客先常駐がつらい…性格ではなく構造の問題。自社との接点と記録を、自分からつくる
客先常駐がつらいのは、性格の問題ではありません。どちらの会社にも属しきれない形だから起きます。
やることは2つ。①自社との接点を、自分からつくる ②やった仕事を自分で記録する。
評価する人が現場を見ていないなら、見えるように出すしかありません。
指示を出す人が誰なのか分からない、自社を通さず直接命じられる、といった状態が続くなら、契約の形を自社に確かめてください。
朝、自社ではなく別の会社のビルに入る。
入館証を通して、他社の人たちの中で一日働く。
その会社の人ではないから、飲み会にも行きにくい。
自社の人とは、月に一度も顔を合わせない。
評価面談のとき、上司は自分の仕事を見ていない。
この記事は、この形の中で消耗しない働き方を書きます。
つらさの正体は、立場が二重だから
客先常駐は、働く場所と、雇っている会社が違う形です。
この形そのものに、つらさの原因があります。
| 起きること | なぜ起きるか |
|---|---|
| どちらにも居場所がない | 現場では他社の人、自社では会わない人になる |
| 評価に納得できない | 評価する人が、働く姿を見ていない |
| 報告が二重になる | 現場の報告と、自社への報告が別にある |
| 現場が変わると一から | 積み上げた関係が、異動でゼロに戻る |
| 相談先が分からない | 現場の話は自社に、雇用の話は現場に言えない |
つまり、あなたの努力が足りないから起きていることではありません。
この形で働く人の多くが、同じところでつまずきます。
原因が構造にあるなら、対策も構造に合わせたものになります。
新しい現場に入った最初の1週間
現場が変わるたびに、また一から。これがこの働き方の重いところです。
最初の1週間でやることを決めておくと、毎回の負担が軽くなります。
① 誰に何を聞くかを決める(作業の質問はこの人、環境の質問はこの人)
② 朝と帰りのあいさつを、席の近い人にする
③ 入館・持ち出しの決まりを確かめる(持ち込めないもの、写真の可否)
④ 報告の形を聞く(朝会があるか、日報が必要か)
⑤ 分からない言葉をメモにためる(あとでまとめて聞く)
とくに①が効きます。
聞く相手が決まっていないと、質問そのものが止まります。
初日に「分からないときは、どなたに伺えばよいですか」と聞いてしまうのが早いです。
③は自分を守るためです。決まりを知らずに触ると、それだけで信用を落とします。
自社との接点は、自分からつくる
放っておくと、自社との接点はゼロに近づきます。
そして、接点がないまま評価の時期が来ます。
・短い報告を自社の上司にメールで送る(5行で十分)
・できるようになったことを1つ書く
・困っていることを1つ書く
・自社に立ち寄る日を、年に何回かつくる
「◯月の状況をご報告します。
・担当:◯◯システムの設計と試験
・今月できるようになったこと:◯◯の設定を一人で対応
・困っていること:◯◯の手順書がなく、確認に時間がかかっています
・来月の予定:◯◯の対応に入ります」
これを続けている人は、評価のときに強くなります。
見ていない人に見せるには、文字にするしかありません。
面倒に感じますが、年12回の5行です。
やった仕事は、自分の手元にも残す
現場が変わると、自分がやったことの記録が残りません。
だから、自分の手元に記録しておいてください。
・期間(いつからいつまで)
・役割(設計・試験・運用・問い合わせ対応など)
・使ったもの(言語・ツール・機器)
・人数と立ち位置(何人の中で、どこを担当したか)
・自分で工夫したこと(1つでいい)
常駐先の会社名、システム名、資料の中身は、外に出してよいか分からないものが多いです。
手元のメモは自分用にとどめ、外に見せるときは「金融系」「製造業向け」のようにぼかして書くのが安全です。
この記録は、評価面談でも、あとで経歴を書くときにも使えます。
あとから思い出して書こうとすると、ほとんど出てきません。
居場所のなさに、どう向き合うか
現場では他社の人、自社では会わない人。このどちらでもない感じが、じわじわ来ます。
無理に「どちらかに属そう」としなくて大丈夫です。
| つくれるつながり | やり方 |
|---|---|
| 現場の、話しやすい人1人 | 仕事の質問ができる関係があれば十分 |
| 自社の、同じ立場の人 | 同じように常駐している人と連絡を取り合う |
| 自社の担当者 | 月1回の報告で、顔を忘れられないようにする |
| 会社の外 | 勉強会や趣味など、仕事以外の場を1つ持つ |
ぜんぶ要りません。どれか1つか2つあれば足ります。
いちばん効くのは、同じ立場の人とつながっておくことです。
同じつらさを知っている人がいるだけで、抱え方が変わります。
指示を出す人が多すぎるとき
現場でよくあるのが、誰の指示に従えばいいか分からない状態です。
まず、自分の立場を自社に確かめてください。
| 確かめること | 聞き方 |
|---|---|
| 契約の形 | 「今回は派遣でしょうか、請負でしょうか」 |
| 指示を受ける相手 | 「作業の指示は、どなたから受ける形になっていますか」 |
| 相談の窓口 | 「現場で困ったときは、自社のどなたに連絡すればよいですか」 |
| 作業の範囲 | 「契約でお受けしている作業の範囲を教えてください」 |
派遣と請負では、誰が指示を出すかが変わります。
請負の形なのに、常駐先から直接細かく指示されている場合、問題になることがあります。
この線引きについては、労働者派遣と請負を区分する国の基準(昭和61年の労働省告示)が置かれています。
ただし、実際にどちらにあたるかは個別の事情で判断されます。
自分で結論を出さず、自社に確かめる。それでも直らないときは、労働局の相談窓口で聞くこともできます。
断ってよい作業か、迷ったとき
常駐先では、頼まれた作業が契約の外ということが起こります。
その場で断ると角が立ち、受け続けると範囲がどこまでも広がります。
「承知しました。念のため、自社に確認してからお受けします。」
「契約の範囲を確かめたいので、いったん持ち帰らせてください。」
「できません」ではなく「確認します」。
これなら、断ったことにはなりません。
そして、必ず自社に投げてください。
自分で判断して受けてしまうと、次からその作業が前提になります。
・契約に書かれていない作業を頼まれた
・自社を通さず、直接残業や休日出勤を指示された
・常駐先の指示で、勤務時間や作業場所が変わった
こうしたときは、その日のうちに自社へ連絡してください。
評価に納得できないときの出し方
「見ていないのに評価される」のは、この働き方でいちばん多い不満です。
対策は、材料を自分で用意することだけです。
① この1年でできるようになったこと(3つ)
② 現場で言われた良い評価(言葉のまま。日付つきで)
③ 次にやりたいこと(どの現場・どの役割か)
②は、その場でメモしておかないと消えます。
「助かったよ」と言われたら、その日のうちに1行残してください。
自社の上司は、あなたの現場での評判を知りたがっています。
材料を持っていくと、話が早く進みます。
この働き方を続けるか、決める前に見るところ
辞めるかどうかを、気持ちだけで決めないでください。
見るところは、3年後に何が残るかです。
| 見るところ | 続けやすいサイン |
|---|---|
| 経験の中身 | 任される範囲が、少しずつ広がっている |
| 自社の姿勢 | 希望を聞いてくれる、現場を変えてくれる |
| 収入 | 年ごとに少しでも上がっている |
| 体と気持ち | 休みで回復している |
このうち、体と気持ちだけは譲らないでください。
休んでも回復しない状態が続いているなら、ほかがよくても続きません。
残りの3つが伸びていないなら、情報だけ集め始める時期です。
動くかどうかは、そのあとで決めればいいことです。
タイプ別|いま、どれに当てはまるか
□ 現場の人間関係は悪くない
□ 仕事の中身には不満がない
□ 自社とのつながりだけが薄い
このタイプは、月1回の報告を始めるだけで変わります。
□ 指示を出す人が複数いる
□ 契約の範囲を知らない
□ 断ってよい作業かどうか分からない
このタイプは、契約の形と指示系統を自社に確かめてください。
□ 現場が変わるたびに気持ちが削られる
□ 何年たっても積み上がっている気がしない
□ 体調や睡眠に出ている
このタイプは、記録をそろえて、外の話も聞いておく段階です。
よくある質問
Q. 常駐先の人と、どこまで親しくすればいいですか
仕事の話ができる関係があれば十分です。誘われたら行って構いませんし、断ってもかまいません。無理に混ざろうとしなくて大丈夫です。
Q. 現場で困っているのに、自社に言いにくいです
自社にとっても、黙って辞められるほうが困ります。事実だけを短く伝えてください。「◯◯の作業が続いており、契約の範囲か確認したいです」という形なら、言いやすくなります。
Q. 常駐先から直接残業を頼まれます
その場では即答せず、「自社に確認します」と伝えてください。時間の管理は、雇っている会社の責任で行われるものです。
Q. 何年も同じ現場です。これでいいのでしょうか
長くいることで、詳しくなれる面もあります。気になるのは、その経験が外でも通じるかどうかです。記録を見返して、説明できる形になっているか確かめてください。
Q. 常駐先の人と自社の人で、言うことが違います
作業の進め方は現場に合わせ、契約や労働時間の話は自社に確かめてください。迷ったら「自社に確認します」と言って持ち帰るのが安全です。
Q. 現場を変えてほしいと言ってもいいですか
言って構いません。ただ、すぐには動きにくいので、理由を具体的に伝えてください。「合わない」より「◯◯の作業が続き、希望している◯◯の経験が積めていません」のほうが通りやすくなります。
5行の報告を、1回だけ自社の上司に送ってみてください。返事がなくても構いません。送った記録が残るだけで、あとで役に立ちます。
Q. 常駐先で、自社の悪口を言われます
聞き流して構いません。同意も反論もせず、「そうなんですね」で終わらせてください。そのやり取りが続くなら、自社の担当者に伝えておいてください。
Q. 通勤先が遠く、それだけで疲れます
通勤の負担は、現場を選ぶときの条件として自社に伝えていいことです。「片道1時間半を超えると続けにくいです」と、数字で希望を出しておいてください。
Q. 現場では評価されているのに、給与に反映されません
現場での評価と、自社の給与の決め方は別の仕組みで動いています。現場で言われた言葉を記録して、自社の面談で材料として出してください。口で言うより、日付つきの記録が効きます。
Q. 体調が悪い日に、どちらに連絡すればいいですか
雇っているのは自社なので、自社への連絡が先です。ただ、現場に迷惑がかからないよう、現場への連絡も必要かどうかを先に決めておいてください。入るときに確認しておくと迷いません。
Q. 自社に戻る道はありますか
社内の開発や運用に移れる会社もあります。希望を出していないと回ってきません。面談のときに「社内の業務も希望しています」と伝えておいてください。
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① 自社の上司に、5行の報告を月1回送る
② 現場で言われた良い言葉を、その日に1行残す
③ 契約の形と、指示を受ける相手を自社に確かめる
客先常駐のつらさは、あなたの力不足ではありません。
見えないところで働いている人が、見えるようにするための手間です。
人間関係そのものに疲れているなら、職場の人間関係に疲れたときも参考にしてください。
働き方を変えることも考えるなら、転職エージェントの選び方で、情報だけ集めておくのも一つの手です。
※本記事は一般的な情報の解説であり、法的助言ではありません。労働者派遣にあたるか請負にあたるかは、指示の出し方や業務の進め方など、個別の事情によって判断が異なります。参考:厚生労働省「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」。困ったときは自社の担当者、社内の相談窓口、総合労働相談コーナー(各労働局)にご相談ください。※本記事には広告(PR)を含みます。