仕事を押し付けられる…「できません」と言わない。順番を聞き返す言い方
押し付けられやすいのは、優しいからではなく、断り方を知らないからです。
断るときは「できません」と言わないでください。「いまこれを持っています。どちらを先にしますか」と聞くのが正解です。
判断を相手に返す形にすると、断ったことになりません。
それでも通らないなら、やった仕事を記録してください。押し付けられる人は、たいてい評価もされていません。
相手が上司なら、量の相談として上の人へ。同僚なら、記録が効きます。
「これ、お願いできる?」
気づけば、自分の仕事は止まったまま、人の分を進めている。
その人は定時に帰り、自分は残業している。
それなのに、評価されるのはその人のほう。
この記事は、押し付けを止める具体的な言い方を書きます。
なぜ、自分ばかりなのか
理由は、性格ではありません。
| 押し付けられる理由 | 相手から見ると |
|---|---|
| 一度引き受けた | 「この人は受けてくれる」と学習される |
| いま何をしているか見えない | 手が空いていると思われる |
| 断る言葉を持っていない | 言えば通ると分かっている |
| 文句を言わない | 頼んでも波風が立たない |
| 仕事が速い | 頼めば早く終わる |
つまり、相手にとって頼みやすい条件がそろっているだけです。
あなたが悪いわけでも、相手が特別ひどいわけでもありません。
・いま何を持っているかを見せる
・断るのではなく、順番を聞き返す
この2つだけで、頼みにくい相手になります。
いま何をしているかを、見えるようにする
押し付けられる理由の半分は、手が空いているように見えることです。
・今日やることを紙に書いて、机の見える場所に置く
・共有の予定表に、作業の時間も入れる(会議だけでなく)
・朝の時点で「今日は◯◯を進めます」とひと言宣言する
・締め切りのある仕事は、その日付を口に出す
2つ目が効きます。
予定表が空いていると、手が空いていると判断されます。
「14〜16時:◯◯の資料作成」と入れておくだけで、
声をかける前に相手が考えてくれます。
3つ目も簡単です。
朝に「今日は◯◯で手一杯です」と一度言っておくと、
その日の押し付けがぐっと減ります。
「できません」と言わないでください
断ろうとして「できません」と言うと、角が立ちます。
しかも、押し切られやすい言い方です。
| 言いがちな断り方 | どう返されるか |
|---|---|
| できません | 「なんで?」と理由を問われる |
| 忙しいので | 「みんな忙しい」と返される |
| ちょっと難しいです | 「じゃあ空いたらで」と保留にされる |
| (黙って引き受ける) | 次も頼まれる |
代わりに使うのは、「どちらを先にしますか」です。
「いま◯◯を◯時までにやっています。
そちらを先にする場合、◯◯は明日以降になりますが、よろしいですか。」
これは断っていません。
ただ、判断を相手に返しているだけです。
相手が「じゃあ自分でやる」と言えば、それで終わります。
「先にやって」と言われたら、元の仕事が遅れる責任は相手にあります。
相手によって、使い分ける
立場によって、言い方を変えてください。
| 相手 | 使う言い方 |
|---|---|
| 上司 | 「どちらを先にしますか」(判断を仰ぐ形) |
| 同僚 | 「いま◯◯で手一杯で。◯時以降なら見られます」 |
| 先輩 | 「上司に確認してからでもいいですか」 |
| 後輩 | 「一緒にやり方を見ようか」(丸ごと受けない) |
先輩からの押し付けには、上司を挟むのが効きます。
「上司に確認します」と言われると、たいていの人は引きます。
本当に必要な仕事なら、上司が判断してくれます。
そうでないなら、その場で消えます。
押し付ける人の、3つの型
相手によって、効く手が違います。
| 型 | 特徴 | 効く手 |
|---|---|---|
| 頼み上手型 | 言い方がうまく、断りにくい | 順番を聞き返す |
| 丸投げ型 | 説明せずに渡してくる | 手順を質問して、時間を取らせる |
| 逃げ型 | 面倒なものだけ回してくる | 記録して上司に見せる |
2つ目の丸投げ型には、質問が効きます。
「どういう手順でしょうか」「過去の例はありますか」「いつまでですか」と聞いていくと、
説明するほうが面倒になり、自分でやることがあります。
意地悪ではありません。
引き受けるなら、正確にやるために必要な質問です。
3つ目の逃げ型だけは、話し合いでは変わりません。
記録して、第三者に見せるしかありません。
引き受けたら、記録を残す
断りきれないことも、当然あります。
そのときは、必ず記録してください。
・日付
・誰から、何を頼まれたか
・かかった時間
・そのために後ろにずれた自分の仕事
これを1か月続けると、「◯時間、人の仕事をしている」という事実が数字になります。
生の声でいちばん多かった不満が、「押し付けられるのに評価されない」でした。
評価されないのは、やったことが見えていないからです。
記録があれば、評価面談で話せます。
上司に相談する段階
記録が2〜3週間たまったら、相談してよい状態です。
「ご相談です。この1か月で、◯◯さんの業務を◯時間ほど引き受けています。
自分の担当が後ろにずれていて、◯◯が遅れ気味です。
分担を見直していただけないでしょうか。」
ここでも、人を責めないでください。
「◯◯さんがサボっている」と言うと、告げ口になります。
「自分の担当が遅れている」と言えば、業務の相談です。
数字があるので、感情の話にもなりません。
断れるようになると、変わること
言い方を変えただけで、実際に起きることがあります。
| 変わること | どうして |
|---|---|
| 頼まれる回数が減る | 「面倒な人」ではなく「確認する人」になる |
| 本業に集中できる | 時間が戻る |
| 評価が上がる | 自分の担当で成果が出せる |
| 関係が悪くならない | 断っていないので、角が立たない |
4つ目が大事です。
「どちらを先にしますか」は、相手を立てた言い方です。
判断してもらっているので、相手も悪い気はしません。
それでいて、安請け合いはしていません。
この形を身につけると、次の職場に行っても同じことが起きなくなります。
押し付けられやすい人は、職場が変わっても押し付けられます。
言い方は、どこでも使える技術です。
新人だから、という場合
入って間もない時期は、雑用が集まりがちです。
これには、ある程度の理由があります。
| 時期 | どう考えるか |
|---|---|
| 入って3か月まで | 覚える期間。引き受けてよい |
| 半年〜1年 | 本来の業務が増えてくるはず。減らない場合は相談 |
| 1年以降も同じ | 🚨役割が固定されている。話し合う段階 |
1年たっても雑用ばかりなら、それは教育ではなく分担の固定です。
「そろそろ◯◯の業務も覚えたいのですが」とやりたいことを先に言うと、話が前向きになります。
それでも変わらないとき
相談しても、記録を見せても動かない職場もあります。
その場合、見えてくるものがあります。
・分担を決める人がいない
・声の大きい人の言い分が通る
・黙って引き受ける人に、仕事が集まる
・その状態を、上が把握していない
これは、あなたが変えられる範囲を超えています。
無理に変えようとすると、消耗するだけです。
記録を残しながら、外の様子も見ておく。
これが現実的な進み方です。
いま作っている記録は、次の職場を探すときの実績の説明にも使えます。
「◯◯の業務を引き受け、月◯時間分を担当していました」と言えれば、それは立派な経験です。
転職エージェントの選び方では、在職中に相談だけしておく方法にも触れています。
自分が頼む側になるときも
いつか、自分が人に頼む場面が来ます。
そのときに、いま嫌だと感じていることを思い出してください。
・いつまでかを言う(「急ぎではありません」も含めて)
・どこまでかを言う(全部か、一部か)
・断っていいと添える(「難しければ言ってください」)
・やってもらったら、その場でお礼を言う
3つ目が効きます。
「難しければ言ってください」と添えるだけで、相手は断りやすくなります。
断られたら自分でやればいい、という前提で頼めば、押し付けにはなりません。
Q. 頼まれた仕事を、途中で返してもいいですか
引き受けたあとで無理だと分かったら、早めに言ってください。「◯◯まではできましたが、この先は時間が足りません」と、どこまでやったかを添えて返すのが誠実です。黙って抱えて、期限に間に合わないほうが迷惑になります。
Q. 断ったあと、気まずくなりました
数日で戻ることがほとんどです。こちらから普段どおり話しかけていれば、関係は続きます。気まずさより、抱え込んで潰れるほうが大きな問題です。
タイプ別|いま、どれに当てはまるか
□ 特定の一人から頼まれる
□ 断ったことがない
□ 仕事はまだ回っている
このタイプは、「どちらを先にしますか」を使ってみてください。
□ 複数の人から頼まれる
□ 残業して自分の仕事をしている
□ 評価されていないと感じる
このタイプは、1か月だけ記録して上司に相談してください。
□ 相談しても変わらない
□ 断ると人格を否定される
□ 体調に出ている
このタイプは、働く場所そのものを考える材料にしてください。
よくある質問
Q. 断ったら「自己中心的だ」と言われました
自分の担当を守るのは、自己中心的ではありません。ただ、言い方が「できません」だと、そう受け取られやすくなります。「どちらを先にしますか」に変えてみてください。
Q. 押し付けてくる人が、先に帰ります
その事実こそ記録してください。「◯時に依頼を受け、◯◯さんは◯時に退勤、私は◯時まで対応」。並べると、状況が一目で分かります。
Q. 部署どうしで押し付け合いになっています
個人で解決できる話ではありません。上司に「どちらの担当か決めていただけますか」と判断を求めてください。決まらないまま進めると、あとで責任を問われます。
Q. 頼まれると嬉しくて、つい引き受けてしまいます
頼られるのは悪いことではありません。ただ、自分の担当が遅れるなら別です。「今日は無理ですが、明日なら」と、時間をずらす形を覚えてください。
共有の予定表に、今日の作業を1つ入れてみてください。「◯時〜◯時:◯◯」と書いてあるだけで、声のかかり方が変わります。
Q. 上司からの押し付けは断れないのでは
上司には「断る」のではなく「優先順位を聞く」形にしてください。「どちらを先にしますか」は、指示を仰いでいるだけなので、断ったことになりません。それでも両方と言われたら、「では◯◯は◯日になります」と期限をずらす形で受けてください。
Q. 人手が足りないので、押し付けというより仕方ない状況です
その場合は、人の問題ではなく人員の問題です。記録した時間を上司に見せて、「この量は、いまの人数では回りません」と伝えてください。個人の頑張りで埋め続けると、その状態が標準になります。
Q. パートやアルバイトでも、同じように言っていいですか
同じです。契約した時間の中でできる量には限りがあります。「◯時までなので、そこまでで区切ります」と言って構いません。
Q. 押し付けられた仕事で失敗したら、誰の責任ですか
引き受けた以上、進め方の責任は自分にあります。だからこそ、受けるときに「どこまでやるか」「いつまでか」をはっきりさせておいてください。あいまいなまま受けると、失敗したときだけ責任が来ます。
Q. 断ったら、次から仕事を回してもらえなくなりますか
押し付けと、任せられることは違います。断っても、本来の担当業務は回ってきます。むしろ、押し付けが減った分だけ本業に集中できます。
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「いま◯◯を◯時までにやっています。
そちらを先にすると、◯◯は明日以降になりますが、よろしいですか。」
これだけで、頼みにくい相手になります。
言い方を覚えるだけで、状況は変わります。
仕事量そのものが多すぎるなら、残業が多すぎて辞めたいときも参考になります。
人間関係そのものに疲れているなら、職場の人間関係に疲れたときも読んでみてください。
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