退職の引き止めで残ったら後悔する?半年後に同じ場所へ戻る理由
引き止めで残って後悔するかどうかは、辞めたかった理由が解消されたかどうかで決まります。
「給料を上げる」で残った人の多くが、半年後に同じ場所に戻ります。
それは、お金が理由ではなかったからです。
まだ引き止められている段階の人も、すでに残ってしまった人も、この記事で仕分けられます。
辞めると伝えた。
でも、強く引き止められて、残ることにした。
あのときは、それでいいと思った。
なのに、数ヶ月たったいま、また同じことを考えている。
あのとき辞めていれば。
この記事は、そう思っている人のために書きます。
そして、いままさに引き止められて迷っている人にも役立つはずです。
なぜ、引き止めで残ると後悔しやすいのか
残ること自体が悪いのではありません。
問題は、残る理由のほうです。
引き止めは、たいてい「条件」で来る
会社が引き止めるとき、出せるものは限られています。
給料。
役職。
あとは、「君が必要だ」という言葉。
ところが、辞めたい理由は、そこにないことが多いのです。
| 辞めたかった理由 | 昇給で解決するか |
|---|---|
| 給料が低い | ◎ 解決します(金額が十分なら) |
| 特定の人との関係 | ✕ 何も変わりません |
| 労働時間が長い | ✕ むしろ増えることも(給料が上がった分の期待) |
| 仕事の中身に興味が持てない | ✕ 変わりません |
| この会社の将来が不安 | ✕ 会社の状況は同じです |
| 評価されていないと感じる | △ 一時的には解決します |
見て分かるとおり、お金で解決するのは1つだけです。
それ以外の理由で辞めようとしていた人が昇給で残ると、数ヶ月で元の気持ちに戻ります。
「必要とされた」という感覚は、長く続かない
引き止められた瞬間は、正直うれしいと思います。
普段は評価されていないと感じていた人ほど、その言葉が効きます。
でも、その熱は日常に戻ると冷めます。
1ヶ月もすれば、また同じ扱いに戻っていた。
これが、いちばんよく聞く展開です。
その昇給や役職は、辞めると言う前から出せたはずのものですか。
出せたのに出していなかったなら、それは「言わなければ動かない会社」だということです。
つまり、次に不満が出たときも、また辞表を出さないと動きません。
これは、あなたが悪いのではなく会社の仕組みの話です。
残ったあと、気持ちはこう動きます
だいたい、同じ順番をたどります。
| 時期 | 起きること |
|---|---|
| 直後(〜2週間) | ほっとする。「引き止めてもらえた」という満足感がある。周りも気を使ってくれる |
| 1ヶ月後 | 日常に戻る。周りの態度も元どおりになる |
| 3ヶ月後 | 約束されたことが実行されたかどうかが、はっきりしてくる |
| 半年後 | 辞めたかった理由が、そのまま残っていることに気づく |
| 1年後 | 「あのとき辞めていれば」と考え始める。ただし年齢は1つ上がっている |
この流れは、本人の意志が弱いから起きるのではありません。
環境が変わっていないから、気持ちが元に戻るだけです。
だから、「自分は流されやすい」と責める必要はありません。
残っている1年のあいだに、あなたは1つ歳をとります。
30代なら影響は小さいかもしれませんが、40代に近づくほど、選べる求人は変わります。
残ることのコストは、気まずさだけではありません。時間も含まれます。
すでに残ってしまった人へ
まず、自分を責めないでください。
引き止めを断るのは、思っているよりずっと難しいです。
目の前で困った顔をされて、「分かりました」と言えるほうが少数派です。
大事なのは、ここからどうするかだけです。
1. まず、いまの状態を仕分ける
紙に書いてみてください。
① 辞めたかった理由は、いま解消されていますか
② 約束されたことは、実行されましたか(金額・時期)
③ 残ってよかったと思える瞬間が、この数ヶ月でありましたか
3つとも「いいえ」なら、状況は変わっていません。
1つでも「はい」があるなら、もう少し様子を見る余地があります。
とくに②です。
口頭の約束は、時間がたつと消えます。
担当者が変わったり、業績が変わったりすれば、なかったことになります。
約束が実行されていないなら、それは残った前提が崩れているということです。
2. 2回目を切り出すのは、1回目より難しい
正直に書きます。
「あれだけ引き止めたのに」と言われる可能性は高いです。
一度残ると言った以上、相手はそれを覚えています。
ただし、だから辞められない、ということはありません。
気まずさは残りますが、それはあなたが我慢し続ける理由にはならないと思います。
2回目の切り出し方
1回目と、やり方を変えてください。
変えること1:先に転職先を決めておく
これがいちばん効きます。
1回目に引き止められたのは、まだ動かせる余地があったからです。
入社日が決まっていれば、交渉の対象になりません。
「条件を見直す」と言われても、もう受け取れないからです。
変えること2:理由を条件の話にしない
1回目に「給料が」と言ったなら、2回目は言わないでください。
条件を挙げると、また条件で返ってきます。
あらためて考えた結果、自分のやりたいことを優先したいという気持ちが変わりませんでした。
次の勤務先も決まっており、〇月〇日での退職をお願いしたく思います。
ポイントは、感謝→結論→日付の順です。
理由の説明は、これ以上足さないでください。
変えること3:日付を先に出す
1回目は「辞めたいと思っています」だったかもしれません。
2回目は、「〇月〇日で退職します」と日付から入ってください。
相談ではなく、報告の形にするということです。
切り出し方の詳細は退職の切り出し方・伝え方にまとめました。
2回目に来る、引き止めの言葉
1回目とは、言われる内容が変わります。
先に知っておけば、その場で考えずに済みます。
「一度は残ると言ったじゃないか」
いちばん多い言葉です。
責められている気持ちになりますが、謝る必要はあっても、決断を変える理由にはなりません。
その判断について、ご迷惑をおかけしたことは申し訳なく思っております。
ただ、あらためて考えた結論は変わりませんでした。
「今度こそ条件を見直す」
一度その言葉で残った以上、同じ言葉には重みがありません。
「裏切りだ」「無責任だ」
感情で来るパターンです。
ここに反論すると、話が長くなります。
謝罪だけ返して、結論は動かさないでください。
引き継ぎは、できる限りのことをさせていただきます。
「引き継ぎはやります」を添えるのが効きます。
相手がいちばん困るのは、あなたの気持ちではなく、業務が止まることだからです。
①謝る ②結論は動かさない ③引き継ぎは協力する
この3点セットで返し続ければ、どんな言葉が来ても対応できます。
新しい言葉を、その場で考える必要はありません。
逆に、残ってよかったケースもあります
後悔する話ばかり書きましたが、そうでない場合もあります。
・辞めたかった原因そのものが変わった(部署異動・上司の交代)
・約束が、期限どおりに実行された
・実際に働き方が変わった(残業が減った、担当が変わった)
・いまの仕事に、前より前向きになれている
この場合、残ったのは正しい判断でした。
とくに異動は大きいです。
人間関係が理由だった人は、環境が変われば本当に解決します。
そういう人は、この記事をここで閉じて大丈夫です。
いま引き止められている人へ
まだ残ると答えていないなら、この記事のいちばん役に立つ場面です。
その場で答えないでください。
一度持ち帰って、あらためてご返事させてください。
これだけで、その場の空気で決めることを避けられます。
引き止めは、その場の勢いで押し切る形になりやすいからです。
持ち帰ったら、確かめること
① 提示された条件は、金額と時期が具体的ですか
② それは書面かメールで残せますか
③ 辞めたかった理由そのものが変わりますか
④ 残ったあとの自分の立場を想像できますか
⑤ 1年後もここにいる自分を想像できますか
とくに①と②です。
「前向きに検討する」「来期には」は、条件ではありません。
確かめる言い方は、これで足ります。
・〇月から、月額〇〇円の昇給
・〇〇部への異動
以上の理解で相違ないでしょうか。
この聞き方なら、疑っているようには受け取られません。
「残ります」と先に言うと、条件の話が小さくなります。
意地悪ではなく、急ぐ理由がなくなるからです。
正しい順番は、①条件を確認する →②形に残す →③そのうえで残ると伝える。
ここを逆にした人が、半年後にいちばん後悔しています。
よくある質問
Q. 残ってから、どのくらい経てば辞めていいですか
決まりはありません。ただ、約束された条件の期限が来たかどうかは一つの目安になります。「〇月から昇給」と言われたなら、その月が過ぎて実行されなかった時点で、前提は崩れています。期限を決めずに待つと、何年でも過ぎてしまいます。
Q. 残ったことを、家族に責められています
決断が二転三転すると、家族のほうが不安になります。大事なのは、「なぜ残ったのか」と「次はどうするのか」を言葉にして共有することです。伝え方は転職を家族に言えないときにまとめました。
Q. 引き止めに応じたのに、条件が反故にされました
残念ながら、あることです。口頭の約束は記録が残らないため、後から確認できません。いまからでも、「以前お話しいただいた件の進捗を確認したい」と切り出して構いません。そこで曖昧な返答しか来ないなら、それが答えです。
Q. 一度残ると言ったのに、また辞めるのは非常識ですか
非常識ではありません。状況が変わらなかったのだから、判断が変わるのは当然です。会社側も、約束を守れていない自覚があることが多いです。ただ、1回目より説明を丁寧にするほうが、後味はよくなります。
Q. 引き止めのときに、部署異動を提案されました
それは検討する価値があります。人間関係や仕事の中身が理由なら、異動で本当に解決することがあるからです。ただし「いつ、どこへ」が決まっているかを確認してください。「そのうち考える」では、実行されない可能性があります。
Q. 残ったあと、社内での立場が悪くなりました
起きることがあります。重要な仕事から外される、評価が下がるといった形です。これは「残ったこと」のコストです。それを引き受けてでも残る価値があるかを、もう一度考えてみてください。
Q. 2回目も引き止められそうで、切り出せません
転職先を決めてから伝えれば、引き止めは成立しません。「考え直してほしい」と言われても、受け取れるものがないからです。順番を変えるだけで、話は驚くほど短くなります。
Q. どうしても言い出せません
1回目に強く引き止められた経験があると、2回目のハードルは本当に高くなります。それでも動けない場合は、退職代行という手段もあります。最終手段として知っておくだけでも、気持ちが違います。
同じ場所に、二度立たないために
① 辞めたかった理由を3つ書き出す
② そのうちいくつが解消されたかを数える
③ 約束されたことが実行されたかを確認する
④ 2つ以上残っているなら、外の選択肢を1つだけ調べる
引き止めで残ったことを、失敗だと思わないでください。
あのときのあなたは、目の前の人の気持ちを大事にしただけです。
それは、悪いことではありません。
ただ、同じことをもう一度繰り返すかどうかは、別の話です。
1回目は、準備がないまま切り出したから引き止められました。
2回目は、準備してから切り出せます。
それだけで、結果はまったく変わります。
選択肢の集め方は転職エージェントの選び方にまとめました。
※本記事は一般的な情報の解説であり、法的助言ではありません。個別のご事情については、労働基準監督署や弁護士などの専門窓口にご相談ください。※本記事には広告(PR)を含みます。