 時給 | およそ1,105円 |
この数字が出た瞬間に、話が変わります。
「なんとなくきつい」が、1時間あたりいくらかという事実になるからです。
出た数字が低くても、自分を責める材料にしないでください。
これは、あなたの値段ではありません。
いまの会社が、いまの仕組みで払っている金額というだけです。
出した数字を、どう見るか
数字が出たら、3つと比べてみてください。
| 比べる相手 | どこで分かるか |
|---|---|
| 住んでいる地域の最低賃金 | 厚生労働省のサイトに、都道府県ごとに出ています |
| 近所のアルバイトの時給 | 求人サイトや、店頭の貼り紙 |
| 同じ職種の求人 | 求人サイトで職種名を入れて検索 |
3つ目がいちばん効きます。
同じ仕事をしている会社が、いくらで募集しているか。
ここに数万円の差があることは、めずらしくありません。
求人票の金額には、みなし残業が含まれていることがあります。
「月給◯◯万円(固定残業代◯時間分を含む)」という書き方です。
比べるときは、その中身まで見てください。
金額だけを見て動くと、同じことが起きます。
見合わない理由は、3つに分かれます
同じ「割に合わない」でも、中身が違います。
どれなのかで、打つ手が変わります。
| 型 | 起きていること | 効く手 |
|---|---|---|
| 量が多い | 人が減った・仕事が増えた | 量を戻す交渉 |
| 単価が低い | 会社の給与水準そのものが低い | 会社を変える |
| 仕組みがない | 頑張っても反映される道がない | 役割を変えるか、会社を変える |
見分け方は簡単です。
① この量は、来年には戻りますか
② この会社で、給料が上がった人を知っていますか
①がいいえ、②もいいえなら、社内で解決する道はほとんど残っていません。
逆に、①がはいなら、いま動くのは早いかもしれません。
繁忙期や、人の入れ替わりの時期だけということもあります。
①仕事量を減らす
いちばん先に試すのは、これです。
ただし、「減らしてください」とだけ言っても通りません。
数えた量を見せるのが先です。
そのまま使える伝え方
いま持っている仕事を書き出してみたのですが、1日あたりで2時間ほど足りていません。
優先順位をつけたいので、どれを後ろにしてよいか決めていただけますか。
ここでのコツは、減らす判断を自分でしないことです。
「どれを後ろにしますか」と聞くと、相手が決める側になります。
自分で「これはやめます」と言うと、そこで反対が出ます。
もし「全部やって」と返ってきたら、それはそれで答えです。
量は減らせない、と会社が言ったという事実が手元に残ります。
②社内で、役割を変える
「給料を上げてください」は、いちばん通りにくい頼み方です。
理由は、上げる根拠を相手が作らないといけないからです。
通りやすいのは、役割のほうを先に動かす形です。
| 通りにくい | 通りやすい |
|---|---|
| 給料を上げてほしいです | この役割を引き受けると、等級はどう変わりますか |
| 頑張っているので評価してください | 次の等級に上がるには、何が足りませんか |
| 他社はもっと出しています | この資格を取ると、手当の対象になりますか |
右側は全部、質問の形になっています。
質問には、答えが返ってきます。
返ってきた答えが、そのまま次の判断材料になります。
「この会社で、いまの自分の等級から次に上がった人は、何年くらいかかっていますか」
ここで言葉が濁るなら、その道は実際には動いていません。
資格や役割を増やしても、手当がつかない会社があります。
引き受ける前に、金額が変わるかを先に聞いてください。
あとから聞くと、「やってもらったのは自主的に」という話になります。
③会社を変える
3つの中で、いちばん数字が動きやすいのがこれです。
ただし、最後に置いています。
理由は、①と②を試していないと、次の会社でも同じことが起きるからです。
量が多いのか、単価が低いのか。
これを分けないまま移ると、同じ型の会社を選んでしまいます。
分けたうえで動くなら、見るところははっきりしています。
| 確かめること | 聞き方の例 |
|---|---|
| 残業時間の実際 | この職種の方の、平均的な残業時間はどれくらいですか |
| 固定残業の有無 | 提示額に、固定残業代は含まれていますか |
| 昇給の実際 | 入社3年目の方は、だいたいどれくらいになりますか |
| 人の入れ替わり | この部署の方は、何年くらい在籍されていますか |
この4つは、自分で会社に聞きにくい内容です。
間に入る人がいると、聞きやすくなります。
こんな状態なら、一度計算してみてください
当てはまるものがあれば、今日の夜に10分で出せます。
□ 人が辞めた分の仕事が、そのまま回ってきた
□ 残業代が出ない時間がある
□ 休憩が取れない日が、週に何日かある
□ 家に持ち帰ってやっている仕事がある
□ 入社したときと、仕事の量が明らかに変わった
□ 同じ給料の人より、自分のほうが動いている気がする
3つ以上当てはまるなら、感覚は当たっている可能性が高いです。
ただ、当たっているかどうかは計算しないと分かりません。
そして計算しておくと、動くときにも、動かないと決めるときにも役に立ちます。
やらないほうがいいこと
| やりがちなこと | なぜ避けるか |
|---|---|
| まわりに愚痴として言う | 話が伝わったとき、量は減らず立場だけ悪くなる |
| 手を抜いて調整する | 評価が下がり、単価を上げる道が閉じる |
| 他社の金額だけで比べる | 固定残業の有無で中身が変わる |
| 限界まで続けてから考える | 体力がないときの判断は、選べる幅が狭い |
| 計算せずに感覚で語る | 相手にも自分にも、判断材料が残らない |
2番目が、いちばん取り返しがつきません。
割に合わないと感じると、自然に手を抜きたくなります。
でも、それをやると単価を上げる道のほうが先に閉じます。
減らすなら、手の抜き方ではなく量そのものを減らしてください。
数えるときに、忘れがちな時間
時給を出すとき、多くの人が働いた時間を少なく数えます。
次のものは、働いた時間に入れてください。
| 忘れがちな時間 | 月あたりの目安 |
|---|---|
| 取れていない休憩 | 1日30分なら、月10時間ほど |
| 始業前の準備 | 1日15分なら、月5時間ほど |
| 家での持ち帰り | 週2時間なら、月8時間ほど |
| 休みの日の連絡対応 | 回数と時間を、2週間だけ記録する |
| 着替えや移動の時間 | 制服がある職場では大きくなる |
これを足すと、時給が2割ほど下がることがあります。
逆に言えば、その2割ぶんは、いま数えられていないということです。
手帳の端に、始業と終業の時刻を書くだけで足ります。
2週間分あれば、月の数字はそこから出せます。
この記録は、量を減らす相談をするときにも、そのまま材料になります。
年収で見ると、差はもっと大きくなります
月の時給だけを見ていると、差が小さく見えることがあります。
時給で100円の違いは、ひと月なら2万円ほどです。
それを1年、5年で見るとこうなります。
| 時給の差 | 1年 | 5年 |
|---|---|---|
| 100円 | およそ24万円 | およそ120万円 |
| 200円 | およそ48万円 | およそ240万円 |
| 300円 | およそ72万円 | およそ360万円 |
※月200時間として計算した目安です。
この表は、あせらせるために出しているのではありません。
「いまはまだ我慢できる」という判断の重さを、数字で見ておくためのものです。
数字が見えていれば、待つのも一つの判断です。
危ないのは、数字を見ないまま「なんとなく」待つことのほうです。
よくある質問
Q. 時給を出したら、思ったより高くて驚きました
その場合、つらさの原因は金額ではないかもしれません。量そのもの、人間関係、やりがいなど、別のところにある可能性があります。分けて考えてみてください。
Q. 業界全体が安いと言われます
業界の中でも会社ごとに差があります。同じ職種の求人を3社ほど並べると、その差が見えます。「業界が安い」で止めないでください。
Q. 給料を上げてほしいと言うのは、ずうずうしいでしょうか
ずうずうしくはありません。ただ、通りやすいのは金額の要求ではなく、役割や等級についての質問です。
Q. まわりも同じ条件なので、我慢すべきでしょうか
まわりが同じであることと、条件が妥当であることは別です。全員が同じ条件だから正しい、ということにはなりません。
Q. 残業代が出ていません
働いた時間の記録を、自分の手元にも残しておいてください。そのうえで、社内の相談窓口か各労働局の総合労働相談コーナーに相談できます。
Q. 計算に、ボーナスは入れますか
年間で見るなら入れてください。月ごとに見るなら、年間の支給額を12で割って足すと、近い数字になります。
計算したあと、決めることは1つだけ
数字が出ると、次に迷うのは「で、どうするか」です。
ここで全部を決めようとしないでください。
決めるのは、いつまでに変わらなければ動くかの1つだけです。
期限の決め方
・等級や手当の話を聞いたなら → 次の評価の時期まで待つ
・質問して言葉が濁ったなら → その時点で外を見始める
期限を決めておくと、毎日悩まなくてよくなります。
「その日までは考えない」と決められるからです。
毎月の給料日に、同じことを考えて、同じところで止まる。
これを何年も続けている人は、めずらしくありません。
つらいのは、量ではなく「終わりが見えないこと」のほうです。
Q. 上司に量の相談をしたら、評価が下がりませんか
量を数えて相談するのは、手を抜く相談ではありません。優先順位を決めてほしいという相談です。むしろ、状況を把握している人という見え方になります。
Q. 人手が足りないのは分かっているので、言いづらいです
人を増やすのは会社の仕事です。あなたが言わないことで、足りていない状態が見えないままになります。
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手取りが少なくて生活が苦しい
昇給しないから辞めたい
残業が多すぎて辞めたい
感覚を、1回だけ数字にしてみてください
① 給与明細の総支給を見る
② 1か月に実際に働いた時間を数える
③ 割ってみる
数字が出ると、我慢するかどうかの話が終わります。
代わりに、どこを動かすかの話になります。
動かせるのは、量か、役割か、会社かの3つだけです。
生活そのものが苦しくなっているなら、手取りが少なくて生活が苦しいときも読んでみてください。
何年いても上がらないと感じているなら、昇給しないから辞めたいときにまとめています。
残業の量そのものが問題なら、残業が多すぎて辞めたいときが近い話です。
同じ仕事で、条件のいい会社があるかを知りたいなら、転職エージェントの選び方で、残業や昇給の実際を代わりに聞いてもらう方法があります。
※本記事は一般的な情報の解説であり、法的助言ではありません。賃金や労働時間の扱いは労働基準法および勤務先の規定によります。最低賃金は地域ごとに定められ、改定されます。最新の金額は厚生労働省の公表をご確認ください。困ったときは社内の相談窓口や総合労働相談コーナー(各労働局)にご相談ください。※本記事には広告(PR)を含みます。